新年労働者座談会
新年労働者座談会
新自由主義を終わらせ戦争とめよう
労働運動の本流はここに
出 席 者
鉄尾竜二さん JR
木島圭一さん 教育
和泉陽子さん 医療・福祉
水野英樹さん 金属
澤田晴夫さん JR〈司会〉
2021年11・7労働者集会は、新自由主義を終わらせる階級的労働運動の創出へ確かな出発点となりました。岸田政権は中国侵略戦争を構え、改憲攻撃をさらに激化させています。この中で、11・7集会の組織化へ先頭で闘ってきた労働者同志に、その教訓と展望、今後の課題について語っていただきました。(編集局)
11月集会の新たな地平
労組の刷新へ重要な視点 鉄尾
誘われる側から誘う側に 和泉
鉄尾 2021年の11・7労働者集会は、やったなという達成感が強かったです。動労千葉が新体制をつくって初陣となる闘いなので、組合の団結も強まったと思います。集会に向かう過程で、改憲・戦争阻止!大行進呼びかけ人の高山俊吉弁護士が「現場で実感する11月集会に」と訴えましたが、本当にそうなったと感じました。
国際連帯もものすごく広がっています。日本の労働者と世界の労働者が団結するベースには、日々の職場の苦闘がある。私の組合も普段は職場の攻防ばっかりです。それが国際連帯の広がりをつくり出していることにも感動しました。
あともう一つよかったのは、動労千葉の関道利委員長が基調報告で、労働組合の刷新に向けて五つの視点を打ち出したこと。「第一に、労働組合を資本と闘うための武器として位置づけ直すこと、第二に、一番大事な課題として時代認識を明確にすること、第三に、労働者が社会の主人公であることへの誇りを団結と闘いの土台に置くこと、第四に、労働者に国境はないこと、第五に、反戦闘争を労働組合の本質的課題として位置づけること」と。これは労働運動をよみがえらせる上で、本当に重要な視点です。
和泉 「みんなの11月集会」ということに私もすごくこだわりました。かつては3労組が呼びかける集会に私たちも参加しますみたいな感じだったんですが、そうじゃなくて自分たちが呼びかけるんだと。私の地区では、党員だけでなく一緒に運動をしている人たちがみんな参加できるような地域の11月集会実行委員会をつくりました。大衆がたくさん来るようにはまだなっていないんですが、「誘われる側から誘う側に」をキーワードに実行委員会を始めました。集会の総括会議もやって、2022年の11月集会に向けた会議ももう始めています。自分が実行委員だと自覚することで、誘われる側から誘う側に変わっていくんです。
鉄尾 次の11月集会に向けてもう始めていることは、学ばなければいけませんね。
水野 今回は登りつめた感がある。4月の日米首脳会談で「台湾海峡」が共同声明に盛り込まれ、9月に陸自大演習が強行されて、それに対して各地で反基地闘争や緊急集会を積み上げて、それと拠点労組の攻防が一体となって進んで、11月集会に行った。この流れがすごくよかった。今回の集会は1部、2部と分けずにやったので、改憲・戦争阻止!大行進のイメージがはっきりした。地区では労組の闘いを中心に大行進運動をつくってきたので、すっきりした集会になったと感じました。
あと、11・6国際連帯集会に世界8カ国14労組・団体からメッセージが来て、コロナ禍で直接来日はできなくても、国際連帯がものすごく広がっていると実感できた。
澤田 後でスイスからもメッセージが来て9カ国15労組・団体に。
和泉 そんなにいっぱいつながりがあるんですね。ミャンマーの方々が来てくださったのも、すごかったですね。12月1日の日本ミャンマー協会と首相官邸への抗議行動にも行ったんですが、本当に許せない。日本政府からの資金が国軍にわたり、民衆を弾圧するお金として使われている。なおかつ国内総生産(GDP)の2%を軍事費に使うと言っている。そんな金があるなら医療に回せって思う。ミャンマーの方を支援するだけじゃなくて、これは私たち自身の闘いでもあると思います。
強化された3労組の共闘
現場の闘いで関生と団結 木島
3労組の大きさ捉え直す 水野
澤田 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組共闘が24年間継続され、関生支部への弾圧との闘いの中で、3労組の団結がさらに強まったことは大きな勝利でした。
