労組つぶしのJRを弾劾 動労水戸損賠訴訟 石井真一さんが証言

週刊『前進』04頁(3245号02面05)(2022/05/23)


労組つぶしのJRを弾劾
 動労水戸損賠訴訟
 石井真一さんが証言


 動労水戸がJR東日本の不当労働行為を追及し損害賠償を求めている裁判が5月13日、水戸地裁民事第一部(阿部雅彦裁判長)で開かれた。

「労委命令履行」の名で不当労働行為

 この裁判は次のような経緯で2011年に起こされた。動労水戸の組合員13人は、国鉄時代に運転士の免許を取得していたが、JR東日本の労組破壊攻撃により運転士に登用されなかった。動労水戸はこれを不当労働行為として労働委員会に申し立て、「組合員を運転士に発令せよ」という労働委員会命令は08年12月の最高裁決定で確定した。しかしJRは、「命令を履行する」と称して、組合員を遠隔地に強制配転したり、運転適性検査で振るい落としたり、希望と異なる職種に就けることなどを画策した。労働委員会が命じた未払い賃金の支払いについても、夜勤手当と超過勤務手当は支払わないまま居直り続けている。この新たな不当労働行為と、動労水戸組合員への昇進差別を追及して裁判は闘われてきた。
 JRはまともに証拠も出さない不当な態度を取り、これを徹底弾劾する原告側との攻防が約10年にわたり続いて、今回からようやく証人尋問が始まった。

JR不採用と一体で22年も配属差別

 証言に立ったのは、1986年11月の動労水戸結成時に副委員長となり、07年1月から20年1月まで委員長を務めた石井真一さんだ。弁護団の質問に答え、石井さんは国鉄分割・民営化によって本来の業務から外され、勝田駅の売店に6年、水戸駅の立ち食いそば屋に16年、合計22年も不当に配属されたと証言した。動労水戸の多くの組合員が同様の扱いを受けている。これは、国鉄分割・民営化に反対する動労水戸を嫌悪したJR東日本によるあからさまな不当労働行為だ。
 石井さんは、JRによるこの攻撃が、動労千葉組合員に対するJR不採用と完全に一体であることを明らかにした。動労千葉の12人の組合員は、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)が国鉄職員局次長だった葛西敬之(現JR東海名誉会長)に指示して作らせた不採用基準により、JR採用候補者名簿から削除されて解雇された。この不採用基準の策定が不当労働行為になることは、最高裁で確定している。
 動労千葉組合員を採用候補者名簿から削除する実際の作業を担ったのは、当時、国鉄職員局課長補佐で現JR東日本社長の深沢祐二だ。その深沢は93年から95年までJR東日本水戸支社総務部長の地位にあったと石井さんは証言し、「彼が動労水戸組合員への攻撃に関与したことは強く推認される」と弾劾した。さらに石井さんは、「労働委員会命令の履行」と称してJRが行った新たな不当労働行為の実態を具体的に暴いた。主尋問の最後に、石井さんは「JR東日本から不当労働行為をなくしたい。鉄道会社でパワハラが横行すれば必ず大事故が起きる。会社は最高裁決定に従い、不当労働行為をやめるべきだ」と声を強めた。
 反対尋問で会社側弁護士は、「会社には人事権があり、配属先は必ずしも本人の希望どおりにはならない。組合はそれも認めないのか」などという質問を繰り返し、「不当労働行為を続ける会社に労働組合が反対するのは当然のこと」と石井さんに一蹴されて、墓穴を掘った。
 国鉄闘争は1047名解雇撤回闘争が「勝利まであと一歩」の決戦に入り、JR職場では「業務融合化」をはじめとする大合理化攻撃との攻防が続いている。ウクライナ戦争が世界戦争に転じつつある情勢下、階級的労働運動をよみがえらせることはまさに急務になっている。不当労働行為と対決する動労水戸の裁判も、この時期に証人尋問が始まり、重大な局面を迎えた。この闘いを支え、ともに勝利しよう。
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