米帝バイデンと日帝岸田こそ戦争の元凶だ 第3次世界大戦阻止を

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週刊『前進』04頁(3244号02面01)(2022/05/16)


米帝バイデンと日帝岸田こそ戦争の元凶だ
 第3次世界大戦阻止を


 プーチン・ロシア軍によるウクライナ侵攻をもって始まった戦争が第3次世界大戦・核戦争へと転化しつつある中、米大統領バイデンが5月20~24日に韓国と日本を訪問し、日米首脳会談と日米豪印4カ国(クアッド)首脳会合が東京で開催されることが発表された。アメリカ帝国主義・バイデン政権は、ウクライナへの武器供与を拡大し、戦争をひたすら激化・長期化させる戦略をとりつつ、同時に「最大の敵」である中国との戦争に向けた準備を急ピッチで進めている。日本帝国主義・岸田政権はこれと一体化し、改憲・戦争策動を加速させている。その先にあるのは、南西諸島をウクライナ以上の戦場とする破滅的な戦争だ。米日帝の戦争会議を怒りの大反戦デモで包囲・粉砕し、中国侵略戦争―世界戦争・核戦争を絶対に阻止しよう。

南西諸島の「戦場化」を計画

 今、米軍が現実に進めている中国侵略戦争の具体的計画は、海兵隊の新たな作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」と日本全土への中距離核ミサイル(INF)の大量配備を2本柱としている。それは全国の在日米軍基地を中国への核攻撃の拠点とし、南西諸島をはじめ日本全土を現在のウクライナ以上の戦場にすることを前提とした計画にほかならない。
 EABOは、中国侵略戦争に向けて海兵隊の任務と役割を根本的に転換するものだ(図)。これまでのように海兵隊が海軍の艦艇に乗って「敵地」に接近し、空軍などに援護されながら上陸作戦を行うのではなく、逆に空母打撃群を編成する艦艇や爆撃機といった米軍の主力が中国本土に接近できるように制海権を確保すること、具体的には中国軍の「接近阻止/領域拒否(A2/AD)」戦略を攻略することが海兵隊の任務となる(A2/ADは、米軍の侵攻を防ぐために中国軍がとってきた防御戦略に対する米国側の呼称)。
 そのために比較的少人数の部隊に分かれた海兵隊を南西諸島の島々に送り込み、そこに複数の「遠征前方基地(EAB)」を構築。中国軍から受ける反撃を分散しつつ島から島へ移動しながら高機動ロケット砲システム(ハイマース)などで中国軍を攻撃・撃退した後、空母打撃群などの主力部隊を投入して中国の中枢部を攻撃するというシナリオだ。この際、海兵隊の作戦拠点とされる島々には、奄美大島、宮古島、石垣島などの有人島を含む約40カ所が想定されているという。この計画が実行されれば、南西諸島は当然にも中国軍の反撃にさらされ、文字通り「捨て石」にされることになる。現にウクライナで起きている事態を見れば明白なように、米帝は米本土以外の国や地域が戦場になろうと構わず、自らの利益と延命のために血みどろの戦争を延々と続けることも辞さないのだ。
 しかもこの住民を巻き込んだ恐るべき戦争計画が、米海兵隊と自衛隊が一体化した日米共同作戦計画として策定されようとしており、それに対応する形で南西諸島の自衛隊ミサイル基地化が進められている。自衛隊幹部は「申し訳ないが、自衛隊に住民を避難させる余力はないだろう。自治体にやってもらうしかない」と吐露したと報じられている。
 このEABOと一体で、中国に対する核先制攻撃を可能とする中距離ミサイルの日本全土への大量配備計画が進められている。米軍が配備を計画しているのは、2023年からの実戦配備を予定する射程約2775㌔の極超音速滑空ミサイル(LRHW)「ダークイーグル」と見られる。4月8日には、陸上幕僚長・吉田圭秀が米ワシントン州の陸軍基地を訪問し、同ミサイルを視察したことを公表した。
 もとより中距離ミサイルとは、米本土ではなく同盟国に配備してそこから「敵国」への核攻撃を狙うものであり、相手からの反撃も当然ながら発射地点である同盟国に集中する。米帝は米本土を「聖域」とし、同盟国とその周辺だけを核戦争の戦場としながら、「敵国」への核攻撃を行うことができるようになるのだ。1980年代に欧州に中距離ミサイルを配備した際、米レーガン政権(当時)はこの構想を「限定核戦争」と呼んだ。これに対し、米欧や日本などで数十万人、数百万人規模の反核闘争が爆発し、後に欧州中距離ミサイルは撤去されたが、今や80年代とは比較にならない現実性をもって核戦争が切迫しているのだ。
 ウクライナ戦争を果てしなく激化させ、その先に「沖縄戦」と「ヒロシマ・ナガサキ」を何百倍もの規模で繰り返す中国侵略戦争をもくろむ米帝バイデンの来日に対し、戦後一貫して戦争反対を掲げてきた日本労働者階級の誇りと未来をかけて、怒りの大反戦デモをたたきつけよう。

