新入生歓迎号 戦争引き起こすのは資本主義 反帝・反スターリン主義貫き資本の支配終わらせる革命を

週刊『前進』04頁(3237号02面01)(2022/03/28)


新入生歓迎号
 戦争引き起こすのは資本主義
 反帝・反スターリン主義貫き資本の支配終わらせる革命を


 現在も多くの死者を出しながら続いているウクライナ戦争はなぜ起きたのか? これは、40年近くにわたり全世界で繰り広げられてきた新自由主義が大崩壊し、その全矛盾が戦争という形で爆発したものだ。今や新自由主義は多くの人々の怒りの的となり、昨年10月の衆院選では自民党から日本共産党までが「新自由主義からの脱却」を掲げた。だが、新自由主義を本当に終わらせることができるのも、差し迫る世界戦争・核戦争を止めることができるのも、われわれ労働者階級の団結した闘いだけだ。戦争とは資本主義の問題であり、資本主義を打倒する共産主義革命こそが求められている。

命奪っても利潤求める資本

 資本主義社会とは、その名の通り資本の論理で動いている社会だ。資本の論理とは、つまるところ無限の金もうけである。
 資本主義における経済活動は、決して社会を豊かにする目的で行われているのではない。企業活動の第一の動機は営利すなわち利潤の追求である。ただ、買い手が必要としている商品でなければ買ってもらえないということに規定されて、有用なもの、生活に必要なものを商品として生産しているにすぎないのだ。
 だから逆に言えば、金になりさえすれば何でも商品になる。軍事産業は人殺しの道具で、証券会社は金融商品で、製薬会社はコロナワクチンで莫大(ばくだい)な利潤を得ている。
 他方、私たち労働者階級は、自らの人生を1時間単位や日、月単位で労働力商品として切り売りする以外に生きていけない。
 「賃金労働者が自分自身の活動を通じて獲得するのは、自分のぎりぎりの生活を再生産するのにやっと足りるだけのものに過ぎない」(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』)
 だが労働者は、自分の労働力を再生産するのに必要なもの以上の価値を生産する。それが剰余価値=資本の利潤となる。この資本の価値増殖運動は資本の過剰による恐慌や失業を生み出す。
 資本同士が互いに競い合って生産を拡大し続けると、それ以上生産しても利潤が増えず、ついには破綻し、商品はありあまりながら街には失業者があふれかえる。こんな社会現象は資本主義以前には存在しなかったし、想像すらできなかったことだ。

矛盾が戦争として爆発する段階に

 資本主義は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて質的な転換を迎えることになった。いわゆる自由主義段階から帝国主義段階への移行だ。
 それは市場、領土、勢力圏、資源をめぐる列強同士の争闘戦(分割・再分割戦)をもたらし、第1次・第2次世界大戦という人類史上未曽有の大惨事に行き着くことになる。
 帝国主義段階の特徴は、巨大企業による独占状態の形成である。自由競争の必然的な結果として、競争力の弱い企業は強い企業によって淘汰(とうた)された。少数の企業による生産の集積(規模の巨大化)と銀行の集積という流れは、その絡み合った形態である金融資本を生み出し、これが国家と一体化して社会を覆い尽くし支配するものとなった。
 この過程は同時に基軸的産業が軽工業から重化学工業へ移行する時期であり、大企業と国家との一体化はますます強まった。
 資本主義の矛盾は、19世紀には恐慌という形で爆発したのに対し、20世紀以降は帝国主義戦争という形で爆発した。戦争は資本主義という社会体制の必然となり、一握りの帝国主義的大国が世界を支配するようになったのである。

新自由主義の崩壊が戦争に

 第2次大戦後の高度経済成長は、戦争で旧来の生産諸力(人間も含めて)がアメリカを除いて大量に破壊されることによって実現したが、その戦後成長も1974~75年恐慌という形で終焉(しゅうえん)を迎える。その中から生まれたのが現在まで続く新自由主義だ。
 74~75年の世界同時恐慌は、戦後成長の終焉を告げ知らせると同時に、全世界的な過剰資本・過剰生産力状態を露呈させることとなった。そこからの乗り切りをかけて強行された新自由主義は、「競争原理に任せれば社会はよくなる」として市場原理主義を振りかざしながら、労働組合をたたきつぶしつつ、公的部門の民営化・外注化を徹底的に推し進めた。そして医療・福祉、教育、公共交通など社会を社会として成り立たせるために絶対に必要な領域を破壊し尽くしていった。さらに金融面での規制撤廃は経済のバブル化をもたらした。

