大坂裁判 裁判員裁判除外が決定
週刊『前進』04頁(3238号04面02)(2022/04/04)
大坂裁判
裁判員裁判除外が決定
3月10日、東京地裁刑事第3部(丹羽敏彦裁判長)は、大坂正明同志の裁判について「裁判員裁判から除外する」と決定した。裁判員制度開始から13年、「除外決定」は東京地裁で初めてだ。大坂同志の裁判開始を前に勝ち取った画期的勝利である。
大坂同志は、星野文昭同志らと共に1971年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争を闘った。国家権力は集会・デモを禁止し、1万2千人の機動隊で厳戒態勢を敷いたが、青年労働者・学生は実力でこの圧殺攻撃をうち破り、沖縄米軍基地撤去、安保粉砕・日帝打倒の歴史的闘いをうちぬいた。 この闘いに恐怖した国家権力は、機動隊員1人が死亡したことをもって報復的な殺人罪でっち上げ弾圧にうって出た。でっち上げで無期懲役を強制された星野同志は44年間獄中で不屈に闘い、大坂同志は46年間の指名手配と闘った上、接見禁止のまま東京拘置所で5年間も闘っている。
大坂同志の裁判は裁判員裁判が前提だった。沖縄闘争と一体となった50年間にわたる不屈の闘いで、でっち上げ弾圧が暴露されることを恐れた国家権力は、大坂同志へのでっち上げを「国民」の名による裁判員裁判で強行しようとした。
2009年に始まった裁判員裁判は、国民に国家と一緒になって人を裁き、刑罰を加えることを強制するものだ。新自由主義の破綻の中、国家の統治・支配の強化を目的にして導入された。当初より「個々の被告人のための制度ではない」と公然と言われ、治安強化のために裁判の「簡易・迅速・厳罰」化を至上目的とするものだった。
こんな強権的な裁判制度によって大坂同志をでっち上げようとすることなど断じて許さない。弁護団は東京地裁に「除外請求」をたたきつけた。「大坂さん救援会」の仲間は東京地裁前で宣伝活動を闘い続け、東京地裁を追い詰めた。
さらに、「裁判員制度はいらない!大運動」をはじめとした不屈の闘いによって、裁判員候補者に選ばれても選任期日に出頭する人が2割になっているなど、今や裁判員制度の破綻的現実が明らかになっている。
また、ロシアのウクライナ侵略戦争に対する国際反戦闘争が巻き起こり、沖縄では中国侵略戦争のための、米軍の攻撃拠点化に激しい怒りが噴出している。これらと一体となって大坂裁判が戦闘的にうちぬかれるのは不可避だ。
こうした中、東京地裁は裁判員裁判からの除外を決定せざるをえなかったのだ。検察官が主張する「裁判員専任手続きの困難さ」を理由にした決定であるが、これは裁判員制度の破綻を自ら認めたものだ。
大坂同志は無実だ。物的な証拠は全くない。警察・検察は、デモに参加した大坂同志と面識がない群馬の学生4人(うち3人が少年)の「供述調書」を脅迫と拷問の取り調べで捏造(ねつぞう)した。
さらに、50年も前の政治的でっち上げ事件であり、当然にも「証人」や「関係者」が死亡したり、記憶が無くなっている現実が明らかになっている。もはや裁判など成り立たない。
そもそも大坂同志の起訴は違法だ。「共犯」とされた奥深山幸男さんが亡くなるまで、公判手続停止のまま36年間も違法に放置し、大坂同志の時効の進行を止めたのだ。
全世界で巻き起こっている国際反戦闘争と沖縄闘争の高揚と一体となってでっち上げ攻撃と闘い、大坂同志を絶対に奪還しよう。