韓国 民主労総大会に6・5万人 戦争・労働改悪のユン政権と対決
韓国
民主労総大会に6・5万人
戦争・労働改悪のユン政権と対決
7月2日、民主労総(全国民主労働組合総連盟)による全国労働者大会が、韓国の首都ソウルと南部・巨済(コジェ)の2カ所で開かれた。ソウルでは「物価暴騰・民生対策用意!労働改悪阻止!社会公共性・国家責任強化!非正規職撤廃!」を掲げた大会に6万人が集まり、2017年のパククネ退陣以降最大規模の労働者大会となった。巨済では同時刻、大宇(テウ)造船の下請け労働者の命がけのストライキを支援する嶺南(ヨンナム)圏労働者大会が金属労組をはじめ5千人で開かれた。
政府は集会の禁止を策動し、それが破産するや参加人数を3万人以下に制限するなどの条件をつけ、警察権力1万人を動員して破壊と圧殺を試みたが、大会はそのすべてを団結の力で打ち破ってかちとられた。
ユンソンニョル政権は登場後直ちに、韓米軍事同盟の再強化をはじめ米日帝国主義の戦争政策への同調を深めてきた。それと一体で国内の労働者階級に対する階級戦争攻撃をもますます強めている。真っ先に始めたのが公共機関の機能統廃合と人員削減、民間委託の推進による全面民営化攻撃だ。公共運輸労組はこれに対して「電気、水道、鉄道・交通、医療、介護・福祉、社会保険など民衆の生活に直結する公共サービスのすべてを縮小・解体し、財閥大資本の金もうけのエサに投げ与えるものだ」と徹底抗戦の宣言を発した。
ユン政権はさらに「労働市場改革」の名で、時間外労働への規制を緩和し週に最長92時間まで働かせることを可能にする制度の導入や、賃金制度を根本から改変し職務評価と成果主義にもとづく賃金体系に移行することも打ち出した。パククネ政権時代に問題となった「労働大改悪」攻撃の復活そのものだ。
民主労総は、最悪の反労働・親財閥政権の正体をむき出しにしたユンソンニョル政権との全面対決を宣言した。物価騰貴の波が韓国をも襲うなか、7・2大会は「政府は過労死をもたらす労働改悪を中断し、生存権と労働基本権を保障しろ」の声であふれた。ヤンギョンス委員長は「希望は私たちの闘争だ。民主労総は闘争で私たちの人生を、現場を、世界を変えてきた。最も切迫した、最も力の強い労働者が今こそ前面に出て闘おう」と訴えた。
造船労働者が決死の闘い
今回の大会は、「生き地獄からの脱出」をかけて1カ月にわたる不屈のストライキと職場籠城(ろうじょう)闘争を展開してきた金属労組巨済統営固城(コジェトンヨンコソン)造船下請け支会の闘いに連帯する闘いとして、ソウルと巨済で同時一体の労働者大会として開かれた。巨済の大会には蔚山(ウルサン)・釜山(プサン)・大邱(テグ)地域の労働者5千人が参加し、籠城闘争の現場を訪れて激励した。
韓国の造船所は労働災害の多発で多くの労働者が殺され、非正規職労働者が低賃金と強労働の果てに使い捨てにされてきた代表的な職場だ。2015〜20年の造船不況期に造船資本は下請け労働者7万6千人を解雇し、残った労働者の賃金を30%も削った。
大宇造船海洋の社内下請け労働者を組織する支会は今春、奪われた賃金の原状回復へ30%の賃上げと集団交渉を求める闘争に入った。だが会社は、韓国の造船業界が不況を脱して再び世界一の座を回復したにもかかわらず、「不当な要求」「ストは違法」と強弁し、一切の交渉を拒否して公権力による弾圧の発動を要請した。
そこで同支会は命がけの闘いを決断し、6月22日、7人の組合員が遺言状を書いてドックの大型原油運搬船内での無期限籠城闘争に決起した。ユチェアン副支会長は自ら溶接して作った縦・横・高さ各1㍍の鉄の檻(おり)に入り、他の6人はその上部の高さ10㍍の手すりに上って高空籠城を開始した。鉄の檻は、造船の現場が刑務所に閉じ込められているのと同じだと全社会に訴えるものだ。
7・2巨済大会に集まった仲間の前でキムヒョンス支会長は、「私たちは退きません。私たちの闘争が必ず勝利しなければならない理由があるからです」と不退転の決意を語った。この場で連帯あいさつに立った旭非正規職支会のチャホノ支会長は、「今日、私たちは民主労総、金属労組がどのように闘うべきかを見せている」と語った。
民主労総は今秋、より巨大な闘争に総力で踏み出すと宣言している。連帯し、共に闘おう。