水野 単に関生を応援するというのではなくて、関生への弾圧は改憲・戦争の先端的な攻撃だから自分たちの闘いとして反撃するんだと闘ってきた。これがポイントでした。現場の実践を共に担えるのは僕らだということが鮮明になり、関生との固い団結がつくられました。
木島 この弾圧は「普通の労働組合への不当な刑事弾圧」ではなくて、戦争絶対反対で闘う労働組合の関生をつぶすという攻撃だと見て、関生弾圧粉砕を改憲・戦争阻止!大行進のメインのテーマに位置づけて闘った。そして裁判闘争とともに、組合員への不当解雇や組合つぶしにかかってくる資本と関生支部がガチでやりあっているところに労働組合交流センターが全力で駆け付けて共に闘う中で、今までにない団結が生まれたと思います。
鉄尾 関生弾圧を改憲・戦争と一体で捉えることは重要です。JRの「労組なき社会」化攻撃も国家権力中枢が指揮している。首相官邸にJR東日本の社長が呼ばれて、一気に労組つぶしに入ってきた。
水野 全国労働組合交流センターの代表運営委員に関生支部が入り3労組がそろったことは決定的です。
鉄尾 関西の仲間への関生支部の信頼がひしひしと伝わってきます。
和泉 交流センターってすごいと改めて思いました。国鉄分割・民営化で総評が解体されて、闘う団結体をつくろうと動労千葉の中野洋元委員長が提案して始まった。労働組合のナショナルセンターとも違うところがポイントで、ナショナルセンターならそこに加入できない組合の労働者はメンバーになれないけど、交流センターは一人から加入できる。このあり方はすごいと思う。
職場の仲間と交流センター医療福祉部会の仲間がつながることを意識してきた。一緒に会議や行動をすることで、いろんな人との関係が生まれ、医療・福祉・介護の全体の状況が分かるようになる。交流センター医療福祉部会に組合の仲間を組織するためには、部会の活動が停滞していたらだめですよね。だから部会の活動も活性化してきました。そういう団結体があることは重要です。
木島 交流センター本来の可能性が全面開花するときが来た。僕らにその自覚がまだ足りないのかもしれません。われわれは階級的労働運動を再生して革命をやろうと言っている。そして関生、港合同、動労千葉のすごい団結と具体的な闘いがある。労働運動の本流はここだと階級の中で堂々と通用する時が来ているのではないか。その自覚を持って打って出るときだと思います。
水野 3労組共闘で年に1回、世界中が注目する集会をやってきた。これは世界でも他にない。僕らがその大きさに追いついていない。11月集会を24年続け、そういうものをつくってきたことを、もう一度ちゃんと捉えないといけないと思います。
労働者の意識は一変した
「私が主催者」組合員が自覚 和泉
労働者が闘い求める時代に 木島
執行部を見る目が変わった 水野
澤田 新自由主義を終わらせる階級的労働運動の可能性はあると改めて感じます。職場や地域の攻防で皆さんがつかんだ実感はどうですか。
和泉 私の組合の仲間は、今までは私に誘われる側の人でした。でも、この秋に組合として参加してきた地域の集まりで、都立病院の独立行政法人化反対の集会を企画した。この集会は彼女にとって〝自分たちが主催する集会〟になった。集会を呼びかける街頭宣伝を職場の最寄り駅でやったんですが、彼女は初めて経験する街宣なのにビラを飛び跳ねるように配っていました。集会は会場あふれるくらいに人が集まって、それを見た彼女は「自分たちが誘った集会にこんなに来てくれた」って感動して、「今度は都立病院独立法人化反対の署名を駅前で集めよう」ってなったんです。その署名も彼女は自信を持って集めていました。
木島 私の組合では、これまでは何度か誘っても「東京まではちょっと......」と言っていた組合員が11月集会に初参加しました。職場ではコロナ対策と称して教育委員会がいろんなことをガンガン、トップダウンで下ろしてくる。職場で組合員は彼一人なんだけど、その都度、管理職に抗議して闘ってきました。ところが、不満を持っているけれど組合には入らず自分からは声を上げない同僚が、「こんな時こそ、組合が頑張ってくれないとね」と言う。でも不満をつぶやくだけで行動しない。集会に参加した彼は、それへのいらだちを電話で僕にぶつけてきた。
