汚染水放出絶対許すな! 3・11怒りの福島行動へ 被曝強制と核武装の日帝・岸田打倒!
週刊『前進』04頁(3231号03面01)(2022/02/14)
汚染水放出絶対許すな!
3・11怒りの福島行動へ
被曝強制と核武装の日帝・岸田打倒!
(写真 大震災と原発事故から2年の2013年3月11日、福島市で第1回目の「3・11反原発福島行動」が実行委員会の主催で行われ、1350人が結集した。集会後のデモには圧倒的な声援が寄せられた)
11年目の「3・11」が目前に迫っている。今年の3・11は福島第一原発事故を「終わった」ことにさせず事故の責任を徹底的に追及し、政府と東京電力が来春に狙っている放射能汚染水の海洋放出を絶対に許さない闘いの日となった。同時に、原発再稼働阻止・全原発の廃炉を実現し、日本帝国主義の核武装、米日帝国主義の中国侵略戦争・核戦争を阻止する闘いの重大な突破口だ。日帝・岸田政権は、改憲・戦争攻撃と一体で核・原発政策の全面推進に公然とかじを切った。これに対して、広島・長崎の被爆者の怒りの決起とも結合し、福島の中から放射線被曝を絶対にあいまいにせず、核と原発の廃絶を求める新たな不退転の決起が始まっている。「3・11反原発福島行動」が積み重ねてきた闘いを今こそ断固として継承し、大発展させる時が来た。闘う福島県民と連帯し、全国の労働者は3・11に総決起して闘おう。
政府・東電の責任追及し社会の根底的変革へ決起
まず、東日本大震災―福島原発事故がどれほど深刻な事態をもたらしたのか、改めてはっきりさせなければならない。2011年3月11日、三陸沖で発生したマグニチュード9・0の地震は巨大な津波となって東北・関東の太平洋岸を襲い、家屋をのみ込み、1万8千人以上が犠牲となった。新自由主義による地方の切り捨てと破壊が想像を絶する犠牲をもたらしたのだ。
さらに大地震によって、福島第一原発では1〜3号機が爆発し、燃料棒がすべて溶けてメルトダウンを起こした。また4号機も損壊した。それにより、福島を中心に東北・関東などの大地と海洋が高濃度の放射能に汚染された。放出量は政府の発表だけでもセシウム137が広島原爆の168・5発分。甲状腺がんの原因となるヨウ素131が広島原爆の約2・5発分だ。他にも膨大な量の放射性物質が放出された。
住民の避難は過酷をきわめ、原発から約4・5㌔の距離にある双葉病院と関連の介護老人保健施設では入院患者などのうち44人が、長時間の移動によってバス内や搬送先で次々に亡くなった。避難者数はピーク時で約16万人、県の発表だけで今も約3万4千人が県内外で避難生活を続けている。福島の、とくに浜通りが高濃度に放射能汚染されたにもかかわらず政府は早くから「年間20㍉シーベルト以下は大丈夫」として住民の帰還を推し進め、被曝を強制してきた。被曝は住民の命や健康に深刻な被害をもたらし、特に小児甲状腺がん患者は県が確認しているだけで現在、少なくとも290人に上る。
政府と電力資本は「原発は絶対安全、クリーンエネルギー」と言いなして原発建設を推進してきたが、それが真っ赤なうそであったことが衝撃的に暴かれた。逆に政府・権力と大資本が結託した「原子力ムラ」の腐りきった実態が、白日のもとにさらけだされた。これへの福島と全国の労働者人民の激しい怒りの噴出は、日帝を恐怖のどん底にたたきこんだのだ。
新自由主義と闘う労組を軸に福島圧殺を打ち破る
存亡の危機に立たされた日帝支配階級は、真実の隠蔽(いんぺい)と責任の回避、民衆の怒りと闘いの圧殺に全力を挙げた。3・11後の闘いは、労働者階級がこの福島圧殺攻撃と真っ向から激突し、打ち破って進む闘いとなった。かぎを握ったのは、闘う労働組合の存在と行動だ。動労千葉は大震災と原発事故発生の直後に「生きぬくために闘おう!」と声明を発し、労働者の力による被災地救援とともに「すべての原発を止めろ」と全国・全世界に訴えた。この呼びかけが福島の女性たちをはじめとした政府・東電の責任を徹底追及する決起と結合し、事故の翌年以降、福島の労働者人民を先頭に全国の力を結集して3・11闘争が闘い抜かれてきた。
元福島県教組委員長であり、NAZEN呼びかけ人でもあった故・清野和彦さんは、12年に郡山市開成山球場で開催された3・11集会に向け、次のように訴えている。「集会は事故の責任の徹底追及、事故の被害賠償、放射能からの避難の権利、脱原発、反原発の要求などを実現しようとするものになっていくと思いますし、そうしなければなりません。そのためには労働者、労働組合が闘いの中心に立たなければなりません。……政官産学などに張りめぐらされた『原子力村』を解体し、この資本主義社会をつくりかえるまで永い闘いの一歩を踏み出さなければなりません」
その後も労働組合が軸になって、権力・右翼・体制内勢力などのあらゆる妨害と圧殺策動をはね返し、「3・11」にこだわり、闘いの旗を守り抜いてきた。その中で12年12月1日、福島に心を寄せる医師たちと福島の民衆の力が結び付き、さらに全国の支援がつながり、ふくしま共同診療所が開院した。そして今日まで「避難・保養・医療」の原則を掲げて被曝から住民の命と健康を守る活動を献身的に続けている。共同診療所は韓国・ドイツの医師たちや核廃棄物処分場建設に反対して闘うドイツ・ゴアレーベンの人たちともつながり、国際連帯の闘いを発展させてきた。
