焦点 韓国大統領選 戦争か革命かが再び問われる時
週刊『前進』04頁(3236号03面04)(2022/03/21)
焦点
韓国大統領選
戦争か革命かが再び問われる時
3月9日の韓国大統領選挙で、与野党が大接戦の末、保守野党の統一候補である「国民の力」の尹錫悦(ユンソンヨル)が新大統領に当選した。
米日韓軍事同盟へかじ
2017年の「ろうそく革命」で打倒された旧パククネ体制を継承する反共保守勢力が再び政権の座についたことに米日帝国主義は大喜びしている。中国侵略戦争の遂行にとって、韓国を全面的に動員し、沖縄と同様に最前線拠点として確保することが必要だからだ。ろうそく革命はまさにこの米日韓軍事同盟形成への動きを韓国労働者階級の実力決起で粉砕し、米日帝に大打撃を与えていた。今回の選挙でユンソンヨルが極右反共主義をむきだしに登場して当選したことは、ウクライナ情勢とも連動し、対中国を軸とする米日帝の世界戦争への突進に拍車をかけている。ユンソンヨルは実際に選挙の過程で、米帝との「血盟」を他の一切に優先すべきとし、北朝鮮への「先制攻撃」をも口にした。「朝鮮有事」の場合に日本の自衛隊が朝鮮半島に軍事介入することも容認した。当選後の記者会見では日米豪印4カ国の対中軍事同盟(クアッド)への韓国の参加を打ち出した。
米日帝の側はこれを契機に、台湾海峡と並んで朝鮮半島での新たな戦争挑発に踏み出そうとしている。とりわけ日帝は、北朝鮮・キムジョンウン政権による核軍拡の再開をも口実に、改憲・戦争、核武装化へ全力で突き進んでいる。
だが事態はユンソンヨルや帝国主義者の思惑どおりには動かない。ろうそく革命が掲げた「ひっくり返そう!財閥の世の中、打ち倒そう!資本家の政府」のスローガンは、韓国労働者階級にとって今やますます切実かつ核心的な要求となっている。また、ろうそく革命が解き放った朝鮮半島の「平和」と「統一」=南北分断の根底的打破を求める全朝鮮人民の熱い思いは少しも衰えていない。逆に米日帝の中国・朝鮮侵略戦争策動と真っ向から激突する闘いのさらなる爆発・発展は不可避である。
民主労総と連帯強化を
今回の選挙でいまひとつ重要なのは、財閥解体や非正規職撤廃など労働者階級の要求を実現すると約束して発足したムンジェイン政権が公然と裏切ったことへの労働者人民の反感と拒絶が正面からたたきつけられたことだ。実際に、ムン政権の5年間に新自由主義のもとで蓄積された韓国社会の矛盾は極限的に拡大した。不動産など資産価格の暴騰で一部の金持ちがさらに肥え太る一方、労働者民衆の貧困化と社会全体の崩壊的危機が激しく進んだ。
そこに生み出された労働者階級内部の正規職と非正規職の分断、男性と女性の分断と対立を徹底的に利用したのがユンソンヨルだ。女性の権利拡大を「逆差別だ」として対立をあおり、「女性家族省の廃止」を公約に掲げて20代男性の票を集めたのはその典型だ。
民主労総は与党「共に民主党」と最大野党「国民の力」のどちらも資本家政党であって打倒対象であるという方針を貫いた。だが労働者階級を代表する候補を一本化し擁立できずに終わった。
全労働者が分断を打ち破って団結し、「敵は誰か」を明確にして闘えば、資本の支配は必ず覆せる。民主労総はこの確信と決意を胸に、ユン新政権と全面対決する闘いに突入した。これと固く連帯し、日本での戦争を内乱=革命へ転化する闘いをさらに進めよう。