焦点 世界的な軍拡競争 戦争だけが資本の生き残り策に
週刊『前進』04頁(3239号03面03)(2022/04/11)
焦点
世界的な軍拡競争
戦争だけが資本の生き残り策に
ウクライナ戦争を契機にして、米帝を始めとする帝国主義各国は絶望的に凶暴化し、軍事力の大増強に一斉に突き進んでいる。
何よりも野放図な軍備拡大の先頭を走っているのは米バイデン政権である。バイデンは3月28日、中国・ロシアとの軍事的対決を念頭に2023会計年度に8133億㌦(約100兆円)の軍事費を議会に要求した。前年度比4%増で過去最大である。バイデンは「増額を好まない人たちもいるかもしれない。だが、我々は今日、違う世界にいるのだ」と語り、「世界戦争の時代」に対応して価値観を軍事最優先に転換することを議会に迫ったのである。さらに29日に米国防総省は「核戦略見直し(NPR)」を発表し、核兵器の先制使用も辞さない方針を表明した。第2次世界大戦で広島・長崎に原爆を投下して数十万人の人民を虐殺した米帝の凶悪な本性は何も変わっていないのである。
ドイツも、ウクライナ戦争を契機としてこれまでの政策を転換し軍事費を大幅に増やした。今年は昨年額(503億ユーロ)を一挙に倍増し1000億ユーロ(約13兆円)を軍事費に充てる。NATOの加盟各国も、軍事費の「対国内総生産(GDP)比2%」化に向かって突き進んでいる。
中国侵略戦争狙う日帝
このような軍拡競争は帝国主義の生き残りをかけた争闘戦そのものであり、世界戦争・核戦争の危機を加速度的に高めている。日帝・岸田政権もまた、中国侵略戦争に向かってこれまでの延長線ではなく画期的に軍事費を増やそうとしている。今年度の軍事費(防衛予算)の総額は21年度の補正予算分を合わせてついに6兆円を突破した。自民党が昨年の衆院選で公約に掲げたGDP比2%、即ち防衛費の倍増(10兆円超)へ突き進んでいる。また安倍元首相は4月3日、山口県で講演し、「(軍備拡大する中国と)衝突の危険性がないようバランスをとることが大切だ」などと、防衛費のさらなる増額を主張した。「衝突の回避」を口実に大軍拡を狙う——こんな大ペテンをどうして許せるか!安倍は「敵基地攻撃能力」についても、「基地に限定する必要はない。向こうの中枢を攻撃することも含むべきだ」と主張した。中国や北朝鮮の首都・重要都市への先制攻撃も「防衛」の名目で正当化している。「核共有」論=核武装論と一体の超反動的な主張だ。 軍事費の増大は、社会保障の切り捨て、大増税、労働者人民の生活と生命の破壊に直結する。揚げ句の果てに戦争で命を奪われることなど、絶対に許せない。
今こそ反戦闘争爆発を
JR東海名誉会長の葛西敬之はかつて、「そろそろどこかで戦争でも起きてくれないことには、日本経済も立ち行かなくなる」と語ったが、まさに帝国主義支配階級は大軍拡と戦争をやらなければ生きていけなくなっている。一発2千万円の対戦車ミサイル「ジャベリン」が何百発もウクライナの戦場で発射されている。戦争が長引けば長引くほど、軍備拡大競争が激しくなればなるほど、労働者人民・兵士の犠牲が増えれば増えるほど、「死の商人」は大もうけする仕組みだ。こんな帝国主義は、今すぐ打倒するべきだ。
ロシアも米帝・NATOもウクライナから手を引け! 日本政府は戦争に加担するな! 戦争をなくすことができるのは、労働者階級の世界的な反戦闘争の爆発とプロレタリア世界革命だけである。