国鉄1047名解雇撤回を JRが不当労働行為の実行犯 裁判所に迫る署名を集めよう
週刊『前進』04頁(3221号02面01)(2021/11/29)
国鉄1047名解雇撤回を
JRが不当労働行為の実行犯
裁判所に迫る署名を集めよう
(写真 裁判に先立ち動労千葉と支援は「解雇撤回判決を出せ」と東京地裁に向け拳を上げた【11月12日】)
11・7全国労働者集会は、新自由主義を終わらせる階級的労働運動をつくり出す熱意に満ちて勝ち取られた。国鉄分割・民営化によって本格化した新自由主義の攻撃と根本から対決してきたのが国鉄労働者1047名の解雇撤回闘争だ。その勝利は新自由主義の打倒に直結する。闘いはJRの不当労働行為を直接に追及する決戦に入った。解雇撤回判決を求める署名を広げ、この攻防に勝ち抜こう。
18年続いた反動を打破し
1047名の解雇撤回を否定した中央労働委員会の反動命令の取り消しを求める裁判で、東京地裁は9月2日、JR東日本を訴訟に参加させると決定した。JRは卑劣にも出廷を拒否しているが、裁判所がJRを当事者と認定したことの重みに変わりはない。JRの解雇責任が法廷で問われるのは、18年ぶりのことだ。2003年12月、最高裁は「国鉄労働者の解雇についてJRに法的責任はない」という反動判決を出した。これは確定判決となり、その後、裁判でJRの責任を追及することはできなくされてきた。その壁は、ついに破られたのだ。
03年の最高裁判決のもとになったのは98年5月28日の東京地裁判決だ。この判決で裁判所は労働委員会の救済命令をすべて取り消した。これへの怒りと危機感から、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組が主催する11月労働者集会が同年から始まった。それ以来、11月労働者集会はあらゆる反動に立ち向かい、国鉄闘争の旗を守りぬいてきた。
隠しきれない解雇の真相
JR不採用とされた動労千葉・動労総連合組合員の名前は、当初はJR採用候補者名簿に記載されていた。だが、分割・民営化を前にした87年2月2日、「動労千葉や国労の組合員は採用するな」という鉄道労連(現JR総連)の反動的突き上げを受け、突然、不採用基準が作られ、組合活動を理由に停職処分を受けた労働者の名前が採用候補者名簿から削除された。03年の最高裁判決は〝採用候補者名簿の作成に組合差別があったとしても、その責任は国鉄にあり、JRに責任はない〟としてJRを免罪した。だが、動労総連合は、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)の指示で不採用基準が作られた事実をつかんだ。斎藤が現JR東海名誉会長の葛西敬之と謀議して基準の策定を命じ、現JR東日本社長の深沢祐二が動労千葉組合員らの名前を名簿から削る作業を担った。
不採用基準の策定が不当労働行為になることは、国鉄の責任を追及して動労千葉が起こした裁判の最高裁判決で確定している。その基準がJR設立委員の指示で作られたのなら、解雇の責任はJR自身にある。
11月12日に行われた裁判で、東京地裁民事第11部の前沢達朗裁判長は「不採用基準の策定にJR設立委員が関与したというのが原告の主張の要点」と述べ、それへの認否を明確にするよう中労委に求めた。「中労委の主張は、不採用基準の策定に設立委員が関与した事実はないということか、それとも03年の最高裁判決があるから、事実はどうであれJRの責任は問えないということか」と裁判長は中労委に問うた。これは、国鉄解雇の真相を反動的な法解釈で切り捨てようとする意図の表れだ。だがそれは、事実を無視できないところに裁判所が追い込まれたことも示している。
03年の最高裁判決は「設立委員会が不当労働行為を行った場合は別としてJRに法的責任はない」とした。設立委員会による不当労働行為という核心問題が初めて裁判で争われようとしているのだ。千葉県労委や中労委は「03年の最高裁判決に反する命令は出せない」と言って審理を拒否し反動命令を出した。労働委に出頭しないJRを擁護し、裁判でもJRの訴訟参加を拒んだ。労働委が率先して解雇の真相を隠そうと必死になった。この異様な反動を打ち破り、JRの責任を再び法廷で追及する新段階が切り開かれたのだ。
国鉄型の首切りさせるな
これを本当の勝利にするためには社会的な力が必要だ。国鉄闘争全国運動は10万筆の署名で15年6月、最高裁に「不採用基準は不当労働行為」と認めさせた。その時を上回る署名運動で裁判所を追い詰めよう。岸田政権は改憲・戦争に突進し、日本維新の会や国民民主党が「野党」の側で改憲を突き上げている。「立派な憲法を安置する」と叫び分割・民営化を強行した中曽根政権以来、国鉄闘争が改憲を阻んできた。
都立病院の独立行政法人化で、小池都政は7千人の都労連組合員をいったん全員解雇しようとしている。国鉄分割・民営化型の解雇攻撃だ。関西生コン支部への大弾圧も続いている。
だからこそ1047名闘争をもう一度社会の焦点に押し上げよう。この闘いは必ず多くの労働者の共感を呼ぶ。解雇撤回署名を集め、1047名のJR復帰を何としても勝ち取ろう。