セブン―イレブン契約解除の撤回を求める裁判 松本オーナーが最終意見陳述 全国にはびこる理不尽と闘う

週刊『前進』04頁(3234号02面02)(2022/03/07)


セブン―イレブン契約解除の撤回を求める裁判
 松本オーナーが最終意見陳述
 全国にはびこる理不尽と闘う

(写真 セブン本社の契約解除通知に抗議し、松本実敏オーナー(左)とコンビニ関連ユニオンの河野正史委員長(右)が2019年12月27日、東京都内で記者会見)

 セブン―イレブン東大阪南上小阪店の松本実敏オーナーの契約解除撤回を求める裁判が2月18日、大阪地裁で開かれ結審しました。判決は6月23日。松本オーナーは堂々と最終意見陳述を行いました。要旨を掲載します。松本オーナーの訴える「世の中の理不尽に屈せず、誰もが人間らしく生きられる社会」をつくろう。(編集局)

 まずは、私の店で毎回シフトの初めに従業員と一緒に唱えていた、お店のモットーを読み上げます。
 「お客様に喜んで頂き、かわいがってもらえる、少しでも地域社会に貢献できるようなお店づくりを、みんなのお店をモットーに従業員全員でつくり上げていけるよう頑張ります」
 私は学生の頃から正義感が強く曲がったことが嫌いな性格でした。自分の中では、良いことこそすれ悪いことは一切していないということが誇りであり、自信になっていると思います。
 時短営業を決行したときも、なんとか話し合いで解決したいと思い、誠心誠意訴えましたが、セブン―イレブン本部は全く聞く耳を持ちませんでした。
 私は「命より大切な契約などない」と全国に訴えました。私の元には全国のオーナーから、時短を申請しても許可してもらえない旨の報告が山のように入ってきました。そして自分の店舗だけでなく、全国の苦しんでいる店舗にも時短や見切り販売が許されるように行動を起こすようになりました。それが本部にとっては目の上のたんこぶだったのでしょう、契約解除に向けた私への攻撃が始まりました。クレームが大変多い店だということをあげ、同時に私と親交のあるオーナーさんたちに、圧力をかけ始めました。
 今までお互いに信頼して、一緒に頑張ってきたと思っていた本部社員が、私の人格に対する攻撃の陳述書を提出してきました。寝る間も惜しんで、休日も返上し、過労死寸前になりながら、一生懸命経営努力をして、利益もあげ本部に多額のロイヤリティー(上納金)も支払ってきた私が、彼らにとってはただ単に自分の非を認めない人格異常者であると思われていたと思うと、情けないやら悲しいやら言葉にしようがありません。
 まあ、それでも会社命令として彼らも仕方なくやったことに、今では良心の呵責(かしゃく)にさいなまれていることでしょう。そんな事実を、当時、人間不信に陥っていた店長であった私の息子にも、さらに落ち込みはしないかと懸念しながら伝えました。そのときの彼の一言が、私を救ってくれました。
 それは、「あっち側でなくて良かったよね」という言葉でした。全くその通りでした。私の父が生前、「おてんと様をまっとうに見られない生き方はするな」と常々言ってましたが、父に誇れる生き方をしていることに喜びを感じました。私は事実を事実として伝えていくことに専念しようと思いました。
 今回の裁判で学んだ大きな事実は、「どんなに巧妙かつ執拗(しつよう)に大量のうそで攻撃してきても、事実は一つであり、それを覆すことはできない」ということです。この裁判は一個人と一大企業との闘いという、ちっぽけな闘いではありません。全国にはびこる、力と金によって強いられている理不尽が、許されるのかどうかという「道徳の問題」です。
 この裁判の結果が「良」と出れば、たくさんの命が救われます。逆に「否」となればさらに強い圧力で締め付けられるでしょう。裁判所におかれましてはその辺の社会情勢も踏まえて、事実にのっとって公明正大なる判断をしてくださるよう、心よりお願い申し上げます。

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