中距離核ミサイル配備阻止しよう 講演会成功、原爆ドームまでデモ 広島から署名運動スタート
中距離核ミサイル配備阻止しよう
講演会成功、原爆ドームまでデモ
広島から署名運動スタート
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8・6ヒロシマ大行動は11月21日、広島市内で「東アジアで迫る核戦争危機/中距離核ミサイル(INF)の沖縄・岩国―日本列島への配備計画を阻止しよう」と題し、講演会を行いました。講師は明治大学で研究員をされている纐纈厚(こうけつあつし)さんです。50人が参加し、討論は大いに盛り上がりました。
最初に宮原亮事務局長が「岸田内閣は『防衛費2倍化』と公言し、改憲決戦は本番を迎えた。沖縄は中国侵略戦争の最前線基地にされている。ヒロシマから新たな闘い(INF反対署名運動)をスタートさせよう」と訴えました。
「東アジアで迫る核戦争の根源を問う」と題して纐纈さんが1時間にわたって講演。ふんだんな量の情報を元に、中国脅威論を口実とした南西諸島への軍事力の展開、自衛隊装備のディフェンス(防衛)型からオフェンス(攻撃)型への大変身の狙いは、米日による中国侵略戦争であることを明らかにしました。そして、台湾海峡有事が起きるかどうかではなく、「起こさせないため何をすべきかが大事」と訴え、日米同盟廃止、東アジアを非核化・非武装化する民衆の闘いを呼びかけました。
全島ゼネスト50周年の沖縄闘争参加者と、岩国・呉の住民から、米軍・自衛隊基地、日米共同訓練の実態の報告を受けて、討論の時間に移りました。「中国は資源小国であり、米日に対し先に戦争をすることはないというお話にとても納得した」など、多くの意見が出されました。纐纈さんはどの質問・意見にも丁寧に答えてくださいました。
実行委から広島発の中距離核ミサイル(INF)配備反対署名運動が提起され、この日をもって署名活動がスタートしました。
集会後、「NO!核ミサイル」と書いた大きな手作りの「ミサイル」を持って繁華街を原爆ドームまでデモ行進し、沿道から圧倒的な注目を集めました。
核戦争阻止に向け、広島から大きな一歩を踏み出しました!
(8・6ヒロシマ大行動実行委事務局 伊豆ハルミ)
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中距離ミサイルとは何か
先制核攻撃が「容易」に
射程2400〜5500㌔メートル程度の弾道ミサイル・巡航ミサイルを総称して「中距離ミサイル」という。核保有国がこれらを配備した場合、搭載したのが核弾頭か通常弾頭かを問わずINF(中距離核戦力)とみなされる。1987年にアメリカとソ連が締結(88年発効)したINF全廃条約では、射程500㌔メートル以上の短距離ミサイルや準中距離ミサイルも含め、射程500〜5500㌔メートルのすべての地上配備型ミサイルおよび発射基地・関連施設をINFとみなし、その保有と将来的な開発・製造を禁止した。なお射程500㌔メートル以内の核ミサイルは「戦術核」に分類され、INFとは区別される。
アメリカとロシア(旧ソ連)が互いに相手を射程範囲とする大陸間弾道ミサイル(射程5500㌔メートル以上)とは異なり、中距離ミサイルは同盟国に配備してそこから相手を狙うものであり、これに対する反撃も米本土ではなく同盟国が被ることになる。このためアメリカが先制核攻撃に踏み切ることは「容易」となるが、配備先の国々は核戦争の戦場とされることから、80年代に米レーガン政権が高性能中距離ミサイルのNATO(北大西洋条約機構)加盟国への大量配備を狙った際には、欧州諸国で数百万人規模の配備反対デモが起こった。
日本も保有狙う
米トランプ前政権は中国への先制核攻撃を準備するため、ロシアに対して一方的にINF全廃条約の破棄を通告、19年8月に同条約が失効するとただちに同盟国への中距離ミサイル大量配備計画を始動させた。米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は、今年7月に提出した報告書で、日本列島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」上での配備を要求し、同盟国との協議を始めるよう政府に求めた。7月8日付の朝日新聞のインタビュー記事で、米軍の元高官は「米軍基地のある沖縄、岩国、三沢」を有力候補地に挙げ、「本音は日本全土に配備したい」と述べた。
日本に中距離ミサイルが配備されれば中国全土、さらにロシアのシベリアなども射程に入る(図)。発射から着弾まで7〜8分と言われ、外見上は核弾頭か通常弾頭かの区別がつかないため、相手国は当然にも核攻撃を受けたものとして対処するほかなくなる。
このように中距離ミサイルとは、PAC3などの迎撃ミサイルとは次元が異なる純然たる攻撃兵器であり、しかも核弾頭を搭載した核兵器として運用されることは確実である。
日本もまた中距離ミサイルの保有を狙い、陸上自衛隊の地対艦ミサイル長射程化改造を画策。前統合幕僚長・河野克俊はこれを念頭に、テレビ番組「NIKKEI日曜サロン」の10月10日放送回で「アメリカのものを配備しつつ、日本独自の中距離ミサイルも配備するべき」と強調した。