耕作権裁判 市東さんの農地守れ 土地特定の誤り追及
耕作権裁判
市東さんの農地守れ
土地特定の誤り追及
4月25日、千葉地裁民事第2部(本田晃裁判長)で天神峰・市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれた。
開廷に先立ち千葉市中央公園で、三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける決起集会が開かれた。
東峰の萩原富夫さんが発言に立ち、「戦争で真っ先に攻撃されるのが空港だ。成田の軍事空港としての本質は明らか。第3滑走路建設を止め市東さんの農地を守ろう」と訴えた。
動労千葉の中村仁副委員長などの連帯発言を受け、決戦本部長・太郎良陽一さんのリードでシュプレヒコールを上げデモに出発。千葉市繁華街を行進し、通勤途中や開店準備で働く人びとに「戦争反対、農地守ろう」の声を届けた。
開廷すると反対同盟顧問弁護団は、原告NAA(成田空港会社)に対する認否・反論として準備書面44を陳述した。
この裁判では、市東さんが祖父の代から耕してきた南台の耕作地の一部をNAAが「不法耕作」と決めつけて明け渡しを求めている。だが逆にNAAが手を染めてきた違法・不正の数々を追及する場となり、十数年闘われている。争点の中心は、市東さんの耕作地の位置特定についてのNAAの致命的誤りである。
NAAは2006年に提訴した当初から、南台41―9の土地を市東家の賃借地だとしてきたが、この場所は石橋家が賃借し耕してきた土地であり、市東家が耕したことは一度もない。
この事実を突きつけられたNAAは最近になって自らの主張に手を加え、「市東東市(孝雄さんの父・故人)は地主に無断で、石橋と土地交換を2回にわたりやっていた」と言い出した。誤った前提から臆測を重ねてありもしない「2回交換」を導き出しても、なんの証明にもならない。
弁護団にこの矛盾を指摘されると、NAA代理人は最初は虚勢を張って薄ら笑いを浮かべていたが、傍聴席から弾劾の嵐を受けてしどろもどろになった。
さらに今回の追及のもう一つのポイントは、空港公団(NAAの前身)の役職員の存在だ。NAAはこの期に及んでも、旧地主・藤﨑との用地買収交渉に関連する報告書などは「一切存在しない」と居直り、裁判所の文書提出命令にも応じていない。
だが1987年当時の公団用地部用地課には多数の役職員がいたことが、大蔵省印刷局発行の「職員録」に掲載されている。用地課長の笹原啓明、さらに同課長代理、調査役など計20人が用地交渉を直接担った者であり、この生存者全員の陳述書提出は不可欠だ。NAAは彼らの現在の安否と所在の確認・調査を速やかに行え。
だが本田裁判長は必要な訴訟指揮を行おうとせず、「原告の対応を見てから」などと言を左右にする。NAAがまた卑劣な証拠隠しを行うことを容認するのか。傍聴席から怒りの声が裁判長に集中した。
次回期日を8月22日として閉廷し、千葉県教育会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
市東さんが、「さらにNAAを追い詰めていこう」と訴え、参加者の奮闘をねぎらった。
弁護団は、位置特定の誤りがNAAの提訴を土台から崩壊させる急所であることを強調し、農地死守の決意を全員が共有した。
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空港強化は戦争加担
弁護団が意見陳述
4月22日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で三里塚第3誘導路裁判が開かれ、両陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして弁護団が意見を陳述した。
最初に顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が立ち、軍事空港としての成田の本質を追及した。プーチン・ロシアによるウクライナ侵略戦争が続く中で、米・NATOが大量の武器をウクライナに提供し、日本政府もヘルメット・防弾チョッキを供与して事実上の参戦国となっている。そうした中で、米日帝国主義の中国に対する侵略戦争が極めて切迫し、岸田政権は沖縄・南西諸島における自衛隊基地建設とミサイル配備を進めている。この情勢と成田は無関係ではなく、有事の際には必ず軍事使用される。葉山弁護士は「成田機能強化は間近に迫った侵略戦争への加担である」と弾劾した。
さらに弁護団が次々と立ち、空港の存在そのものを問う批判をたたきつけた。世界の航空需要は激減し回復など見込めないことで、機能強化推進論の根拠が完全に失われている。「基本計画」を無視して変更を重ねて空港施設を継ぎ足し造ってきた上、深夜早朝の騒音で住民生活破壊を進め、3000㍍新滑走路を建設し敷地を2倍化するなど到底許されないのだ。
次回期日は7月8日。