何よりも3・11反原発福島行動は階級的労働運動の前進と一体で歩んできた。福島の闘いは動労水戸の被曝労働拒否闘争を生み出し、JR常磐線の全線開通に反対して闘い抜いている。愛媛県職労、京都府職労舞鶴支部の労働者は「住民も労働者も被曝してはいけない」と訴え、地元住民と一体となり伊方原発や高浜原発などの再稼働に反対する闘いを貫いている。3・11福島の闘いはまた、全国の原発立地地域の闘いや各地の金曜行動などの闘いを牽引(けんいん)し、首相官邸前20万人決起の土台ともなり、原発の再稼働を阻止し続けている。
福島の闘いと、労働組合が軸に座ったこれらの運動が日帝の原発政策を追い詰め、核武装を阻止し、改憲を阻む力の根源となってきたことは明らかだ。
核・原発と絶対非和解を貫く闘いを守り広げよう
福島の放射能汚染水放出の攻撃は、福島第一原発事故と被曝強制に対する福島の怒りと闘いの圧殺を目的とした絶対に許せない攻撃だ。同時にそれは、「核も放射線も絶対反対」という労働者人民の階級意識の解体をもくろむ攻撃だ。米日帝が中国侵略戦争に突き進む中で、反核・反原発闘争の解体を狙う攻撃は、日帝にとっていよいよ死活のかかったものとなっている。政府・文部科学省は11年10月に「放射線副読本」(これまでに3回改訂)を発行し、全国の小中高校に配布して「放射線安全」教育を進めてきたが、その上に今や「汚染水安全」の攻撃を全国の教育現場で進めようとしている。復興庁などが「トリチウムの健康への影響は心配ありません」と大書し、トリチウム入りのコップの水を子どもが飲んでいるイラストが入ったチラシを全国の学校現場に配布していることも明らかになっている。
だが、日帝がどんなにあがこうと、福島の怒りを圧殺することなど断じてできない。何よりも昨年「黒い雨」裁判で内部被曝による健康被害を法的にも認めさせる勝利をかちとったことが、日帝を決定的に追いつめている。広島の被爆者の全人生をかけた不屈の闘いが、内部被曝問題を「核と人類は共存できない」という核の本質に関わる問題、国家の戦争責任の問題として明らかにした。闘いは今や、大打撃を受けた政府による必死の巻き返し策動を労働者階級の団結の力で打ち破っていく第2段階に入っている。
広島に続いて福島から、ついに新たな闘いの炎が燃え上がった。原発事故による被曝で小児甲状腺がんを発症した青年たちが東京電力を相手に裁判に立ち上がった。原告は17〜27歳(事故当時6〜16歳)で、福島県内や東京、神奈川に住む高校生やアルバイト、会社員の男女6人の青年たちだ。青年たちは、政府があおるものすごいバッシングの中でも「被曝が原因であるとはっきりさせたい」「安定した生活ができるよう補償してほしい」「同じように甲状腺がんで苦しんでいる人を勇気づけたい」と決断した。これは広島・長崎の被爆者の闘いとも直結する、内部被曝を争う歴史的な裁判だ。勇気を奮い起こして立ち上がった青年たちを全力で支援しよう。
放射能汚染水の海洋放出を絶対に許さない闘いは、こうした絶対非和解の対決をめぐる現下の最大の焦点、激突点だ。福島―全国を貫く巨大な闘いをつくり出し、放出を阻止し、日帝のもくろみを打ち砕こう。
全原発廃炉と核戦争阻止は完全にひとつの課題だ
帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の崩壊―新自由主義の破綻の末に、世界戦争に向かう動きが加速している。ウクライナをめぐる米帝・NATO(北大西洋条約機構)とロシアの動向は、米帝が3千人の部隊を東欧に派兵し軍事衝突寸前の情勢に突入している。東アジアでは米日帝が中国侵略戦争に向かってかじを切った。米日帝は南西諸島をミサイル基地化し、沖縄・本土に中距離核ミサイルを配備することを狙っている。アジア、ヨーロッパさらに中東の戦争危機が連動し、世界戦争にまで発展する危機が迫っている。現代において世界戦争は必ず核戦争にまで行きつく。それを阻止できるのは、労働者階級が国際的に団結し、帝国主義と残存スターリン主義・旧スターリン主義を打倒する世界革命によってのみだ。この情勢に対し、日帝は対中国侵略戦争を自らの戦争として参戦するために、「敵基地攻撃能力の確保」「防衛費の国内総生産(GDP)比2%以上」などを掲げ軍事力増強に突き進んでいる。中でも「小型原発の開発」などを名目に核武装と原子力潜水艦などの保有に向かって動き出していることは重大だ。核武装も参戦も絶対に阻止しなければならない。
日帝の核武装を阻んできたのが、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニの被爆者を先頭に貫かれてきた「核戦争を許さない」闘いであり、核に連なるすべてのもの——原発や放射線被曝を絶対に容認しない運動だ。この営々たる闘いの歴史が、核武装・核戦争参戦を目指す日帝の前に大きく立ちはだかっている。だからこそ日帝は今、被爆者の怒りと闘いの圧殺を狙うとともに、3・11の現実に対する福島を先頭とした労働者人民の「核・放射能・原発」への怒りと反対の意思を解体しようと必死になっている。だがこの攻撃は、全原発の廃炉と核戦争阻止は完全に一つの闘いであることを全人民の前に提起する。全世界を変革する革命への一層根源的な決起を呼び起こすものに必ずなる。
「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリ・フクシマを繰り返すな!」——3・11反原発福島行動が発してきたこの声を、今こそ全国・全世界に広げよう。労働者階級人民の根底からの怒りを解き放ち、その出発点として労働組合を先頭に22年の3・11闘争の大成功をかちとろう。