また、学校で教員が矛盾した指示を出しても、子どもたちは異を唱えず素直すぎるくらいに受け入れてしまう。怒りを持ちながらもなかなか立ち上がれない同僚と従順すぎる子どもたちを見て、「学校は資本の言いなりになる奴隷をつくる工場になってしまっている。このままじゃだめだと思う」とあふれ出すように怒りと危機感を伝えてきた彼。「気持ちはもっとも。でもそれくらいうちの組合が皆から期待を寄せられているっていうのはうれしいことだと思うよ。だからこそ絶対反対の闘いが大事だね」って電話を切ったんだけれど、ちょっと待てよ、こういう人こそ11月集会に誘わなければと思い電話をかけ直して「今度の日曜日、時間空いてる? 空いていたら東京に行こう。職場や世の中を労働組合の団結で変えようっていう仲間が全国から集まる集会がある」って話をしたら「行きます」ってなった。
これをまぐれ当たりのエピソードと感じるか、コロナ禍で社会が激変し新自由主義が破綻して労働者が自ら団結と闘いを求める時代に入ったと捉えるのかで、職場の仲間や階級への見方が全く違ってくる。階級的労働運動はどこか遠いところにあるんじゃなくて、組織者の側が時代の変化を感じとれることが大事。でも、巨万の労働者を獲得できるようなことをやっているのに、そのすごさを僕らはまだ小さくしか評価していないことに気づかされました。
水野 うちの組合はかつては「動員のきく組合」だったんです。地域の運動の中で反戦闘争への動員は伝統的な行事になっていた。それがこの数年でがらっと変わって、今までの組合のあり方を当てはめても反発にしかならない。この数年は職場をまとめるのが本当に大変でした。
でも年末一時金の攻防が転換点になると思っています。一時金回答が年々下がり続けて、ここにきて前年より一挙に6万円も下げると提示してきた。この衝撃は大きい。うちの職場では夏にコロナの陽性者が何人も出たので、会社にコロナ対策の方針を出せと求めたら、「対策は風邪と同じでよい」と言う。職場で「それ、本当に社長が言ったんか」と何人にも聞かれた。
組合が闘争に入るときは、その都度スト権投票をやるけれど、今回、バツが一つ増えた。バツをつけた若い組合員は「マルしてもストライキはしないから無駄。だからペケにした」と言うんです。彼には、組合員が納得していないのに執行部が妥結してきたことへの反発があった。だから今回、「団体交渉に来れる人はみな来てくれ」と呼びかけた。いつもは組合に不満ばかり言っている人が団交に来て、めっちゃ空気が入っている。団交の翌日に必ず報告集会をするけれど、執行部を見る目が変わって集中して聞いてくれる。だから妥結できない。
鉄尾 JRの関連会社でも、一時金減額への非正規職労働者の怒りはこれまでと全然違う。デスクワークで高給を取っている本社の幹部連中と違い、自分たちはコロナの中でエッセンシャルワーカーと言われて現場の作業を必死にしてきたのに、この仕打ちかよと。非正規職が生きていけない現実に対し、俺たちが結集軸になって闘うと決意しています。
澤田 JRでは3月ダイヤ改定が歴史的な攻防になりますね。
鉄尾 JR東日本は「業務融合化」ですべての職名をなくしてしまう。職名は労働者の誇りのよりどころですよ、職名が表す業務を懸命にやってきたわけだから。運転士もドライバレスにしてなくす。ちゃんと訓練された運転士がいない列車に何千人も乗っていいのか。これは戦争や改憲と一体です。労働者の命をないがしろにしてもいいという発想。事故が起きて何人死んでも、その時いた保安要員のせいにして、上のやつらはまったく責任をとらない。
和泉 どこの職場でもそれはあると思うんです。会社側も安全をうたわなきゃいけなくて、事故報告書とかヒヤリ・ハット報告書を上げるようになっています。建前は「事故を起こした労働者の評価を下げるものではない」「同じ事故を繰り返さないように教訓を共有化するためのもの」と言うけれど、実際には事故を起こした労働者が仕事を外されている。特に夜勤中に事故が起きるんです。夜勤は働いている労働者が少ないので、人を増やさなければだめなんです。今の事故報告書は、損害賠償を起こされないためとか、評判を下げないためとか、会社のために書かされている。本当に労働者やご利用者のためなら、会社が今の人員配置基準では足りないんだと厚生労働省に訴えてもいいですよね。でも夜勤の人員を増やせば人件費がかかるし、人員配置基準そのものを見直して人員が確保できなければ法令違反で営業できない。だから夜勤の人員は増やせないという回答になる。ならば国を動かすしかない。
