大軍拡と改憲に踏み込んだ岸田打倒の6~7月決戦へ 7・17国鉄集会組織化に総力を

週刊『前進』04頁(3246号01面02)(2022/05/30)


大軍拡と改憲に踏み込んだ岸田打倒の6~7月決戦へ
 7・17国鉄集会組織化に総力を


 バイデン来日と日米首脳会談・日米豪印4カ国(クアッド)首脳会合を迎え撃つ5・22大闘争は、世界戦争・核戦争を絶対に阻止する日本労働者階級の決意を込めた戦闘的デモとしてかちとられ、世界に大きく報道された。他方、今回の日米会談後に発表された共同声明とバイデン・岸田の共同記者会見では、中国侵略戦争に向かう米日帝国主義の極めて重大な踏み込みが表明された。この戦争策動に怒りをたぎらせ、改憲・戦争絶対阻止の6~7月決戦に立とう。7・17国鉄闘争全国集会の成功をかちとろう。第3次世界大戦・核戦争の危機を世界革命に転化しよう。

台湾有事へ軍事介入表明

 5・23日米首脳会談後に発表された共同声明は、昨年4月の共同声明をも上回る激しさと踏み込みをもって、米日帝国主義の中国侵略戦争―世界戦争・核戦争への突入を宣言した。
 共同声明は、「核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた......日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)」という従来の表現に加えて、「米国の拡大抑止が信頼でき、強靱(きょうじん)なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認」「拡大抑止に関する日米間の協議を強化する」と明記した。
 「拡大抑止」とは、米本国に対する核攻撃だけでなく同盟国に対する核攻撃をも「抑止」するという口実で、米軍の戦略資産(弾道ミサイル、戦略爆撃機、戦略原子力潜水艦などの核関連兵器)を同盟国に展開することを指す。直接には、米軍中距離ミサイルの日本への大量配備計画に、日米首脳による「共同声明」という形でお墨付きを与え、その実行のための「日米間の協議」を公然と開始することを明記したのだ。
 これと一体で極めて重大なのは、バイデンが日米会談後の共同記者会見で「中国が台湾に侵攻した場合に米国が軍事介入する意思はあるか」と記者に問われ、「イエス。それがわれわれの責任だ」と明言したことである。これまで米帝は、「台湾問題は中国の国内問題」とする中国政府の主張を少なくとも公式には否定せず、台湾有事の際の米軍の対応についてはあらかじめ明言しない「あいまい戦略」と呼ばれる戦略をとってきた。昨年の日米共同声明ですら「両岸問題の平和的解決を促す」という表現にとどめていた。それを今回、岸田と同席した共同会見の場で覆し、「台湾有事」における米軍の軍事介入を公然と表明したのだ。
 国内外のメディアは「バイデン氏、台湾侵攻に軍事介入明言」(時事通信)、「米方針に変化か」(英BBC)と一斉に報じ、ホワイトハウスの報道官は「アメリカの政策は変わっていない」と火消しに動いたが、バイデンが米帝の対中戦略の決定的な「転換」を意図して今回の発言を行ったことは明白だ。これは台湾を中国本土から分離して米帝の勢力圏とみなすも同然の発言であり、それに中国が対抗するなら核を用いた戦争行為も辞さないことをバイデンは表明したのである。これ自体が極めて挑発的な戦争宣言だ。

防衛費「相当な増額」明記

 今回の日米会談は、米帝が狙う中国侵略戦争に、日帝もまた自らの延命をかけて主体的・積極的に参戦していくことを全世界に表明するものとなった。
 バイデン来日に先立つ5月17日、岸田政権は「敵基地攻撃能力」に関し、集団的自衛権としても行使は可能だとする答弁書を閣議決定した。そして今回の共同声明では、「国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討」し、「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」と明記した。「あらゆる選択肢」とは改憲、核配備・核武装、「敵中枢」への攻撃能力保有など、文字通り一切の戦後的制約をかなぐり捨てるということであり、そのための防衛費の「相当な増額」=国内総生産(GDP)比2%化の途方もない大軍拡に踏み出すということだ。ここまで具体的に共同声明に記したこと自体が戦後の日米関係においても極めて異例である。そしてこれを受けて、バイデンは国連改革に伴う日本の安保理常任理事国入りを支持することを表明した。
 だが他方で、バイデンが中国とのデカップリング(切り離し)のための目玉として発表した「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」は、関税の引き下げや撤廃には踏み込めず、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々を取り込める展望もなく、むしろアジアでの米帝の影響力・支配力の低落を印象づけるものにしかならなかった。クアッド首脳声明では「ロシア」や「中国」という文言すら盛り込めなかった。
 戦争は全世界規模でインフレ(とりわけ食料価格の上昇)を激化させ、労働者民衆の生きるための決起を生み出している。新自由主義の大崩壊と戦後世界体制の最後的崩壊の中で、米帝に新たな世界支配を打ち立てる力はない。全世界の労働者階級が団結し、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制を根底から転覆して世界革命を完遂する時代が始まっているのだ。

3労組声明武器に反撃を

 このように5・23日米会談と5・24クアッド会合は、極めて重大かつ許しがたい米日帝国主義の戦争会議となった。だが、これほどの事態が進行しているにもかかわらず、既成政党は何一つ行動を起こさず、そればかりか祖国擁護派=戦争推進勢力へと雪崩を打って総転向している。5・22大闘争はこの状況を突き破り、米日帝国主義の中国侵略戦争―世界戦争を世界革命に転化する決定的な突破口を開いた。その中心に11月集会を呼びかける3労組(全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉)の闘いがある。
 7月参院選に向け、岸田・自民党は改憲・戦争への策動を一層強め、公明党は防衛費確保を自民党に提言、日本維新の会は防衛費増額と9条改憲を公約として押し出そうとしている。国民民主党の参院選公約も防衛費増額、「打撃力」整備だ。日本共産党は自衛隊の有事活用を積極的に宣伝している。だが、既成政党・労組が次々と戦争推進に転じる一方で、闘いを求める現場組合員・労働者の声は日増しに高まっている。3労組共同アピールを武器にこの情勢に切り込み、国鉄闘争全国運動が呼びかける7・17全国集会の大成功をかちとろう。
 核戦争情勢と対決し、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の大高揚をつくりだそう。南西諸島を戦場化する米海兵隊の遠征前進基地作戦(EABO=エアボ)を暴露・弾劾し、基地撤去・安保粉砕の闘いを爆発させよう。
 警視庁公安部による4同志不当逮捕(前号既報)に対し、連日の東京地裁前情宣活動が闘われ、26日の勾留理由開示公判にも多くの労働者・学生が傍聴に駆け付けた。戦時下の治安弾圧を粉砕し、4同志をただちに奪還しよう。

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