国境越えた労働者の団結を イギリス労組が反戦声明

週刊『前進』04頁(3239号02面02)(2022/04/11)


国境越えた労働者の団結を
 イギリス労組が反戦声明


 ウクライナ戦争を発火点とした世界戦争の危機に対し、労働者階級は世界中で反戦闘争に立ち上がっている。イタリア労働者階級人民の闘い(1面)に続き、ここではイギリスの公共サービス労働組合(UNISON=ユニソン)全国執行委員会の声明を紹介する。ユニソンは自治体・教育・医療労働者など130万人を組織する。イギリスのナショナルセンター・労働組合会議(TUC)の「ビッグ4」の一つだ。イギリスではNEU(全国教組)、RMT(鉄道・港湾・運輸労組)、FBU(消防士組合)などもウクライナ反戦の声明を出している。世界の労働者人民と連帯し、世界戦争を阻止しよう。(編集局)
 われわれは、ロシアのウクライナ侵略に反対し、弾劾する。われわれは、即時停戦と全てのロシア軍がウクライナから直ちに撤退することを要求する。
 ウクライナでの戦争はきわめて危険な展開だ。この状況に潜んでいるのは、それが広がり、エスカレートし、国際紛争の拡大に他の国々を引き込むリスクである。労働者階級は、ロシアでもウクライナでも、戦争から得るものは何もないし、最大の代償を払わされるであろう。
 この戦争が核紛争へエスカレートする危険性、そして人類の生存に及ぼす脅威について、特に注意を喚起する。われわれは、全ての核兵器の使用及び保持に反対することを含めて改めて表明する。
 われわれは、恐るべき状況のただなかでも、国境を越えた労働者の団結を構築することを支持する。ウクライナとロシアの労働者は共通の利益を持っている。
 われわれは、警察の弾圧にもかかわらず、侵略に抗議しているロシアの人々と連帯する。われわれは、大衆的な反戦運動を、ロシア軍の内部をも含めた場で構築することを支持する。
 われわれは、ウクライナの労働者がゼレンスキー政権から独立した態度を表明し、自分たち自身の組織を構築して独立した行動をとることを支持する。この行動には、侵略しているロシア軍のランク・アンド・ファイルの兵士たちとの対話とつながりの構築への挑戦が含まれるべきである。
 われわれは、この紛争のどちらの陣営であっても、一切の極右ないしファシスト集団が、この戦争を利用して、国家的及び民族的緊張をいっそう挑発することによって、彼ら自身の組織と活動を構築しようとすることを弾劾する。
 われわれは、ウクライナの公共サービス労働者が、もっとも悲惨な状況で人道的な仕事を行っていることに対し、連帯のあいさつを送る。われわれは支援を組織し、この任務に適合した労働組合をとおして、適切な手を打つことを含めて実質的な連帯を送るつもりである。
 この戦争は、NATOの中東欧への拡大によって促進されたロシアとNATOの間の代理戦争でもある。われわれは、NATO諸国の軍によるこの紛争の拡大と介入のあらゆる策動に反対する。
 われわれは、経済制裁が特に労働者に集中的に打撃を与え、西側による攻撃的な手段と見なされ、その結果、プーチンヘの支持を強化する可能性があることに注意を喚起する。
 われわれは、ジョンソン政権を全く信用していない。それはこの問題だけでなく、他のあらゆる問題についても同じである。彼らは2年以上にわたり、コロナ問題への不適切な対応を意図的に行い、人命を完全に無視していることを示し、イギリスで15万人以上の命が失われる結果を生みだした。
 われわれは、ロシアの国家権力が国内の抗議行動を弾圧していることをイギリス政府の閣僚たちが批判する一方で、イギリスにおける抗議と民主主義に対して警察・犯罪・量刑法案の制定によって権威主義的抑圧を強めようとしている偽善を指摘しなければならない。
 われわれは、戦争からイギリスに逃れてくる難民の入国の権利に対してイギリス政府が行っている恥ずべき人種主義的制限に反対する。われわれは、この紛争及びその他の紛争からの難民を歓迎することを求める。われわれはまた、黒人がウクライナを離れることがいくつかの国境で妨げられている状況にも恐怖を感じている。人種主義はわれわれを分断し、戦争への反対を弱めるだけである。これは、国籍・国境法案に反対することがいかに重要であるかを示している。
 イギリスでわれわれは、労働者が今回の危機やその他コロナなどの危機の代償を払わせられないことを要求している。労働者は小売物価指数によるインフレ率を上回る賃上げを受けるべきである。われわれは、エネルギー価格の大幅な値上げに反対し、ガス・電力会社の再国有化を求める。われわれは、ウクライナやその他、戦争で荒廃した地域から逃れてきた人々に避難所が与えられるように支援する。オリガルヒと超富裕層の富は、労働者階級のコミュニティに必要な資材を提供するために没収されるべきである。
 われわれは、戦時下でも平時と同様、発言し、議論し、討論し、抗議する民主的権利を守る。労働運動内の議論を封じ込め、異なる見解を持つ人々をいじめ、脅迫しようとするいかなる試みも、われわれは弾劾する。われわれは、引き続きストップ・ザ・ウォー・コアリション(反戦連合)やCND(核軍縮キャンペーン)を支持し、彼らが呼びかける反戦抗議行動に参加するよう組合員に対し要請する。
 ウクライナとロシア、そして世界中の労働者は共通の利益をもっている。この嘆かわしい状況にあってもわれわれは労働者の団結と国際主義の立場に立つ。
(3月16日)
このエントリーをはてなブックマークに追加