7・1独法化を迎え撃つデモへ 狙いは医療の戦争動員だ 都立病院とり戻す闘いを

週刊『前進』04頁(3250号02面03)(2022/06/27)


7・1独法化を迎え撃つデモへ
 狙いは医療の戦争動員だ
 都立病院とり戻す闘いを

(写真 6月11日、東京・府中市で行われた独法化反対デモ)


 7月1日をもって東京都は、八つの都立病院と六つの公社病院、がん検診センターの15施設を一括して地方独立行政法人化しようとしている。しかし「民営化は悪だ!」の声は今や地に満ちている。「都立病院をつぶすな!」署名は1万7千筆を超えて集まり続けている。都立・公社病院内で苦闘する労働者をはじめとした医療・介護・福祉労働者、保健所など自治体労働者、さらに患者・地域住民など労働者人民の新自由主義への怒りの決起はこれからますます燃え広がる。その出発点として独法化を迎え撃つ7・1都庁包囲デモに集まろう。

首都の戦時体制構築狙う

 都立病院独法化は何よりも、岸田政権が5・23日米首脳会談で打ち出した中国侵略戦争への「防衛力の抜本的強化」と一体の、医療の戦争動員攻撃だ。
 政府は6月17日、感染症対応の司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理庁」設置を正式決定した。さらに、独立行政法人である国立病院機構などの公立・公的病院に対し、都道府県ごとの「医療提供・医療人材派遣」を罰則付きで義務化することも提唱し始めた。
 小池都知事は、こうした医療の有事動員体制作りを先取りするものとして都立病院独法化を進めてきた。新たに発足する地方独立行政法人「東京都立病院機構」の定款(規約)には、他県の独法化病院定款にはない「災害及び公衆衛生上の緊急事態等に対処するために必要な業務を行うこと」(18条)という文言を入れ、有事における医療労働者の動員を規定した。そして「(知事)の求めに応じ、当該業務を実施する」(19条)として、都立病院職員7千人と会計年度任用職員3千人の計1万人、さらに公社病院の職員5千人と合わせて1万5千人もの労働者を知事の号令一下で有事動員に組み込む体制を作ろうとしている。
 そのために1万人もの労働者の公務員身分を奪いながら「みなし公務員」のしばりをかけ、「都庁グループ」として民間資本と競争させつつ、有事体制構築を先導させようとしている。また、都立病院条例の廃止によって「公的医療・福祉増進」という公務をはぎとり、「医療と戦争は相いれない」としてきた医療労働者としての反戦意識と誇りを奪い、「命の選別」をさせようとしているのだ。独法化=民営化は戦争遂行のテコにすえられている。
 小池は5月27日、国民保護法に基づいて都営地下鉄・東京メトロの105駅を有事の「緊急一時避難施設」に指定した。小池は自民党政治支配の崩壊の中で支配階級の利害を貫徹し、首都の戦時体制を構築する役割を担っている。7・1から始まる都立病院独法化を破産させ粉砕する闘いは、戦争に労働者を動員する岸田・小池を打倒し、地域医療と社会を取り戻す壮大な展望をもった闘いだ。

国鉄決戦を引き継ぐ闘い

 2年にわたる都立病院独法化粉砕の闘いは、国鉄闘争を軸に民営化に反対して闘う階級的労働運動の発展として継続されてきた。コロナ下での対厚生労働省闘争として闘われた2020年5・1メーデーや船橋二和病院労組の「医療を社会保障として取り戻す」ストライキなど、医療・介護・福祉現場で闘う労働者を先頭として「都立病院をつぶすな!署名」運動は発展してきた。21年東京オリンピック・パラリンピックへの医療動員拒否の闘いは「学校連携観戦」中止を求める声の大きな広がりとも結合し、五輪開会式粉砕の実力決起をも実現した。
 さらに署名運動を通してコロナ下で苦闘する保健所など自治体、教育、郵政などで民営化阻止を掲げる労働運動が発展してきた。
 都立病院独法化反対闘争は、国鉄分割・民営化攻撃に対する1047名解雇撤回闘争、動労千葉の反合理化・運転保安闘争の路線を貫く闘いだ。「都立病院の存亡がこんないい加減な連中にないがしろにされるのは我慢なりません。これからも独立行政法人化に反対したい」(「墨東患者・市民の会」)との地域に脈打つ医療破壊・地域破壊絶対反対の意思を束ね、7・1独法化強行をこえて闘いを永続的に発展させよう。

矛盾と怒りの噴出は必至

 この間の闘いは、7・1以降も都立病院が存続するかのような「新たな都立病院」のペテンを暴いてきた。7・1を起点に、破綻した独法化にとどめをさす新たな闘いを開始しよう。
 都立病院独法化は、公立・公的436病院再編・統合の要としてある。都においては、直営の都立病院を全廃し、独立採算を目標に法人による民間運営を強行する。しかも、地方独立行政法人は5年ごとの成績評価に基づき「業務の廃止もしくは移管」(地方独立行政法人法30条)、つまり民間への売却も可能とされる。「独法化しても中身は変わらない」などという都の宣伝は完全なウソだ。独法化された各地の病院の現実がそれを示している。
 大阪では、住吉市民病院が独法化から4年で廃止。滋賀の大津市民病院では理事長のパワハラで医師22人が、立川の災害医療センターでも看護師70人が退職した。千葉の下志津病院や目黒に本部をおく国立病院機構では、業者との数年来の贈収賄事件が発覚して職員が次々と処分されている。先に独法化された東京都健康長寿医療センターでも差額ベッド代を徴収する個室が増やされ、職員の一時金カットが横行している。
 しかも、医師・看護師数も地域の介護職員も減員を強制された上で激しい合理化が襲いかかる。看護師などに地域包括センターなどとの相互兼務を強制する「人事交流」など、矛盾と怒りの噴出は不可避だ。
 独法化を前にしても、「都立病院をつぶすな!署名」は地域で拡大している。その中で「反対したい。旗振りがほしい」という都立病院職員の声も寄せられている。日本共産党などの影響下にある病院現場をも揺さぶり獲得する責任勢力として登場しよう。
 11月労働者集会の呼びかけ3労組陣形のもとに、階級的労働運動をよみがえらせることが今こそ必要だ。東京の労働運動全体を再生させる展望もかけ、都立病院独法化阻止闘争のさらなる発展を切り開こう。

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7・1都立病院つぶすな、独法化粉砕都庁包囲デモ
 7月1日(金)
 午前11時 都庁への署名提出
 正午 都庁前アピール行動
 午後1時15分 新宿中央公園「水の広場」集合、
 1時30分 デモ出発
 主催 都立病院をつぶすな!署名アクション

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