国鉄闘争全国運動7・17全国集会へ 戦争・鉄道崩壊と闘おう

週刊『前進』04頁(3252号02面01)(2022/07/11)


国鉄闘争全国運動7・17全国集会へ
 戦争・鉄道崩壊と闘おう


 JR資本と岸田政権は在来線の4割を廃止の対象にする攻撃に乗り出した。これは戦時体制に向けた国家改造の一環だ。鉄道だけでなく医療や教育、郵政など全領域で、戦争に一切を集中するためのスクラップ・アンド・ビルドの攻撃がかけられている。7月16、17日の国鉄闘争全国運動の集会は、これと対決し、労働者の団結で改憲と戦争を阻止するために開かれる。

全面的に破産した国鉄分割・民営化

 1987年の国鉄分割・民営化に匹敵するような鉄道の大再編が始まった。ローカル線廃止のために国土交通省が設置した「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」は、参院選が終わり次第、直ちに報告をまとめようとしている。
 当面狙われているのは、輸送密度(鉄道営業キロ1㌔当たりの1日平均乗客数)が2千人未満の線区の廃止だ。それはJRの総営業キロの39%に及ぶ。
 検討会の結論はバス転換による鉄道の廃止と最初から決まっているが、そのバスが維持される保証はない。2006〜20年の15年間で2万2443㌔の一般バス路線が廃止された。それは現在JRが運行する全線区の距離にほぼ等しい。
 しかも、バスは鉄道の代替にはならない。18年にJR西日本は広島県三次(みよし)市と島根県江津(ごうつ)市を結ぶ三江線を廃止した。その際、代替バスが運行されることになったが、三次と江津を直結するバスは1本もない。バスの運行区間は短く、運行主体もバス会社、タクシー会社、自治体など10に分かれた。そのすべての路線が赤字だ。その一つ、島根県邑南(おおなん)町の町営バスは2年後に廃止され、NPO法人が運営する予約制乗り合いバスに切り替えられた。これは地域の生活維持を望む人々の思いに付け入り、いわば低報酬の「白タク営業」を国が特例で認可しているようなものだ。
 鉄道の廃止は、地域の公共交通の全面的な破壊に行き着くのだ。

さらに極端化した新自由主義を強行

 国交省検討会は、地域公共交通の責任をすべて自治体に押し付けている。衰退し疲弊した自治体が公共交通を維持できなくても、それは「自己責任」で「仕方ない」ことにされるのだ。
 新自由主義の破産をさらに極端化した新自由主義策で乗り切ろうとする攻撃は全部門で行われている。
 岸田政権が骨太方針と一体で閣議決定した「デジタル田園都市国家構想基本方針」は、オンライン診療などの遠隔医療を強調する。地方には病院も診療所も必要ないと言わんばかりだ。教育についても、授業が成り立たないほど深刻な教員不足への対応策として、「特別免許状」付与による「外部人材の活用」を唱える。リモート教育が主流になれば、教員は素人でも構わないという発想だ。これはやがては、学校に自衛隊将校らを配属し、生徒・学生に軍事教練を強いることになりかねない。
 岸田政権は防衛費倍増を国際公約にして中国侵略戦争に突き進んでいる。その膨大な軍事費は、社会保障などを切り捨てなければ賄えない。それがもたらすものは社会の総崩壊だ。

戦時体制への転換を狙った国家改造

 鉄道の軍事利用も公然と議論され始めた。国土交通省が設けた「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」には防衛省幹部が出席し、鉄道軍事利用の構想を語った。11年以降、毎年の自衛隊演習でJR貨物が155㍉りゅう弾砲や装甲車、弾薬などを輸送している事実も明らかにした。JRは武力攻撃事態法と国民保護法により指定公共機関とされ、戦争協力が義務付けられている。それが現に発動されようとしている。
 だからJRは、「労組なき社会」づくりを先頭で進めている。JR東日本は職名から職種・職務を表す要素を一切なくし、上下関係だけを表すものにした。昇進試験に受からなければ、労働者は一生「係員」のままだ。業務融合化で労働者を「何でも屋」にし、職種の専門性を否定した。労働者の誇りを奪うためだ。
 この攻撃の下で、技術継承と業務自体の崩壊が進んでいる。低賃金の下請け会社では青年の退職が止まらず、外注化の破綻も明らかだ。それは安全も損なっている。KDDIの4日にわたる通信障害は、同様の事態が全産別で起きていることを示した。

戦争協力拒否する動労千葉と団結し

 この現実と対決し克服できるのは、団結した労働者の闘いだけだ。7・17国鉄集会は、こうした闘いの陣形を確立するために開かれる。また、鉄道崩壊に行き着いた国鉄分割・民営化に決着をつけ、1047名の解雇撤回へ、最後の関門をこじ開ける集会だ。
 さらに、新・戦争協力拒否宣言を発した動労千葉を先頭に、11月労働者集会を呼びかける全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同が団結し、階級的労働運動再生の展望を開くための集会だ。労働者の階級的団結と国際連帯が改憲と戦争を止める。かつてない決戦となった今年の11月集会の組織化へ全力を傾けよう。
 16日の討論集会は、鉄道崩壊の実態を共有し、新自由主義を終わらせる労働運動の可能性を実践の中から探るために開かれる。
 両日の集会に多くの仲間を誘って集まろう。
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