国鉄解雇撤回を JR復帰の勝利へあと一歩 2・13集会から反転攻勢へ
週刊『前進』04頁(3229号02面01)(2022/01/31)
国鉄解雇撤回を
JR復帰の勝利へあと一歩
2・13集会から反転攻勢へ
(写真 2014年10月23日、最高裁への署名提出前にこぶしを上げる動労千葉組合員。10万筆の署名が最高裁に不当労働行為を認定させた)
国鉄分割・民営化を前にした1987年2月16日、国鉄労働者にJRへの採用・不採用の選別結果が告げ知らされた。採用された人にはJR設立委員会からの採用通知が手渡され、不採用とされた人には何の通知も来ないという形で解雇が宣告された。解雇された労働者にとって、2月16日は絶対に忘れることのできない怒りの日だ。それから35年、国鉄闘争全国運動は2・13国鉄集会を開く。ここに集まり、国鉄労働者1047名の解雇撤回闘争に勝利しよう。
労働運動を甦らせる好機
国鉄分割・民営化は、戦後労働運動の基軸に位置した国鉄労働運動を解体し、その廃虚の上に改憲を強行して、日本を「戦争のできる国」にすることを目的に強行された。1980年代初頭に約40万人だった国鉄労働者は、87年4月のJR発足時には約20万人に減らされた。国鉄分割・民営化は戦後最大の首切りだった。大量解雇の脅しのもと、労働組合つぶしの攻撃が職場に吹き荒れた。これは労働運動全体の大再編を引き起こした。曲がりなりにも「階級的労働運動」を掲げていた総評は解散し、89年11月、連合が発足した。大手企業労組のほとんどは資本による労働者支配の道具となり、労働運動は大幅な後退を強いられた。
このもとで、雇用と賃金はとめどなく破壊された。国鉄が分割・民営化された87年、非正規職労働者は711万人で全労働者の17・6%だったが、2021年夏には全体の36・6%になった。1997年から2018年の間に、日本の労働者の平均時給は8・2%も切り下げられた。非正規職化の並外れた進行が、この大幅な賃下げをもたらしたのだ。
これは労働運動が力を失った結果だ。1987年には全労働者の27・6%が労働組合に組織されていたが、2021年には16・9%に落ちた。新自由主義攻撃の司令塔となった第二次臨時行政調査会が発足した1981年当時、ストライキを含めた争議件数は年間7034件だったが、87年には1202件に減少し、2020年はわずか57件だ。非正規職化や大幅賃下げは避けられない運命などではなく、労働組合が闘っていれば押し戻すことはできたのだ。
この現実の上に、JRを先頭に御用労組さえ解体して「労組なき社会」をつくる動きが進んでいる。
だが、国鉄闘争はこれに抗して、闘う労働運動を守りぬいてきた。国鉄闘争を軸に全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組は結合し、階級的労働運動を甦(よみがえ)らせる反転攻勢に立とうとしている。
国鉄分割・民営化を突破口に始まった日本での新自由主義攻撃は大崩壊しつつある。新自由主義は医療や教育など、人間の生存に必要なあらゆるものを破壊しつくした。その実相が誰にも否定できない形で明らかになった今日は、労働運動を原点から甦らせる絶好機でもある。
全労働者の権利守る闘い
国鉄分割・民営化は、資本による得手勝手な解雇がはびこる発端になった。労組つぶしのために組合員を狙い撃ちにして首を切ることは、労働組合法が禁止する不当労働行為だ。組合員を解雇して会社も倒産させ、別の会社を立ち上げて非組合員だけを雇用して操業することは、偽装倒産という典型的な不当労働行為だ。国鉄分割・民営化は国家が強行した偽装倒産そのものだった。
誰が見てもJRと国鉄は同じものだ。だが、「JRは国鉄とは別法人」という法的理屈が仕立てられ、JRの職員採用は「新会社による新規採用」とされた。しかも、JRの職員採用手続きは、①国鉄が採用候補者名簿を作成し、②その名簿の中からJR設立委員会が採用者を決める、という2段階に分けられた。これは、動労千葉などの闘う労働組合の組合員がJR不採用とされても、その不当労働行為の責任をJRに負わせないための仕組みだった。
労働組合が解雇撤回をJRに求めた裁判で、最高裁は03年12月、「採用候補者名簿の作成に組合差別があったとしても、その責任は国鉄にあり、JRに責任はない」という反動判決を出してJRを免罪した。これは解雇撤回・JR復帰を阻む大きな壁となってきた。
政府・JR・裁判所が一体となって行われた組合破壊の解雇攻撃は、資本に「解雇は自由にできる」という示唆を与えた。違法な解雇も労働者が抵抗しなければまかり通る状況がつくり出された。
だから動労千葉・動労総連合は、幾度もの闘争解体攻撃に立ち向かい、解雇撤回の原則を貫いてきた。それは全労働者の権利を守る闘いだ。この闘いは今、「勝利まであと一歩」の大決戦に入っている。
署名を広げて力を示そう
動労千葉が旧国鉄を相手に起こした裁判で、最高裁は15年6月、動労千葉組合員をJR採用候補者名簿から削除するために作られた「不採用基準」の策定は不当労働行為になると認定した。この不採用基準は、JR設立委員長の指示で作られ、設立委員会の会合で正式に決議された。この事実をつかんだ動労総連合は18年5月、解雇撤回などを求めて改めて労働委員会に申し立てた。だが労働委員会は一切の審理を拒んで訴えを退けた。
中央労働委員会の反動命令の取り消しを求める裁判でも、中労委はJR東日本の訴訟参加を拒む異様な態度をとった。JRが法廷に出てくれば、解雇がどう行われたのかという事実が問題になる。そうさせないためにJRをかばったのだ。労働委は事実の究明を一貫して拒んできた。この反動を打ち破り、動労総連合はJR東日本の訴訟参加を裁判所に認めさせた。JRは実質的な当事者として東京地裁に引き据えられた。これは、JRを免罪した03年の最高裁判決以来の反動に風穴を空ける大勝利だ。
だからこそ中労委は「解雇は35年も前のこと。申し立て期間を過ぎた訴えは却下されて当然」という理屈で、すべてを居直ろうとしている。不当労働行為の不採用基準はJR設立委員長の指示で作られた。動労総連合が明らかにしたこの解雇の真相について、中労委は認否も拒んだ。「申し立て期間」だけを盾に押し渡ろうとしているからだ。
これを打破する攻防が、この闘いの最大の山場だ。ここで勝ちぬくためには、まさに力が必要だ。
次回の裁判は2月18日。直前の2・13集会で圧倒的な力を示そう。かつて最高裁に10万筆の署名を突き付けて勝利したように、「解雇撤回の判決を出せ」と裁判所に迫る署名を拡大しよう。解雇撤回を実現する力勝負に打って出よう。