改憲と空前の大軍拡に突進

 こうした米帝の戦争計画と対応して、日帝・岸田政権は憲法9条に象徴される戦後的制約を全面的に撤廃する改憲と大軍拡、自衛隊の実戦部隊化=侵略軍隊化を一気に進めようとしている。
 自民党安全保障調査会が4月21日に提出した提言は、今後5年以内に防衛費の対国内総生産(GDP)比2%までの引き上げと、「敵基地」に限定せず相手国の司令部をも攻撃できる「反撃能力」の保有を要求し、岸田は「しっかり受け止め議論を進める」とこれに応じた。米海兵隊のEABOと連動し、中国の「中枢部」を攻撃できる部隊として、自衛隊を飛躍的に増強しようとしているのだ。
 だが、自民党の極右政治家連中がウクライナ戦争に乗じて鼻息を荒くしても、実際に血みどろの殺し合いをさせられる自衛隊兵士の矛盾と怒りは深刻だ。今年3月の防衛大学校の卒業生479人のうち、自衛隊に入隊しない任官辞退者は昨年の44人から急増して72人にのぼり、過去2番目の多さとなった。防衛大卒の幹部候補生ですらこの状況であり、一般自衛官の毎年の定員割れも一向に解決しない状態だ。防衛省が昨年8月、「はじめての防衛白書」と称する小中学生向け資料を作成・公表し、学校現場への持ち込みまで狙っているのも、こうした日帝の絶望的危機のあらわれにほかならない。
 他方で岸田政権は、年内に「国家安全保障戦略(NSS)」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画(中期防)」の3文書の抜本的改定を狙い、特に防衛大綱については米帝に合わせて「国家防衛戦略」と名称を変更の上、その内容も概要以外は非公開とすることを検討している。それら一切を中国侵略戦争への本格的・全面的参戦に絞り上げようとしている。
 この攻撃と対決し、改憲・戦争阻止の闘いを全国で拡大しよう。とりわけ、この情勢下で何より求められているのは、労働組合が「戦争絶対反対!」を掲げて社会の前面に登場し、改憲と戦争に反対するすべての人々の怒りの結集軸となることだ。そして同時に、学生運動が改憲・戦争阻止の闘いの最先頭に鮮烈に登場することが、全階級を奮い立たせる力となる。
 今、われわれの眼前で第3次世界大戦・核戦争の危機を生み出している根本原因は、資本主義・帝国主義の末期状態というべき危機である。とりわけ、「唯一の基軸国」として世界に君臨し続ける力を失いつつある米帝が、その延命と巻き返しをかけて中国侵略戦争を本気で構え、準備を進めていることが、ウクライナでの戦争も含めた一切の事態を規定している。この破局から人類を救い出すことができるのは、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命だけである。5・22大反戦デモでその歴史的突破口を開こう!
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