3・11福島へ 動労水戸 石井真一さんの訴え 放射能汚染水の放出阻もう 被曝労働を絶対に許さない

週刊『前進』04頁(3230号03面01)(2022/02/07)


3・11福島へ
 動労水戸 石井真一さんの訴え
 放射能汚染水の放出阻もう
 被曝労働を絶対に許さない



(写真 昨年10月、帰還困難区域での運行停止を求めJR水戸支社に署名を提出)


 2011年3月11日の東日本大震災--福島第一原発事故から11年を迎えます。全国の皆さん、今年の3・11を放射能汚染水の放出を許さない怒りの日にしよう。
 福島第一原発の収束作業は全く進んでいません。東京電力は1月12日、原発の格納容器の内部調査について、準備作業の段階で水中ロボットの放射線量計に異常が出たとして作業の延期を発表しました。格納容器内の様子を全く見ることができず、収束のめどを立てられる状況ではありません。

高線量地帯走る常磐線

 2020年3月14日、東日本大震災--福島第一原発事故以来不通となっていたJR常磐線の富岡駅--浪江駅間が全線開通しました。東京オリンピックを「復興五輪」と称し、それに向けて「福島復興」の象徴とするための全線開通です。
 開通当日、茨城県労組交流センターは実際に常磐線に乗り、放射線量を測定しました。廃炉作業中の福島第一原発に沿って線路が続く大野駅〜双葉駅間は列車の座席の線量が毎時0・76㍃シーベルト。福島第一原発に一番近い大野駅の周りは住宅が「立ち入り禁止」のフェンスで囲まれて誰も住んでおらず、およそ列車が走る地域ではありません。
 このため、茨城県労組交流センターは昨年、「帰還困難区域での常磐線運行停止を求める署名」を4875筆集め、嫌がるJR水戸支社を相手に40分の攻防の末に受け取らせました。JR水戸支社は、最短距離で福島第一原発からわずか3㌔メートルの所を走る列車を運転する運転士や車掌の被曝問題を全く顧みることはありません。そして、車両のメンテナンスや清掃をする労働者の被曝も全く問題にせず、動労水戸が要求しても放射線量も測定しませんでした。動労水戸の調査では、通常の29倍の放射線量が電車の床下モーター周辺の塵(ちり)から測定されています。労働者の被曝問題をあいまいにせず、動労水戸は労働組合として労働者の健康と安全を守るために闘ってきました。

被曝拡大する海洋放出

 福島第一原発の周辺には約1千本のタンクに入った放射能汚染水がたまっています。岸田政権は原発から1㌔先まで海底に穴を掘って配管を通し、汚染水を放出しようとしています。そうすることで漁業権を侵害しないからという、姑息(こそく)な手段で、汚染水を流そうとしています。
 先の広島の「黒い雨」裁判では「黒い雨」を浴びた人の内部被曝が認められました。放射能汚染水を海に流せば、海に関わる人は内部被曝することになります。海に関わる人は数多く存在します。漁師を始め、海運業、貝を取る人、サーファー、塩を作る人、海水浴をする人など様々な人が関わっています。そして魚や貝など魚介類を食べる全ての人。海はつながっていますから全世界の人が内部被曝することになります。これは犯罪としか言えない行為です。放出を絶対に止めなければなりません。全人類の問題です。

全ての原発をなくそう

 私は茨城県に住んでいます。茨城県には日本初の原発である東海原発(現在廃炉作業中)が立地する東海村があります。東海村にはもうひとつ、運転開始から40年も経つ東海第二原発があり、日本原電は再稼働させようとしています。絶対に許されないことです。
 しかし、水戸地裁は昨年3月18日、東海第二原発の再稼働を認めない判決を出しました。原発事故が起きた際の避難計画やそれを実行する体制が整えられていないことが理由です。実際、東海村周辺の6市町村では避難計画を作成しようとしていますが、うまく進んでいません。特に大きな病院や介護施設にいる人の避難計画などはなおさら進んでいません。福島第一原発事故が起きて明らかなように、原発は通常の運転による被曝だけでなく、事故が起きたらもうどうしようもないということです。これは原発を全て無くすことでしか解決しません。人間と原発は共存できないということです。
 私たちは、東日本大震災―福島第一原発事故を絶対に忘れてはなりません。現在も11年前と全く変わらない現実が福島をおおっています。岸田政権は原発事故を忘れさせ、「風評被害」などとごまかし、漁民などをお金で買収しようとしています。どんなに苦しくても、たとえすぐには運動が進まなくてもあきらめてはなりません。
 汚染水海洋放出も被曝労働強制も許さず、3・11を共に闘いましょう。

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