特養は夜勤の看護師がいないので、コロナの患者さんをみること自体が無理なんです。でも現に同じ法人内でコロナのクラスターが起きた。組合として夜勤の看護師を配置しろと東京都に申し入れたら、「コロナの患者を受け入れている間は、かかり増し経費の中で、今まで以上にかかった経費は国が負担しますから、その経費の中で夜勤の看護師を配置してもいいです」という回答が来たんです。逆に言えば、夜勤の人員増分もかかり増し経費で国が負担すればいいんですよ。
労働者やご利用者の安全は、闘う組合がないと守れないし、時には資本とだけじゃなくて国とも闘っていかないといけない。だから産別の運動はすごく重要だと思います。
木島 教労現場でも労働者が過労やメンタル疾患で次々に倒れています。1年間で3回担任が代わった学級もある。しかも、誰かが倒れても後補充が来ない。そんなとき管理職から「あなたしかいない」と穴埋めを頼まれたら、執行委員でも子どもたちと同僚のためなら仕方がないと引き受けざるを得ない状況が起きる。これを聞いた組合員が「何やっているんですか、労働組合がそれじゃだめでしょ。引き受けたら喜ぶのは雇い主ですよ」と叱咤(しった)激励してくれた。「そうだよな」って気づかされて団体交渉で「倒れても後補充が来ないなんてあり得ない」と追及したら、教育長も「必要だから配置している方に、お休みになっている方の仕事をいつまでも肩代わりさせていいとは思わない」と回答した。でも教育委員会が「代わりの人を一生懸命探していますが見つかりません」と言っているうちに1学期が終わってしまう。やっと代わりに来てくれた人がまた倒れてしまうという現実もある。これまでなら、こんな時は子育てで一度退職した人が講師として学校に戻ってきて現場は回っていた。でも今は免許を失っているから戻れない。これは、安倍政権が労組破壊のために強行した免許更新制度がもたらしたもので、全国で同じことが起きている。
また、ある職場では教委がコロナ対策を理由に医療行為とも言える検査業務まで学校現場に押しつけてきた。感染対策を使った職場支配の強化でありコンプライアンスの問題でもある。組合で徹底議論して、現場の組合員が「それは教職員の仕事ではない」と拒否を宣言したら、その組合員だけでなく職場全体に検査業務を強制することができなくなった。これは学校現場での運転保安闘争で、すごい団結を生み出した。
医療や福祉や教育の現場で労働者が安心してちゃんと働けるようにするためには、革命をやって社会を変えなければいけない。体制内的なお願い運動をしても、体制の側に要求を受け入れる余裕はないから。
そのためにはストライキの復権が必要だけれど、安全をめぐる闘いがその端緒を開いた。「組合頑張って」と言う人にこそ「あなたも組合に入って一緒に社会を変えよう」と呼びかけて、代行主義や救済主義でなくて「あなたと共に闘いたい」と訴えれば、11月集会に3万人、5万人が結集する。そういう民主労総のような闘いをつくれる情勢が来たと職場闘争から感じ取っています。
鉄尾 JRのローカル線切り捨ても新自由主義による社会の破壊の典型です。俺たちには一人でも乗客がいれば列車を動かす、地域に必要な公共交通という誇りがある。それをつぶす。国土交通省は国鉄分割・民営化の破綻を塗り隠すため、駅の無人化やモニタリングシステム導入、ワンマン運転化などの設備投資に対し、人件費削減支援策として税制優遇措置をとると言う。地方の人がローカル線の維持を求めているから人件費削減が必要という口実で。医療の話で出た「かかり増し経費」のようにローカル線の維持費を国が出せばいいのに、それは絶対にしない。
職場の仲間を闘う主体へ
反戦闘争を本質的課題に
戦時労働を強いる独法化 和泉
職場の闘いと反戦は一体 鉄尾
