子ども甲状腺がん裁判始まる 原告女性が胸に迫る陳述
週刊『前進』04頁(3247号03面02)(2022/06/06)
子ども甲状腺がん裁判始まる
原告女性が胸に迫る陳述
(写真 支援者の大きな拍手に送られ、午後1時、弁護団が横断幕を掲げ東京地裁に入った【5月26日 千代田区】)
「311子ども甲状腺がん裁判」第1回口頭弁論が5月26日午後2時から東京地裁で行われました。この裁判は2011年3・11福島第一原発事故による放射線被曝で小児甲状腺がんを発症した17〜28歳(事故当時6〜16歳)の青年が東京電力に損害賠償を求め提訴したものです。
地裁前には早くから多くの支援者が駆けつけました。傍聴人数が限られていましたが、傍聴整理券配布には200人以上が並び、裁判を応援する力の大きさを感じます。
裁判と並行して午後2時から支援集会、3時15分から報告集会が近くの日比谷コンベンションホール・大ホールを満杯にして行われました。報告集会では原告の意見陳述の音声(約17分。裁判前日の練習の録音)が流されました。「(医師から)『手術しないと23歳までしか生きられない』と言われたことがショックで今でも忘れられません」「大学に入った後、初めての定期健診で再発が見つかって、大学を辞めざるをえませんでした」「肺転移の病巣を治療するため、アイソトープ治療も受けることになりました。高濃度の放射性ヨウ素の入ったカプセルを飲んで、がん細胞を内部被曝させる治療です」「そんな辛い思いをしたのに、治療はうまくいきませんでした。治療効果が出なかったことは、とても辛く……」「この裁判を通じて、甲状腺がん患者に対する補償が実現することを願います」。
会場からすすり泣きの声が聞こえるほど胸に迫るものでした。
弁護団からも重要な訴えが多くありました。「この裁判は原発関係の裁判の中でも特に重要です。政府は原発の放射線被曝による健康被害を絶対に認めない。認めると原発を動かせなくなるからだ」「原告の意見陳述は素晴らしかった。被告代理人は、今後ほかの5人の原告が陳述することに反対できなかった。裁判の真実を弁護団も社会に発信していく。みなさんも周りに発信してほしい」
次は9月7日午後2時からです。東京地裁前に集まりましょう。
(北沢隆広)