全学連から新入生のみなさんへ 学生は反戦闘争の先頭に 世界の労働者民衆と連帯しよう 全学連委員長 赤嶺知晃(沖縄大学)

週刊『前進』04頁(3237号01面01)(2022/03/28)


全学連から新入生のみなさんへ
 学生は反戦闘争の先頭に
 世界の労働者民衆と連帯しよう
 全学連委員長 赤嶺知晃(沖縄大学)


 『前進』読者のみなさん、とりわけこの春大学に入学された新入生のみなさん! 今、ウクライナで始まった戦争で、私たちと同世代の若者が殺し合いをさせられ、多くの人々の命が奪われています。残虐な侵略戦争を続けるプーチン・ロシア軍は核兵器の使用にまで言及し、米欧日などは対ロ経済制裁やウクライナへの大量の武器供与をもってますます戦争を激化・拡大させています。日本の岸田政権はこの戦争を「絶好のチャンス」と見て、改憲や軍事予算の増額、さらには「核共有」と称して米軍核ミサイルの国内配備にまで踏み込もうとしています。3月23日に国会でゼレンスキーに演説させたのもその一環です。絶対に許せません! 世界中で巻き起こる反戦闘争と連帯して、日本からも巨大な反戦の闘いを巻き起こしましょう!

ウクライナ戦争の本質

 ロシアでは2月24日のウクライナ侵略戦争の開始から3月14日までに、わかっているだけで159都市で1万5千人近くが反戦デモで逮捕されています。プーチン政権は「虚偽情報」を発信した者を処罰する法律を新たにつくるなど、国内の反戦運動への弾圧を強めています。しかし、ロシア民衆の闘いは不屈に続いています。
 この反戦デモの高揚を背景に、すでにロシア軍兵士の士気は低下し、前線のロシア兵が次々と投降してウクライナの民衆と合流しています。かつて第1次世界大戦のまっただ中で、「パン・土地・平和」を要求するロシア国内の労働者・農民の決起と兵士の反戦決起が一つになって、戦争を遂行する自国政府を打倒する1917年ロシア革命が勝利しました。今まさに、その闘いがよみがえろうとしています。
 ここではっきりさせるべきなのは、ウクライナで始まった戦争が全地球を巻き込む世界戦争・核戦争へと発展しつつある今、プーチンを弾劾するだけではこの戦争は止められないということです。それどころか、この機に乗じてロシアへの憎悪をあおり、事実上の戦争行為である経済制裁やウクライナへの武器供与を強めることは、破滅的な世界戦争・核戦争を引き寄せるものでしかありません。
 そもそも、ウクライナ戦争を引き起こした最大の元凶は、アメリカをはじめとした北大西洋条約機構(NATO)です。事実上の対ロシア軍事同盟であるNATOは、ソ連崩壊後も東欧に加盟国を拡大し、今やその軍事費は全世界の軍事費総額の57%以上にも達します。そして1999年のユーゴスラビア空爆や、2001年以降20年にわたるアフガニスタン侵略戦争など、プーチンがウクライナでやっているのと同じ無差別大量虐殺の侵略戦争を繰り返してきました。アメリカのイラク侵略戦争もそうです。またウクライナをめぐってロシアと対立を深めた米欧諸国は、特に2000年代以降、選挙介入やクーデターの扇動、反ロシア派ネオナチ勢力への援助を行い、ウクライナに「混乱と暴力」をもたらしてきました。
 そして米バイデン政権は、NATOの東方拡大に追い詰められたロシアとウクライナとの間で軍事的緊張が極限的に高まっていることを知りながら、ウクライナを戦場にしても構わないとばかりに大規模軍事演習を繰り返し、大量の武器をあらかじめウクライナに売りつけるなど戦争挑発を繰り返しました。その狙いは、自らは直接交戦せずにロシア・プーチン体制を崩壊させ、アメリカの最大の「敵国」である中国とロシアとの結託を阻止することにあったのです。その先には、中国に対する戦争が準備されています。
 プーチンだけでなく、戦争によって権力を維持し利益を得るような支配階級をすべて打倒し、戦争を引き起こす社会のあり方そのものを根底から変革することが求められています。