労組破壊と戦争が新自由主義の核心

 新自由主義は戦争や対外侵略と一体で導入された。80年代の米レーガン政権、英サッチャー政権、日本の中曽根政権の政策を見ればそれは明らかだ。
 レーガンは航空管制官労組(PATCO)つぶしと一体でソ連に対する軍事的圧力とグレナダ侵攻を、サッチャーは炭鉱労組つぶしと一体でフォークランド戦争を引き起こした。
 そして日本の中曽根政権は1987年の国鉄分割・民営化で国鉄労働組合(国労)をたたきつぶし、当時の労働組合のナショナルセンターだった日本労働組合総評議会(総評)と、総評を支持母体とした社会党の解体を狙った。中曽根はそれにより「立派な新憲法を床の間に安置する」と語った。

民衆を貧困に突き落とし「経済成長」

 新自由主義の展開の結果、経済は「好転」したかのように見えた。しかし、その内実は大企業と国家が社会を崩壊させ民衆の血を吸った分が「経済成長」として現れるというものでしかなかった。
 2008年、リーマン・ショック直前にはトヨタ自動車が2兆円を超える営業利益を上げる一方、労働者の雇用と賃金は破壊され、3人に1人が非正規雇用になった。こうしたことが全世界で展開されたのだ。
 リーマン・ショック後の大恐慌は巨額の財政投入と金融緩和によって乗り切られたかに見えた。だが、それは新たなバブルをつくりだした。それが崩壊すれば、08年をも超える大恐慌を引き起こすことになる。これを何とか回避するために金融引き締めを行おうとした矢先にコロナ・パンデミックが発生し、各国政府は再び財政投入と金融緩和を強いられた。こうして、コロナ下で実体経済が明らかに収縮しているにもかかわらずバブルだけが膨張するという状態が、今も続いているのだ。
 他方、08年に4兆元(約57兆円)という空前の財政出動を行った中国も国内に巨大なバブルを抱え込み、昨年には不動産最大手・恒大集団が経営危機に陥った。
 新自由主義とは「最末期帝国主義の絶望的延命形態」であって、単なる経済政策の問題ではない。「新しい資本主義」などと言って新自由主義から転換するかのようなポーズを取っても、実際に進行することは新自由主義へのますますの突進である。

米帝を盟主とする戦後体制が崩壊

 それは、アメリカ帝国主義を盟主としてきた戦後世界体制の崩壊と世界戦争を引き寄せている。
 米帝は、オバマ政権時代の13年9月にシリア内戦への軍事不介入声明を発表した際、「もはや米国は世界の警察官ではない」と宣言した。トランプ政権は「アメリカ・ファースト」を公然と打ち出し、軍事のみならず経済的にも自国第一の政策を展開し始めた。新自由主義崩壊の最大の要素は米帝の決定的没落だ。そして米帝は、自らの世界支配を脅かす最大の敵・中国への侵略戦争という世界大戦規模の戦争を構えている。そうした中でプーチンによるウクライナ侵攻を引き出すまでに至ったのだ。
 そして、日本帝国主義は没落の中で強烈な危機感を募らせ、帝国主義として独自の軍事力を持つことを狙っている。現在もウクライナ戦争を奇貨として改憲、核武装を何としても進めようとしている。日帝が叫ぶ「台湾有事」とは、「米中対立に日本が巻き込まれる」というような性格のものではない。中国侵略戦争こそが日帝の狙いだ。
 帝国主義の戦争とは、一握りの資本家・ブルジョアジーが自分たちの利益のために世界の労働者階級人民を分断し、対立させ、殺し殺される関係の中にたたき込むものだ。平時においては誰もが「戦争はよくない」「戦争は反対だ」と言う。ところが、実際に戦争が始まる時には「祖国を侵略から守れ」という大合唱が巻き起こされていく。この時に、労働者民衆の本当の敵は自分たちの国の政府であり、資本家だということをはっきりさせて闘わなければ、反戦を貫くことはできない。
 「ある戦争の真の社会的性格、あるいはもっと正確に言えば真の階級的性格がどのようなものであるかということの証明は、いうまでもなく、その戦争の外交史の内にではなく、すべての交戦列強の支配諸階級の客観的状態の分析の内に含まれている」(レーニン『帝国主義論』)

