全世界で新たな労働運動のうねり 米アマゾンで労組結成

週刊『前進』04頁(3241号01面02)(2022/04/25)


全世界で新たな労働運動のうねり
 米アマゾンで労組結成

(写真 歴史的勝利をかみしめるアマゾン労働組合のメンバーたち 【4月1日 米ニューヨーク・スタテン島】)


 戦時下で、新自由主義を打ち破る新たな労働運動のうねりが全世界で始まっている。日本では関西地区生コン支部への弾圧をはね返す闘いが前進している(関連記事2面)。アメリカではインターネット通販最大手アマゾンで労組結成という歴史的勝利が実現した。

 「われわれは歴史をつくった!」----4月1日、ニューヨーク市スタテン島のアマゾン物流拠点で、アマゾン労働組合(ALU)の結成が実現した。約8千人の労働者のうち賛成2654票、反対2131票で可決されたのだ。全米で110万人以上が働く巨大資本アマゾンに労組の旗が立つのは28年の歴史で初めてだ。ALUの闘いは全米を揺るがし、他拠点でも労組結成の動きが進んでいる。
 組織化の中心になったのは、長年アマゾンで働き、スタテン島の拠点で資本の新型コロナ対応に抗議して解雇された労組委員長クリスチャン・スモールズ氏だ。コロナ感染者・犠牲者続出を無視し、コロナ下で巨額の収益を上げながら労働強化を強いる資本への労働者の怒りは沸騰していた。その怒りを、ビラまきや演説、対面での会話を両輪とした数年がかりの組織化でまとめあげたのだ。
 アマゾン資本は職場に反労組のポスターを貼り、ユニオンバスターの講義に労働者全員を強制的に参加させた。労組破壊のために費やされた予算は昨年だけで400万㌦を超える。しかしALUの結成は「労組なき社会」化攻撃は打ち破れることを全世界に示した。
 この闘いは労働運動の大転換だ。従来は、労働法上の手続きにあまりに多くの力と時間を必要とするため、労組設立の成功への壁は高かった。多くの場合には労働者に極めて不利な労働法制を議会で改正するしかなく、そのための選挙運動が中心的任務と言われてきた。だがスモールズ氏らはこうしたあり方を逆転し、現場労働者自身の団結と闘いを軸にして勝利した。職場の組織化と実力闘争で労働法制をもぎとっていった1930年代型のあり方に立ち返ったのだ。
 スモールズ氏はまた「階級的労働運動」を掲げる統一電機労組(UE)などの他労組とも連携し、その教訓から学んできた。戦闘的潮流が執行部選挙で勝利したばかりのトラック運転手労組チームスターズもALUへの支援を表明している。連帯ストを禁止する労働法制を実力で突破してチームスターズがストに立ち上がれば、アマゾンの物流は止められる。戦争を止める展望もここにある。
 新たな労働運動の波は全米に広がりつつある。担い手の多くが10〜30代の青年だ。ALUは、昨年末に創業以来初めて労組が結成された大手コーヒーチェーンのスターバックス労組と共に労組破壊攻撃と対決するメーデー行動を呼びかけている。この闘いに学び、日本でも続こう!

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