南西諸島を戦場にするな

 ウクライナ戦争が始まる前の2月13日〜18日、沖縄では米海兵隊7500人を動員した大規模演習が行われました。中国との戦争を想定した海兵隊の新たな作戦構想である「遠征前方基地作戦(EABO)」の実行に向けた訓練です。バイデン政権は、「近くロシア軍のウクライナ侵攻が始まる」と毎日のように叫び立てる一方で、沖縄では中国との戦争に向けた演習を行っていたのです。
 このEABOでは、沖縄本島を含め150万人以上の住民が生活する南西諸島全体を米軍の攻撃拠点にすることが想定されています。垂直離着陸機オスプレイなどを使って海兵隊の小部隊を島々に送り込み、臨時の作戦拠点を構築し、中国軍から受ける反撃を分散しつつ、各部隊が島から島へ移動しながら中国軍を攻撃する。そして制海権を確保した海域に空母打撃群を投入し、中国本土へ侵攻するというのです。こんな作戦を実行すれば、米軍の拠点を置かれる南西諸島全体が今のウクライナと同様の地獄のような戦場になります。しかも、このような恐るべき作戦を、米軍と自衛隊が共同で行うことが計画されているのです。これと一体で、米軍の中距離核ミサイルの日本列島への大量配備も狙われています。
 安倍政権時代の統合幕僚長で、今もしきりに改憲や軍事力の強化を要求している河野克俊は、3月6日付琉球新報のインタビューで、戦争になった場合の住民の避難は「県庁や自治体にやってもらうしかない」と回答しました。海路・空路ともに封鎖されることが確実な戦時に、どうやって住民を避難させろというのでしょうか。また「沖縄では再び戦場になるとの危機感がある」という記者の言葉に対しては、「有事にはこういう負担があるということを説明すべき」と居直りました。沖縄戦を再来させる米日の策動を、絶対に許すことはできません!
 ウクライナ戦争が始まって以降の3月15日にも、米海兵隊と陸上自衛隊は「離島防衛」の名目でオスプレイの離島への着陸訓練を行っています。これと同時に、中国に対してロシアを支援しないよう牽制(けんせい)するなど、バイデン政権は中国とロシアの連携を阻止することに全力を傾注しています。
 なぜアメリカはこんな戦争を準備するのでしょうか? それは資本主義の歴史的命脈が尽き果て、戦争をやる以外にもたなくなっているからです。とりわけ戦後世界の「唯一の基軸国」であったアメリカが、もはや全世界を経済的にも政治的にも支配し続けることができなくなり、このままでは米国内を統治することもできない状態だからです。だからこそ米支配階級は、今やアメリカに次ぐ世界第2の経済大国へと台頭した中国を徹底的にたたこうとしています。そのためには戦争をも辞さず、ウクライナと同じように沖縄が戦場になってもいいというのです。日本の岸田政権もまた、この戦争に積極的に参戦していくことに帝国主義国家としての延命の道を見いだそうとしています。

5・15沖縄現地に結集を

 今年の5月15日は、沖縄の本土「復帰」から50年目の年になります。1972年5月15日、沖縄は米軍の統治下から日本に「復帰」しましたが、それは「基地のない平和な島」を求めた沖縄県民の声を踏みにじり、米軍基地を残したまま施政権だけを日本に返すという「ペテン的返還」でした。それ以降、沖縄県民はこの5・15という日を「屈辱の日」として、毎年県民大会や平和行進を行い、米軍基地をなくすことを求めてきたのです。
 「復帰」から50年を経ても、米軍基地はほとんど減らないばかりか、基地の騒音や米軍犯罪はますますひどくなり、辺野古新基地建設や自衛隊のミサイル配備が住民の抗議の声を無視して強行され、さらには再び沖縄を戦場にする作戦計画まで準備されているのです。このような策動を進める岸田政権と一緒に「沖縄復帰50年を祝う」ことなど絶対にできません!
 5・14〜16沖縄現地闘争は、政府・県が共催する「復帰50年記念式典」に怒りのデモをたたきつけ、米日の中国侵略戦争を阻止する反戦反基地の大闘争を沖縄から巻き起こす出発点にしなければなりません。新入生をはじめ全国の学生のみなさんに、ぜひ沖縄現地に駆けつけて、共に闘ってほしいと思います。
 全学連は昨年7月23日、コロナ下にもかかわらず医療労働者やボランティア、子どもや中高生を動員して強行された東京オリンピックに対し、開会式会場に迫る実力抗議闘争を闘いました。渦巻く労働者民衆の怒りと一体となった全学連のデモ隊は、大量動員された警官隊の弾圧に一歩も引かず、深夜まで抗議闘争を貫徹しました。開会式会場に響く「オリンピックやめろ!」のデモコールは世界中に報道されました。そしてこの闘いの中で、学生が学生だけの利害ではなく、労働者階級と同じ立場で闘うことで、社会を変革する闘いの展望が開けるということをつかんだのです。
 この2022年、世界中の労働者民衆と連帯し、昨年の7・23五輪開会式粉砕闘争を上回る学生の反戦闘争をさらに広く、大きく爆発させていきましょう。全国の学生の団結した力で、5・14〜16沖縄現地闘争を大成功させましょう。米日による中国侵略戦争を絶対に阻止し、改憲・戦争反対の闘いをさらに拡大しましょう。それがウクライナやロシアをはじめ、戦争に反対して闘う世界中の労働者民衆と連帯する道です。
 新入生のみなさん。世界戦争・核戦争にまで踏み込むほど追い詰められた資本主義を打倒し、労働者階級と共に社会を根本から変革する闘いに、全学連と共に立ち上がりましょう!

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