崩壊・自滅する連合 改憲叫ぶ自民と癒着し 「官製春闘」に全面埋没

週刊『前進』04頁(3238号02面03)(2022/04/04)


崩壊・自滅する連合
 改憲叫ぶ自民と癒着し
 「官製春闘」に全面埋没


 ウクライナでの戦争は世界戦争の危機を引き寄せている。岸田政権はこれを絶好のチャンスとして「中国の脅威」をあおり、「敵基地攻撃」も公言して中国侵略戦争に突き進もうとしている。既成の全勢力が戦争翼賛にのみ込まれる中で、連合はそれを労働組合の名で促進しつつ、自らの解体と崩壊を深めている。これは、戦前の1940年、日本労働総同盟が解散し、大日本産業報国会が発足して、労働者が戦時体制に組み敷かれた歴史を思わせるただならない事態だ。

中国侵略戦争狙う大軍拡予算に賛成

 連合と自民党との癒着は、これまでの限度をはるかに超えて進んでいる。
 連合の新年交歓会には首相の岸田が出席し、参院選での与党への協力を訴えた。他方、連合は立憲民主党や国民民主党には発言の機会も与えなかった。2月中旬に開かれた連合中央執行委員会では、参院選での支援政党は明記せず、日本共産党と共闘する候補は推薦しないと決定した。
 自民党も3月の党大会で、運動方針に「連合並びに友好的な労働組合との政策懇談を積極的に進める」という項目を盛り込んだ。この大会で岸田は、改憲は「結党以来の党是だ。今こそ成し遂げなければならない」と叫び立てた。連合との政策懇談とは、改憲・戦争推進の先兵として連合を取り込むということだ。
 連合の芳野友子会長は、政府予算案に賛成した国民民主党の異様な対応を擁護して、「連合は予算案に反対しているわけではない」と述べている。政府予算は中国侵略戦争を見据え、5兆4005億円もの防衛費を盛り込んだ。岸田政権は「防衛費は国内総生産(GDP)の1%以内」という枠もこれ見よがしに取り払った。連合はこの大軍拡予算を丸ごと承認したのだ。
 さらに、芳野会長と清水秀行事務局長が、自民党副総裁で前財務相の麻生太郎と会食していた事実が発覚した。春闘のさなかにだ。麻生はこれについて、「連合の話を一番聞いているのは自民だ。賃上げを経団連や経営者に一番言っているのも自民だ」とうそぶく。
 連合は、自らの力で賃上げを勝ち取るという労働組合の立場を完全に投げ捨てたのだ。「官製春闘」に全面的に身をゆだねる連合の姿は、岸田政権が発足とともに立ち上げた「新しい資本主義実現会議」に芳野会長が加わった時点で、すでに決定づけられていた。

労組解体の攻撃に対応もできず漂流

 日本の支配階級は労働組合を解体すると決断している。2018年7月から全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧が始まった。同年2月にはJRでも御用労組のJR東労組を解体して「労組なき社会」化を狙う攻撃が開始された。この年には「働き方改革」関連法が制定され、資本は雇用形態や労働のあり方の抜本的な転換に踏み込んでいる。
 連合の崩壊は、これらと並ぶ労組解体攻撃の一つの形態だ。連合幹部はこれと対決するすべを一切持たない。御用労組は資本の力に依存して組織を維持してきたからだ。
 その対極で、関西生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組は、25回目となる今年の11月労働者集会を労働運動再生の転機にしようと呼びかけている。3労組は新自由主義の攻撃と対決し、それに負けずに団結を維持して闘いぬいてきた。
 関西生コン支部は弾圧に立ち向かい、反転攻勢に転じている。動労千葉はJRの3月ダイヤ改定に対してストライキに立った。戦時下での実力闘争は、戦争を絶対に阻止するために労働者の階級的団結を守りぬくきわめて重要な闘いだ。

3労組と団結して本物の労働組合を

 3労組がこうした闘いを展開できるのは、日本の新自由主義攻撃の出発点になった国鉄分割・民営化と対決してきたからだ。
 国鉄分割・民営化で総評は解散し、連合は階級的労働運動への敵対物として結成された。その連合による労働者支配のもと、日本の労働者の平均時給は8・2%も下げられた(1997~2018年)。同時期、韓国では150%以上も賃金が上がり、米欧各国でも賃金上昇率は50%を超える。この違いをもたらしたのは明らかに労働組合の闘いの有無だ。連合は、企業の存続のためとして労働者の非正規職化を容認してきた。資本だけでなく連合も、民衆を貧困に突き落とした当事者だったのだ。
 この現実を見た多くの労働者が、「連合はいったい誰の味方なのか」「底辺の労働者に目を向けない労働組合に意義はあるのか」と怒りの声を上げ始めた。労働組合とは、資本と闘うために労働者が自らつくり上げる団結体だ。連合に対する労働者の怒りは、労働組合を職場に組織するという情熱と行動に必ず転じる。
 11月集会25年3労組アピールに賛同し、その呼びかけに応えて、本物の労働組合をあらゆる職場によみがえらせよう。

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