日本郵政 「格差是正」口実に処遇改悪 休暇減、病休取得も困難に

週刊『前進』04頁(3230号03面03)(2022/02/07)


日本郵政
 「格差是正」口実に処遇改悪
 休暇減、病休取得も困難に


 「正社員と非正社員の格差是正のため、正社員の休暇を減らし、病休の取得条件も厳格化する」——日本郵政グループが、このような提案をJP労組に対して行っていたことがわかった。2020年10月の最高裁判決で、「正社員と非正社員の待遇に不合理な格差がある」と認定されたことを受けての提案だという。
 具体的には、労働契約法20条に違反する「不合理な格差」と最高裁で認定された①年末年始勤務手当、②祝日給、③扶養手当、④病気休暇、⑤夏期・冬期有給休暇の5項目のうち、⑤について、これまで0日だった期間雇用社員に夏冬1日ずつ有給休暇を与える一方、正社員は3日ずつから2日ずつに減らす。
 また④について、これまで正社員は有給の病休が年間90日(勤続10年以上は180日)で非正社員は無給で10日のみだったのを、今後はアソシエイト社員にも有給で15日与えるが、正社員も含め31日以上の長期療養が必要な場合に限るという。裁判で原告が求めたのは、正社員と同じように1日の療養からでも使える有給の病休だったが、これに対する郵政資本の回答は、正社員も含めて有給の病休の取得条件そのものを大幅に厳格化することだった。これではコロナで10〜14日間休んでも取得できず、女性の生理休暇も無給とされることになる。
 日本郵政は今回の提案にあたって、「経営環境の厳しさ」を理由に、最高裁判決に従って期間雇用社員の労働条件全てを正社員と同じとする選択肢は採り得ない、有給の病休や夏期・冬期休暇などは昭和時代の国家公務員制度の遺物だ、と主張している。民営化の破綻を目の前にした資本の本音がここにある。
 すでに日本郵政は2018年、「同一労働同一賃金」を進めると称して、正社員約5千人に支給していた住居手当を廃止した。JP労組は口先で「反対」と言いつつ、10年間の経過措置を設ける(毎年10%ずつ減額し10年かけて廃止する)ことを条件に容認した。今回の提案も含め、日本郵政のやり方は、あたかも正社員が不当に「優遇」されているかのような転倒した描き方で正規・非正規の分断と対立をあおる卑劣な手口であり、これが全産別に拡大されようとしている。ここに岸田政権の言う「新しい資本主義」の正体が示されている。
 民営化は徹底した階級分断攻撃だ。日本郵政は、3万5千人大合理化に向け、生産性向上イデオロギーの満展開と徹底した労務管理で職場支配を強めようとしている。これに対して、首都圏から反撃が開始されている。それは、分断を打破する反合理化・運転保安闘争への挑戦と反ダラ幹闘争として推し進められている。全国の郵政職場の怒りの声を結集し、22春闘を職場から闘おう。
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