経済安保法案粉砕を 国家総動員法の復活狙う 核兵器の秘密開発許すな
経済安保法案粉砕を
国家総動員法の復活狙う
核兵器の秘密開発許すな
岸田政権は、経済安全保障推進法案を25日に閣議決定し、国会に提出して、今国会で成立させようと狙っている。この法案は、米日帝国主義の中国侵略戦争のために「経済を戦争に動員する」「経済を戦争の道具とする」ための凶悪で反人民的なものだ。それは労働者人民の生活と権利を破壊し、監視と密告の社会をつくり、戦争への国家総動員体制をつくるための法案である。改憲・戦争阻止!大行進の運動を全国で発展させ、経済安保法案を絶対に粉砕しよう。
経済と社会の戦時体制化
法案の狙いは、政府やマスコミが強調する「技術流出の防止」「サイバー攻撃への対処」という防衛的なもの、あるいは人民の生活を守るものでは、決してない。自民党の議論を主導してきた甘利明が、「経済が国家の安全保障に貢献していく関係をしっかり整理できた」(2月17日付朝日新聞)と語っている。ここにその狙いがあけすけに語られている。
「国家の安全保障」とは資本家階級が労働者階級を支配・搾取する資本主義国家体制を守ることであり、そのためには戦争もやるのである。そして第1次世界大戦以降の帝国主義が行う戦争は、軍隊が戦場で戦うだけでなく、「銃後」も含めて国民が総動員される総力戦である。中国侵略戦争に向かってこの法案は、国家が経済過程、企業経営に介入し統制し、「アメとムチ」を使って全産業界、全社会を戦争に動員するための法案なのである。
法案は7章からなり、4本柱----①サプライチェーン(供給網)の確保、②基幹インフラの事前審査、③先端技術開発の官民協力、④特許非公開----で構成される。(表参照)
①〜④のすべてが、平時の経済活動を軍事・戦争の観点からとらえ返し、戦争に突入しても絶えることなく戦争を継続できる体制づくりを狙っている。半導体などの重要な戦略物資を確保し、サイバーをめぐる戦争に勝ち抜き、日帝・国家が生き延びる体制の構築を狙っている。また、重要分野で中国製品を締め出し、中国に打撃を与えることもこの法案の狙いだ。どのような取引が違法となるのかもあいまいにしたまま、たとえば中国の企業と取引する企業を常時監視し、脅し、対中貿易から手を引かせるとか、罰則を振りかざして国家の戦争政策に動員しようとしている。
すでに法律の成立を待たずに、2019年頃から経済産業省、外務省、国家安全保障局(NSS)、警視庁、公安調査庁などが「経済安全保障」の担当部署をつくり、情報収集や企業への周知活動を行っている。
中国と取引する企業への弾圧も強まっている。中国に工作機械を輸出していた横浜市のメーカーが「外為法」違反の嫌疑をかけられ、多数の社員が何度も取り調べられ、20年3月に社長ら3人が逮捕・起訴され1年近く勾留された(技術幹部は長期勾留で治療も受けられず病死した)。新法制定を契機にして、日帝権力はこうした弾圧をさらに強めようとしている。
情報を漏らせば懲役刑も
③および④は、核技術やバイオ、AI(人工知能)や量子などの先端技術が例示されているが、それが意味するものは、核兵器、生物・化学兵器、ミサイル技術などの開発を秘密裏に行うことである。官民による協議会を設置し、政府、自衛隊、産業界、大学・研究機関を総動員して兵器開発に突き進もうとしている。しかも「情報を漏らしたら監獄にぶち込むぞ」という脅しを加えながらだ。
「官民協力」と「秘密研究」の先にあるのは戦争だ。戦時中、理化学研究所の仁科芳雄や京都大学の荒勝文策ら物理学者が軍部の要請で原子爆弾の秘密研究に取り組んだ。今日帝は再び、核武装・戦争のために大学や研究機関、研究者を動員しようとしている。
