三里塚反対同盟 新年の決意 市東さんの農地守りぬく 成田空港を今こそ廃港に

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週刊『前進』04頁(3226号03面01)(2022/01/10)


三里塚反対同盟 新年の決意
 市東さんの農地守りぬく
 成田空港を今こそ廃港に

(写真 昨年の10・3全国集会後、栗山公園から成田市内デモに出発する三里塚反対同盟)

(写真 「1本100円の大根を大事に」が市東さんの信条【南台の畑で】)


 「農地死守、空港絶対反対」の原則を貫き56年の闘いを誇る三里塚芝山連合空港反対同盟から2022年の新年アピールが寄せられた。成田空港会社(NAA)の卑劣な農地強奪攻撃を粉砕し廃港へと追い詰めるため、反対同盟は闘志を燃やしている。労農学連帯の力で市東孝雄さんの農地を守り抜こう!(編集局)

この地で農業を続ける
 敷地内天神峰 市東孝雄さん

 昨年6月8日、請求異議裁判で最高裁は不当な上告棄却決定を下しました。絶対に認めることはできません。これでNAAはいよいよ攻撃を強めてくると構えましたが、昨年は目立った動きはなく、予想外に「平穏」な年でした。決戦本部を先頭に反対同盟と全国の皆さんが闘ってきたことで、強制執行攻撃に簡単に手をつけられない状況だったということです。
 12月の耕作権裁判でもあらためて感じましたが、本来は原告であるNAAが全部証拠や証人を出すべきところ、彼らは私を裁判で訴えたというのに、法廷でもだんまりを決め込み、都合の悪い文書は「ない」とうそをついて隠し、こちらがそれを徹底追及するという逆転した構図です。空港側がいかに不正義かを示しています。
 一農家としては21年は非常に大変な年でした。気候変動に悩まされ、さらに芽が出ない、出たと思ったら今度は虫にやられ、と苦労の連続でした。
 私だけでなく、すべての農家が試行錯誤の中で農業を続けています。そうした苦労をよそに、政府は種苗法を改悪して地種を採れなくし、減反を進め、食料自給率を下がるままにしています。「もうかる農業」だけを残して農業を切り捨て、一方で防衛費は過去最高の6兆円にふくらんでいます。アメリカから買う戦闘機を1機やめるだけで、どれだけのお金が人々に回るかを考えると、到底許すことはできません。
 成田空港は廃港の危機ですが、そうした中でも今年は私の農地への攻撃が強まるでしょう。しかし何があろうと私は天神峰で農業を続けます。
 今年も、自然体でうそはつかず、全国の人たちと空港反対闘争を共有し、必ず勝利したいと思います。

「世界の三里塚闘争」へ
 敷地内東峰 萩原富夫さん

 21年は3月に芝山現地闘争を行い、10月に全国集会を成田市栗山公園で開催しました。多くの人々に三里塚を訴える上で、インパクトのある闘いができたと自負しています。
 芝山町・相川勝重町長(12月に退任)による集会場貸し出し拒否問題については、伊藤さんを先頭に長期にわたってねばり強く闘って審査請求という形になり、「町は同盟に会場を貸すべき」との意見書をかちとり、違法な言論弾圧だと認めさせました。
 今、市東さんに対する農地強奪強制執行は法律的には可能な状態ですが、その攻撃を阻止し続けています。空港自身が存続の危機にあえいでいることも大きいですが、市東さん自身が踏ん張り、同盟全体が一致団結して闘い続けていることが、昨年の勝利の最大の要因だと感じています。
 資本主義体制の危機と一体で成田の破綻も進んでいます。だから資本主義を破綻に追い込む中でこそ三里塚の勝利もある。経済危機はわれわれの生活を直撃しますが、社会を変革する上で歓迎すべき好機であり、われわれの闘いもそこに生きてくると思います。
 岸田政権は改憲・戦争・核戦争への道を進んでいます。これに対する日本・アジア人民の怒りを集め、革命情勢へと転化すべき時です。南西諸島ミサイル基地化、軍事費大膨張、自衛隊の大規模演習をこれ以上許してはなりません。
 また、世界の若者が環境破壊・気候変動への危機感を燃やして立ち上がっています。彼らと共通する言葉を模索し結びついて、巨大な環境破壊である空港機能強化攻撃と闘い、市東さんの農地を守りましょう。
 2022年はそういう意味で「世界の三里塚闘争」へと発展させる大きなイメージを持ち、闘っていきたいと思います。

労農連帯で反戦闘争を
 事務局員 伊藤信晴さん

 資本主義がとてつもない危機に陥り、崩壊過程に入っていると実感します。
 私は昨年、成田空港の兵站(へいたん)基地化を許さないという気概に燃えて、木更津、横田の反戦・反基地闘争に参加しました。10万人を動員した陸上自衛隊の大演習が全国で展開されましたが、体制的危機だからこそ岸田政権はその突破をかけて改憲・戦争攻撃に突進している。沖縄と連帯し、三里塚が反戦の砦(とりで)として立ちはだかることが求められています。反戦闘争の爆発の中でこそ、市東さん農地決戦の勝利もあります。
 芝山町では元反対同盟の相川町長が同盟への集会場貸し出しを拒否するという突出した事態も起きました。弾劾の声に押されて審理員が「貸すべし」との意見書を出し、一定の勝利をかちとりましたが、われわれは近々会場を借りて集会を開き、相川の責任を最後まで追及する覚悟です。
 成田市、芝山町、多古町など空港周辺地域で毎月行ってきた反対同盟の一斉行動はついに102回に達しました。この地道な積み重ねが本当に重要でした。
 騒音をまき散らし生活を脅かす空港に対し、住民の怒りを引き出し、決起の援助をしてきました。「反対同盟がいることでNAAも騒音対策をやらざるをえない」と感謝されることもあるが、「空港廃港」こそわれわれの目標です。
 動労千葉はついにJR東日本を裁判当事者として認めさせました。大量首切り、不当労働行為の罪でJR会社を法廷に引きずり出す上での決定的勝利です。継続した不屈の闘いの持つ力に確信を深め、この突破口をともに広げていきたい。中国侵略戦争情勢のもとで、労農連帯の力を発揮して反戦闘争を闘い、市東さんの農地を守りましょう。

