岸田が少女像撤去を要求 狙いは戦争のための歴史修正
岸田が少女像撤去を要求
狙いは戦争のための歴史修正
岸田文雄首相がドイツのショルツ首相との首脳会談で、ベルリンのミッテ区に設置された、日本軍軍隊慰安婦制度の被害者を象徴する「平和の少女像」の撤去を求めたことが判明した。2015年に安倍政権と韓国パククネ政権が発表した「日韓合意」で問題は解決済みであり、像の存在自体が許せないというのだ。
そもそも安倍―パククネ政権下で強行された「日韓合意」とは、サバイバーである女性たちを排除し、日本政府の責任を否定した上で「最終的かつ不可逆的に解決」などという言葉で日本軍軍隊慰安婦問題を「終わったこと」にしようとする卑劣な攻撃だった。岸田は当時の外相としてこれを推進した張本人だ。しかし、韓国をはじめ全世界で怒りの声と行動が巻き起こり、日本帝国主義の狙いは打ち破られ続けてきた。
ドイツ・ベルリンの像は、こうしたうねりの中で20年に現地の市民団体「コリア協議会」や「ベルリン日本女性の集い」などが設置したものだ。これに先立つ13年にはアメリカのカリフォルニア州グレンデールに、17年には同州サンフランシスコにも少女像が設置されている。
運動の広がりに追い詰められた日本政府は敵意をむき出しにし、在特会系団体と一体となって像の設置に反対するだけでなく、そうした勢力が提起した訴訟に政府として賛成の意見書を出すなどして徹底的に運動を非難・妨害してきた。
今回、コリア協議会は緊急声明で、岸田の撤去要求は「市民の自由な意思表現と市民社会の活動を阻む全体主義的な行為」だと批判。またアメリカでも市民団体「賠償と教育のための慰安婦行動」が声明で「ドイツの首相が世界中でホロコーストの記念碑を撤去するよう求める様子を想像してみろ」と強く弾劾した。
日本政府はこの間、教科書の記述を単なる「慰安婦」とするなど、軍隊慰安婦制度という国家的戦争犯罪を歴史から消し去ろうと執念を燃やしてきた。何よりも、再びの中国侵略戦争に乗り出すためだ。「ロシアの戦争犯罪」を声高に非難する日帝の本質が、ここにはっきりと表れている。
しかし、歴史の真実を葬り去ることはできない。何よりも、サバイバーたちの人生をかけた闘いは若い世代に引き継がれ、二度と帝国主義戦争を許さない力として日帝の前に立ちはだかっている。今こそ、韓国、ドイツ、アメリカをはじめとする労働者民衆との国際連帯を発展させ、岸田の戦争策動を粉砕しよう。