焦点 岸田権の核政策 原発推進と核武装へ公然と突進
週刊『前進』04頁(3232号03面02)(2022/02/21)
焦点
岸田権の核政策
原発推進と核武装へ公然と突進
米日帝の中国侵略戦争策動の強まりの中で、日帝・岸田政権の原発再稼働と核武装への衝動がかつてなく高まっている。
昨年の自民党総裁選では核政策をめぐる論議が白熱した。
原発再稼働をめぐって岸田は原発の再稼働に踏み込むことを明言した。さらに原発の新増設にまで踏み込んだ。高市早苗はオーストラリアが原子力潜水艦を持つにいたったとして原潜の保有まで主張した。これに河野太郎も同調した。岸田は、核燃サイクルの維持を主張した。自民党総裁選は各候補が核政策推進を競いあい、確認しあう場となった。
日帝総体が原発推進と核技術(核兵器)体系の維持・開発に舵を切った。これは戦後日帝の大転換であり、改憲攻撃そのものだ。この転換はどこで生じたのか。
それは昨年4月16日の日米共同声明で中国を仮想敵とみなし日米同盟を対中国侵略戦争同盟へと転換させるという日帝にとっても命がけの飛躍と決断にある。
原子力潜水艦建造狙う
昨年の自民党総裁選の中で原子力潜水艦の保有が焦点となった。この背景には、高市が言うように中国脅威論を唱える米英豪3カ国がインド太平洋地域での新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設、オーストラリアが米英の協力で原子力潜水艦導入方針を決めたことがある。
さらに昨年の11月16日には、海上自衛隊の潜水艦がアメリカ海軍と南中国海で初めて対潜水艦戦(ASW)の訓練を実施した。自国から遠く離れた南中国海で潜水艦を運用し、アメリカ海軍と対潜戦の共同訓練を実施した。
これを受け日帝も燃料補給が不要で航続距離の長い原子力潜水艦が必要だと言い出しているのだ。
現在の世界の核戦略は、①大陸間弾道弾、②長距離爆撃機、③原子力潜水艦の3つの柱からなる。原潜保有はまさに「敵基地攻撃能力」そのものだ。
しかも日帝は原潜建造の基礎技術獲得に踏み出そうとしている。
岸田が1月17日の施政方針演説で述べた「革新原子力」とは「小型モジュール炉」開発のことだがこれは直接には原子炉を小さくしモジュール化すれば安全だとして老朽原発の建て替え・新増設にあてようとする策動だ。
だが小型モジュール炉に近いものはすでに存在している。それは原子力潜水艦だ。潜水艦内部には数万㌔ワットの原子炉が設置されそれで作った電力を動力にしている。まさに小型モジュール炉とは原潜建造技術そのものなのだ。
核燃サイクル維持表明
岸田は「(核燃サイクルを停めれば)現実に動く原発すら動かせなくなる」と核燃サイクルの維持を公然と表明している。だが核燃サイクルこそ、日帝が原爆の材料であるプルトニウムを手に入れるための手段として一貫して追求してきたものであり、まさに「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(能力)は常に保持する……プルトニウムの備蓄と、ミサイルに転用できるロケット技術の開発はしておく」(外務省内部資料)としてきた死活のかかった政策なのだ。
日帝・岸田の原発再稼働・原子力技術の維持・強化の策動はまさに核戦争への道だ。日帝の中国侵略戦争攻撃との最大の攻防点こそ福島第一原子力発電所の放射能汚染水海洋放出攻撃との攻防だ。3・11福島闘争へ決起しよう。