強奪阻む強固な陣形を
 決戦本部長 太郎良陽一さん

 決戦本部を立ち上げて5年、多忙の中であっという間に過ぎたこの1年でした。敵が市東さんの農地に手をかけた時は、直ちに体を張って阻止行動に立つ決意を日々固め、闘ってきました。最初の頃は意気込んで、同盟の諸先輩に恥じぬよう使命感に突き動かされてあれもこれもと動いていましたが、今は自然体というか、自然を大事にし皆で知恵を出し合い、闘いを生きがいとしています。
 NAAは法律的には強制執行に踏み切れるわけだが、実際には手出しができない。耕作権裁判も15年もかかって全然進んでいない。農民の土地を強制的に取り上げることに何の正当性もないからです。
 新自由主義のもとで、経済成長が全てに優先され、人間関係がずたずたにされてきました。そんな「金がすべて」の考え方を百八十度変えさせる力を三里塚は持っていると思うし、そこに共感する人々は全国に存在しています。その人たちとつながり、農地強奪を阻止する強固な陣形をつくれるか、そこに勝利の展望がかかっています。
 会場貸し出し拒否問題での勝利は、芝山町民に「闘えば勝てる」展望を示しました。真実を語っているのは空港か反対同盟か、今はそのことを問う絶好機です。深夜・早朝の飛行時間の制限を求め、機能強化の白紙撤回を要求し、NAAを追い詰める攻めの時期に入ったと感じます。
 「新左翼」と呼ばれてきた皆さんも、限られた枠内での「政治闘争の勝利」にとどまらず、保守を含めて全人民の意識を根底からひっくり返し獲得するような闘いに、本格的に踏み出すことを願います。
 本年も決戦本部は、現地への結集を呼びかけ、また全国各地の闘いとの結びつきを強化し、市東さんの農地を守り抜く決意です。ともに闘いましょう。

食と農の大切さ見直し
 婦人行動隊 宮本麻子さん

 市東さんは、祖父の代から農家を継いで一所懸命農業に取り組んできました。そのかけがえのない農地を奪うためNAAは違法・脱法をはたらき、うそをつき、証拠を偽造し、都合の悪い文書を隠し、市東さんに「不法耕作の男」との汚名を着せました。正義はどちら側か、一目瞭然です。
 コロナ状況のもとで空港の「公共性」は剥がれ落ち閑古鳥が鳴いています。この上に敷地の拡張、第3滑走路建設などまったくの無意味です。
 命を育む食と農の大切さが見直される時です。市東さんは農薬・化学肥料を一切使わない有機農業を続け、自分にも、消費者にも、自然にも正直に、「うそをつかない生き方」を貫いています。今は大資本がもうけるために都合のいい情報ばかりあふれていますが、そんな時代だからこそ市東さんの生き方がかっこいいと思いませんか。
 今、全学連の先頭に女子学生が立っていますね。五輪開会式粉砕闘争、沖縄や木更津での反戦・反基地闘争、フェミサイドへの抗議などに立つ彼女たちを頼もしく感じます。最近「生理の貧困」が語られるようになりましたが、「女性が自分たちだけで解決すべき問題」ではありません。コロナのもとで女性がより深刻な社会矛盾に襲われている現実に、男女を問わず全員が目を向け変えていく時です。全学連の行動力には大いに期待しています。
 大資本と大金持ちが優遇されながら、働く者の収入は下がり生活が脅かされています。3・11福島第一原発事故をなかったことにして、「カーボンニュートラル」を口実にして原発再稼働が狙われています。市東さんの農地を絶対に守り、労農学連帯、三里塚・沖縄・福島の連帯を一層固く2022年を闘いましょう。

第3滑走路を許さない
 婦人行動隊 木内敦子さん

 新型コロナ感染症への対策として、私は現在勤めている職場から外へ出て人々と交流することを控えるように求められており、反対同盟の行事に参加したり皆さんと交流することができない状況です。
 昨年の6月に、市東さんに対し請求異議裁判で下された上告棄却に強い怒りを覚えながら、この怒りを同じ場所で表すことができないことは大変悔しいです。ともすればマイナス思考に陥り心がふさいでしまいがちですが、やがていつかはみんなと会えることを心の支えにしています。
 市東さんの農地を守りぬく気持ちは一つです。
 日々皆さんが闘っている現場の空気を感じ取るために、手元に届く「週刊三里塚」やビラなどを一字も見逃すまいと、隅から隅まで読んでいます。
 将来が見通せず、多くの人が苦しみを味わっています。特に若者、子どもたちの多くが、生きる希望を見失っているのではないかと胸を痛めています。
 こんな状況で航空需要回復の見込みなどないのに、NAAは「機能強化、第3滑走路建設をやる」と言い張っており、許すことはできません。彼らの言い分のでたらめさは誰の目にも明らかです。農地強奪を許してはなりません。
 みんなで力を合わせて生きのび闘いぬきましょう!

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