和泉 都立病院の独立行政法人化は医療の民営化です。全部まとめて15病院が独法化されて、いったん全員解雇。これは労働組合を解体する攻撃であり、しかも戦争を想定しています。独立行政法人の定款、これは規約のようなものですが、その中には「緊急事態等に対処するために必要な業務を行う」という言葉が入っています。緊急事態には戦争も含まれる。東京都直轄でもないのに、戦時には知事が戦争労働に従事しろと命じることができるんですよ。こんなの認めるわけにはいかない。
職場で都立病院独法化反対と言っても、最初はいまいち反応が悪かったんです。でも、法人内でコロナに感染したご利用者を都立病院が受け入れてくれた。それが公的病院の意味なんだと話したら、独法化反対の署名が一気に広がりました。独法化させないだけでなく、公社病院を都立に戻せとか民間の病院を買い上げて公的病院にしろという声も上げていかなければと思います。職場で闘うことと併せて産別や地域でつながって行政とも闘うことが必要です。
木島 その闘いが大きくなれば、ロサンゼルス統一教組のストのようにコミューンのようなものも実現できる。アメリカだからできたんじゃなくて、僕らもできるはずです。それが戦争を止める力にもなる。
鉄尾 うちの組合では「このままいったら戦争になる、徴兵制になる」っていう話が普通の組合員から出てきます。戦争の根源は資本主義だから、職場で資本と闘うことと戦争政策と闘うことは一体です。資本は搾取の効率を上げるために労働組合をつぶすし、そうして労働者に言うことを聞かせて戦争に動員する。でも、それをみんながわかるように伝えないと。
木島 戦争の問題を組合員としっかり議論することは時代認識をみんなのものにしていく上ですごく大切です。定期総会の議案書に中国侵略戦争情勢について書いたら、執行委員の中から「これ、くどいですよ。戦争、戦争って言われると組合員が違和感を持つ。大事だけど組合員の意識はそこまでいっていない」っていう意見が出た。「じゃあ今日はそこを議論しよう」って時間をとった。若手の執行委員は「これ大事だと思いますよ。ちゃんと書くべき」と言うし、女性の執行委員からは、「教え子を再び戦場に送るな」っていう日教組のスローガンについて「日教組は戦争反対ばっかり言っている」とラジオのパーソナリティーがバッシングしていたことにすごく腹が立ったという意見が出た。みんながしっかり意見を言い、大会の議案書はこのままでいこうとなった。
また、コロナ対策を口実に現場へ組合を無視した指示が次々発せられることは「戦時体制と一緒」「学校の中で起きている理不尽に断固反対の声を上げ、団結して抵抗することが『教え子を再び戦場に送らない』闘いだ」と訴えようと私が提案したことをめぐっても、「コロナと戦争は関係あるのか」「あるとしても、組合員に理解されるのか」が議論になり、団結と一致が深まりました。
こういうとき論破するんじゃなくて丁寧に議論することが大事。「ちょっと納得できないけどいいか」とはさせない団結をつくらないといけない。もの申す組合員こそありがたいんですよ。現場のことに火がついている中で、限られた時間で戦争問題を議論するのは結構しんどいけれど、議論を避けたら「教え子を再び戦場に送るな」の闘いを現代的によみがえらせることはできません。
教労だけでなく医療でも民間でも、どこでどんな議論をしてるのか産別を越えて共有し磨き合うことも必要だと思います。うちの組合も反戦闘争そのものに組合員全体が階級的に決起するところまではまだ行けていない。これは喫緊の課題です。
和泉 うちは「資本って何だ」っていうところから始めている。執行部の仲間と動労千葉の労働学校に通い始めて、韓国のトールゲート闘争の記録『私たちは正しい!』を読んでみたいと言われたので、一緒に読み合わせをしています。韓国の話でよくわからないこともあるんですけれど、国と会社が一体となって労働者に劣悪な労働環境を強い、子会社への転籍を拒否したら解雇する。戦争ってそういうところから始まると思うんです。一緒に読み合わせをしている彼女は、籠城(ろうじょう)闘争をして団結を守り抜いたトールゲートの労働者にすごく感動して。そういうものが戦争を止める力、反戦闘争になってくると思います。
木島 一緒に本を読むっていうのはすごい実践! その時間を確保するのはすごい決意だから。
労組の団結どうつくるか
俺たちが労働者党つくる 鉄尾
春闘ストライキを見据え 水野
「苦手」と感じる人が大切 木島