米日の中国侵略戦争阻もう

 資本主義が今日まで存続してこられたのは、スターリン主義が世界中の労働者階級の闘いに敵対し、革命を敗北させてきたからである。このスターリン主義を打倒することは、現代革命において欠くことのできない課題である。
 そもそも共産主義は、国際的に単一の階級であるプロレタリアートが、資本主義を全世界的に転覆するプロレタリア世界革命を通じてのみ実現しうる。1917年ロシア革命はその第一歩としてかちとられたが、他の帝国主義国での革命が敗北したため、革命ロシアは帝国主義に包囲され孤立を強いられた。この時、世界革命を放棄して「一国での社会主義建設」を自己目的化するスターリンらが台頭し、レーニンの死後、反対派を暴力的に追放して党と国家の全権力を握った。以後、ソ連と各国の共産党は帝国主義との妥協・共存を基本戦略とし、プロレタリア革命を圧殺する反革命へと変質していった。このように変質した偽物の「共産主義」のことをスターリン主義という。中国の現体制や日本共産党も、スターリン主義としての本質は全く同じだ。
 なお、ソ連スターリン主義崩壊後のロシアは単純に資本主義化したわけでなく、国有企業などスターリン主義体制の残存物を旧共産党官僚とプーチン的新興勢力が簒奪(さんだつ)・私物化し、支配を再構築した旧スターリン主義国と言える。資源産出国・核保有国ではありながらも、経済力で見れば国内総生産(GDP)は韓国にも及ばない程度だ。
 他方、米欧の帝国主義諸国はソ連崩壊後、東欧諸国に続々と進出し、これと並行して米帝を主力とする北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大が進んだ。これに追い詰められたロシア・プーチン政権が、ウクライナのNATO正式加盟を前にして、「今しかない」と強硬手段に出たのが今回の戦争である。それは、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制が最後的に崩壊し、史上3度目の世界戦争へのプロセスが現実に始まったことを示している。

革命裏切ったスターリン主義と闘う

 スターリン主義の最大の害悪は、これらが「社会主義・共産主義」の看板を掲げる国家・政治勢力としてあるということだ。そのことが労働者階級に絶望感を与え、資本主義を支える決定的な役割を果たしていることを断罪しないわけにはいかない。スターリン主義は打倒対象であり、われわれの手で再び労働者階級の自己解放の思想と実践=プロレタリア世界革命を貫徹しなければならない。
 残存スターリン主義国家・中国とその支配党である中国共産党も、1949年の中国革命を世界革命に向かって発展させていくのではなく、今や新自由主義の「世界の工場」となり、社会主義・共産主義とは似ても似つかない超格差社会を現出させている。そしてこれを「中国の特色ある社会主義」などと称して正当化してきた。
 だが、今日の中国の危機と矛盾の爆発の中で、労働者・農民がスターリン主義体制打倒の第二革命へ決起していくことは不可避である。

労働組合の闘いに世界革命の現実性

 新自由主義の最も核心的な破綻点とは、世界中に「資本主義の墓掘り人」である労働者階級を生み出したことにある。
 帝国主義本国のアメリカでBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動が高揚し、弾圧の象徴である警察署が燃やされた。その反動として、2021年1月には現役の大統領だったトランプが右翼・保守勢力をあおって連邦議会議事堂に突入させ、死者まで出る事態が起きている。これが資本主義の破綻でなくて何なのか。
 さらには香港でミャンマーで韓国で、人々が命がけで闘っている。その先頭に立っているのは青年だ。
 毎年11月に開催され、今年で25回目を迎える全国労働者総決起集会は、日本の地で新自由主義に真っ向から立ち向かい負けなかった三つの階級的労働組合(全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉)が「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」と呼びかけて闘われてきた。
 この運動は03年のイラク戦争を契機に全世界的な注目を集め、世界革命の現実性を一つの実践的運動として示している。スターリン主義の発生や幾度もの革命の敗北という辛酸をなめてきた労働者階級が、ついに反帝国主義・反スターリン主義の理論と実践で世界革命の展望をつかみ取ろうとしている。
 すべての新入生の皆さん。ウクライナ戦争に反対し、世界戦争・核戦争への突入を絶対に阻止しよう! 日本帝国主義・岸田政権による改憲、中国侵略戦争を阻止しよう! 革命的共産主義者同盟、マルクス主義学生同盟中核派に結集し、共に世界革命を実現しよう! 反帝国主義・反スターリン主義の旗のもと、万国の労働者団結せよ!
〔革共同中央学生組織委員会〕
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