焦点 改憲急ぐ自民党 「自衛隊」「国防規定」の明記要求
週刊『前進』04頁(3247号03面04)(2022/06/06)
焦点
改憲急ぐ自民党
「自衛隊」「国防規定」の明記要求
ウクライナ戦争と米日の中国侵略戦争策動の強まりの中で、改憲攻撃が急速に強まっている。岸田政権は「防衛費の倍増、敵基地攻撃能力の保有」を声高に叫んでいるが、これ自体が憲法9条を破壊する暴挙である。しかも5・23日米首脳会談でこれを対米公約にまで高めることで野党の一層の屈服をとりつけ、改憲に向かう情勢をつくり出そうとしている。国会は2月以来、毎週のように衆院憲法審査会を開き、参院でも審議を進めている。自民党や日本維新の会は7月参院選を改憲大宣伝の場にしようとしている。自民、公明、維新、国民民主など改憲派の議席数は現在、すでに改憲の国会発議に必要な3分の2を超えており、岸田政権は参院選後、さらに改憲攻撃を加速させようとしている。
これに対して野党は、日帝によるウクライナ戦争をも使った「祖国防衛」主義の大宣伝と「中国脅威論」に総屈服している。とくに日本共産党は「(台湾)有事に自衛隊を活用」と積極的な参戦表明を行った。スターリン主義は第2次世界大戦で労働者階級の反戦闘争を裏切り、一方の帝国主義陣営にくみして参戦したが、それを再現しているのだ。全く許せない。
また、自民党が連合の取り込み=分断策動を強めていること、他方で動労千葉、関西生コン支部などの闘う労働組合、さらに革共同への弾圧を強めているのも改憲と戦争体制づくりのためである。「改憲・戦争阻止!大行進」の闘いがいよいよ決定的に重要だ。
憲法審査会で9条論議
5月12日の衆院憲法審査会で、自民党の新藤義孝が初めて本格的に9条に言及し、「自衛隊と国防規定を憲法に明記することは、緊急事態条項の整備と合わせ、最優先の課題」と主張した。これは重大である。「自衛隊と国防規定を憲法に明記する」ことは、戦力と交戦権を否認した9条2項を投げ捨て、日帝が再び軍国主義と戦争の道を突き進むことである。日帝はこれまで憲法9条に手をつけられないまま、なし崩しで自衛隊の大増強、海外派兵、集団的自衛権解禁などを行ってきた。だがそれでもやはり憲法9条と、そこに刻まれている労働者階級の闘いは、日帝が大軍拡と中国侵略戦争に突き進む上で決定的な制約となっている。新藤自身が「自衛隊が合憲であると言い切る憲法学者は2割程度しかいない」と嘆いている現状だ。だから支配階級は、戦後脈々と続く労働者階級の反戦意識と闘いを解体して自衛隊を合憲化し、「国防」を「国民の義務」とし、戦争ができる軍国主義の国家に日本をつくり変えようと必死になっているのだ。
革命こそ戦争なくす道
そもそも「祖国を守れ」というのは、決して労働者階級の立場ではない。現代の資本主義国家は「資本家階級が労働者階級を支配し搾取する道具」である。労働者階級は日々、賃金制度のもとで強制労働に駆り出され、剰余労働を搾取されている。そして戦争に動員され命と生活を奪われるのは常に労働者人民だ。どうしてこんな国家を守る必要があろうか! ブルジョア国家が行う戦争は、資本家階級の利益のために「ある国の賃金奴隷を他の国の賃金奴隷にけしかけようとする」(レーニン)ものでしかない。戦争をなくすことができるのは世界の労働者階級による帝国主義打倒のプロレタリア革命だけである。その勝利をめざして戦争絶対反対を貫き、改憲を阻止しよう。