都議会開会日に申し入れ 独法化は公的医療の放棄 病院条例の廃止を許すな

週刊『前進』04頁(3233号02面04)(2022/02/28)


都議会開会日に申し入れ
 独法化は公的医療の放棄
 病院条例の廃止を許すな

(写真 新たに2586筆の署名を提出した【2月16日 東京都庁】)


 東京都議会第1回定例会が開会した2月16日、「都立病院をつぶすな!署名アクション」と「墨東患者・市民の会」が、都立・公社病院独立行政法人化反対の申し入れと第6次署名提出を行った。今回新たに提出した署名は2586筆。総計は15652筆に上る。
●現場労働者の怒り爆発
 小池百合子都知事は今都議会で、独法化を進めるための次年度予算案、新法人「東京都立病院機構」の中期目標を含めた議案を提出しようとしている。最大の焦点は「都民に対し医療を提供し、医療の向上に寄与する」と定める都立病院条例の廃止だ。これは自治体の責任で保障してきた医療や福祉の放棄であり、絶対に認めることはできない。
 同時に、独法化に伴って都立・公社双方で計1万5千人もの労働者を解雇しようとしている。しかも、全国でコロナによる死亡者が200人を超え、50万人超が「自宅療養」を強制されている中でこれを強行しようというのだ。申入書は独法化策動を弾劾し、関連7議案の提出撤回を求めた。
 続いて、患者・利用者の命を守るために体を張って闘う現場労働者が次々と発言。対応した病院経営本部の課長にコロナ下の医療崩壊の現実を突きつけ、独法化は絶対に許さないと怒りをたたきつけた。
 経営本部は、「(独法化しても)都として必要な行政的医療を提供する」「都の医療政策に貢献する」と繰り返したが、それは医療を公的に保障することとは全く違う。「都の医療政策がもうけ中心になったら、もうけ中心の医療をやるということだ。そこには大転換がある」と、核心をえぐる追及がされた。
 介護労働者の仲間は、第6波の中で病院の機能が崩壊し、手術が必要な利用者がたらい回しにされている現実を突きつけ、「介護保険の施設でも人が足りない中でクラスターが発生して、ここに来たくても来られなかった仲間もいる。歯を食いしばって働いている現場労働者がどんな思いか分かっているのか!」と怒りを爆発させた。
●1万5千人の大量解雇
 大きな焦点となったのが、都立・公社双方で1万5千人に上る職員の大量解雇問題だ。経営本部は「解雇ではなく法人の職員として移行する」と述べるが、それ自体が詐欺に等しい。
 「病院事業を都の責任から切り離し、最前線で闘っている都立病院の看護師・医師7千人から公務員の身分をはぎとって賃金を切り下げ、非正規職として働かせるというのか!」。すでに600人規模で都立病院機構の職員募集が始まっており、それらの職員は従来とは異なる労働条件・賃金体系のもとで働かされることとなる。経営本部は「丁寧に説明している」などとはぐらかしたが、結局、本人たちの同意もないまま都が一方的に公務員身分を剝奪しようとしていることを事実上認めた。狙いは労組の弱体化・解体だ。
 今回の申し入れで、都がしきりに宣伝する「新たな都立病院」とは公営事業でもなんでもなく、独法化とは都の病院事業の廃止であることが改めて鮮明になった。そもそも、応対した病院経営本部自体、今年の7月には解散することが発表されている。責任をとるつもりなどまったくないのだ。この一点を見ても、独法化に一片の正義性もない。労働組合が先頭に立って攻撃の内実を広く伝え、運動をさらに拡大することで絶対に阻止できる。
 墨東患者・市民の会の仲間たちも「都立病院が独法化されたら、その後に障害者医療も独法化するのではないか」「都民の声を無視して進めないでほしい」と口々に訴えた。公務員の仲間は「公的な責任を放棄するのは戦争への道だ。この時代に、あなたたちも都民の命を守る立場に立ってほしい」と訴えた。
 約45分にわたる申し入れの後、都庁北側での街頭宣伝にはこれまで以上に注目が集まり、30筆以上の署名と激励の声が寄せられた。
 運動の広がりは着実に小池を追いつめている。16日の施政方針で、小池は独法化について一言もふれることができなかった。都議会への行動を組織し、職場・地域で運動を広げよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加