「経済安保」を巡って世界の帝国主義が一斉に同様の動きを強め、争闘戦を激化させている中で、日帝は大きく立ち遅れている。
経済界も世界危機の激化の中で、戦争体制に移行しつつある。日本経団連と経済同友会は「経済と安全保障を切り離して考えることは最早不可能であり......待ったなしの課題だ」(日本経団連)とか、「国家が経済と先端技術を国家間競争の武器として戦略的に利用する時代となった」「先端技術を経済安全保障上の国力と化すことで、日本は世界と渡り合うことができる」(経済同友会)などと述べて、経済安保法の早期制定を要求している。
戦前の歴史を振り返ると、戦時産業統制の最初の基本法規と言われる「軍需工業動員法」が1918年につくられ、さらに「重要産業統制法」が31年に制定された。続いて34〜36年に事業計画の提出や政府の指揮権を受け入れるかわりに税制や金融面で優遇される「事業法」が、石油精製、自動車、鉄鋼などの基幹産業で次々と施行された。こうしたことの上で「国家総動員法」が38年に公布され、経済活動のみならず出版・報道活動や労働運動も規制の対象とされ、中国侵略戦争から第2次世界大戦に向かっていった。
戦前の国家総力戦体制が労働者人民にもたらしたものは何だったのか。2千万人を超えるアジア人民の虐殺と310万人の日本人民の戦死・病死、さらには貧困・飢餓、日常生活の破滅であった。その歴史を私たちはすでに十分に知っている。だから、同じ道を歩み始めた帝国主義支配階級を戦争が始まる前に今度こそ打倒しなければならない。
今こそ反戦闘争の爆発を
〈コロナ×大恐慌〉情勢のもとで日帝は国際的な争闘戦に敗退し、打開の展望もなく危機を深め、だからこそ米帝と共同して中国侵略戦争に突き進んでいる。
日帝を危機に追い込んでいる主体的な要因は、動労千葉を先頭とする国鉄闘争勢力が国鉄分割・民営化攻撃と対決し、以来40年、新自由主義攻撃と闘ってそれを破綻させてきたことである。「二度と戦争をさせてはならない」という労働者階級の戦後的な意識と闘争の継続、階級的な力が、改憲と戦争体制づくりを狙う日帝の前に今も立ちはだかっているのである。
労働者人民が、この地平に確信を持って全力で闘うならば、必ず攻撃を粉砕することができる。自民党と一緒になって中国への排外主義を宣伝する立憲民主党や日本共産党など、野党の屈服、戦争翼賛を粉砕しよう。階級的労働運動と改憲・戦争阻止!大行進を全国で発展させ、その力で経済安保法案を粉砕しよう。改憲を阻止しよう。
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■経済安保推進法案の4本柱
①サプライチェーン(供給網)確保
企業に、半導体や医薬品などの特定重要物資に関する供給計画の作成を求める。政府が必要と判断すれば工場整備や備蓄について財政支援する
②基幹インフラの事前審査
14分野の事業者はインフラ設備の導入に際し、機器名や時期を記した計画書を政府に提出。政府は「懸念ある外国製品が使われていないか」を審査し、改善の勧告・命令を行うことができる。計画書を届けない、虚偽記載、命令不服従は2年以下の懲役か50万円以下の罰金(14分野/電気、ガス、石油、水道、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカード、鉄道、貨物自動車輸送、外航貨物、航空、空港)
③先端技術開発の官民協力
官民による協議会を設け、AI(人工知能)や量子、バイオなどの先端技術の開発を資金援助する。知り得た秘密をもらせば、1年以下の懲役か50万円以下の罰金
④特許非公開
対象は核技術や兵器の開発を念頭に置く。政府が必要と判断すれば出願技術を非公開とする。非公開の特許内容をもらせば2年以下の懲役か100万円以下の罰金