和泉 ビラの内容に執行部が責任を持つことはすごく大事ですよね。組合でビラを書くのはほぼ私ですけど、私が書いたものをそのまま承認するんじゃなくて、これはどういう意味だとか、この言葉遣いはどうなんだと議論することが大事です。
職場の組合は「私」への依存が大きい。でも「和泉さんだったらやってくれる。和泉さんにお願いしよう」じゃだめなんですよね。乗り越えなければならないのは「組合頑張って」という壁。応援や支持がほしいわけではなく一緒にやれる仲間がほしい。簡単じゃないけれど、代行主義ではなく一人一人が自分はどうするのかという運動をつくりたい。
木島 執行部にもの申す組合員は、組合が今のままでいいと思っていないからもの申すんであって、その表現の仕方は個性的だったりするけれど、労働組合の執行部はそれと真剣に向き合わなければ。生々の労働組合って最初からそんなに居心地のいい場所じゃないかもしれない。時には「苦手」だなって思う組合員から逃げたいこともあるけれど、そういうわけにはいかない。相手が何を言いたいのか本当の思いをしっかりつかんで、逃げずに向き合い討論することがすごく大事。もちろん相手を持ち上げずに。団結に例外をつくったら資本はそこを狙ってくる。
また、無理だとあきらめて適当なところで当局と妥結したら、こちらが打倒される。団交のたびに連続的に組合員が決起してきて、その要求は半端じゃないから緊張感を感じます。特に非正規職の組合員が団交でものを言い始めた。
行政当局やどの資本ものたうち回っている。先生がいなくてもほったらかし。人が足りないからと患者さんもほったらかし。人がいないからドライバレス運転。経営だって大事故が起きたら全責任が問われるけれど、どうしようもなくてそうせざるを得ない。最後はその矛盾も責任も全部労働者に転嫁して、行きつく先は戦争。そこをストレートに説き起こしたら、労働者がモヤモヤと思っていたものがスコーンと見えてくる時代だと思う。うちの執行委員が「そのモヤモヤが大事ですね」って言っている。モヤモヤが何かをつかみとる討論をすれば、本当に大事なものが見えてくると思う。
澤田 最後に2022年の抱負を語ってください。
鉄尾 「11月集会がみんなのものになった」ってところから話が始まったけれど、「労働者党の建設は俺たちがやる」という気持ちがある。「現場労働者が団結して闘う労働運動が動労千葉労働運動だ」って教わったけれど、11月集会を結節点に闘いを広げていけば、地域にソビエトを建設するイメージもわいて革命に向かっていけると思う。そのために何をなすべきかを目的意識的に追求したい。
水野 組合員の意識がこれまでとは全く変わっている中で、うちの組合では春闘ストライキについても議論を始めました。うちがストライキの旗を立てれば、かなり大きな位置を持つ可能性がある。
木島 日教組は昔は戦争や安保反対で組合員が普通にどっと街頭に出ていた。そして職場に帰ったら職場闘争をした。それを現在的に大衆的によみがえらせたい。それと一体のことだけど、ストライキを打って当局との力勝負に勝つ、社会そのものを変えていくためには、組織を圧倒的に拡大する必要がある。こんな時代だから向こうも本気で組合をつぶしたいと思っている。組合員の団結は明らかに高まっている。未組織の教育労働者を組織するために執行部がもっともっと本気になり知恵を絞って汗を流さなければいけないと思います。
和泉 12月7日の防衛省行動のような行動を東京で恒常的にやることかなと思います。改憲・戦争阻止!大行進としてそういうものを打ち出せば、職場の仲間を「こういう闘争があるからぜひ来て」って誘うことができる。そういう結集の場を東京でつくることが、職場闘争と反戦闘争を一体化する私のイメージです。
鉄尾 東京は政権中枢があるところだからね。改憲が迫っている中で、東アジアでの戦争を止める具体的な実践に踏み出したいですね。
和泉 あとは闘っている人が楽しくやることですよね。苦行ばかりだと仲間も増えないので(笑)。いろんな闘いはそれぞれに楽しいですよね。
鉄尾 『甦(よみがえ)る労働組合』にも「闘うことはけっこう楽しいものだ。朗らかに闘おう」というフレーズがある。この精神。大変なことがあるから楽しいんだよね。
和泉 苦しいことも含めて〝仲間と一緒に闘う〟からこそ楽しい!
澤田 皆さん、どうもありがとうございました。