イタリアでゼネスト 独立労組がドラギ政権に反撃
週刊『前進』04頁(3216号03面02)(2021/10/25)
イタリアでゼネスト
独立労組がドラギ政権に反撃
(写真 ミラノのFedEx―TNT工場前で闘いぬかれたスト集会【10月11日】)
物流労働者を軸に全土で広範な決起
10月11日、イタリアで独立系労組全国組織がゼネストに決起、反動ドラギ(前欧州中央銀行総裁)政権に大打撃を与えた。主軸を担ったSI―Cobas(職場労組総連合=4万人)は次のように報告している。「10月11日のゼネストは、独立労組の全組織15団体の統一行動としてイタリア全土で闘われ、画期的な大成功をおさめた。今回のゼネストは、現在、ドラギ政権に屈服した既成労組指導部の支配下で苦しむ労働者にも、巨大な影響力を発揮した」「われわれは、闘う労働組合の国際連帯のために今後も努力する」
イタリアでは1990年代に体制内化した既成3大労組全国組織に対抗して独立労組の全国組織が結成された。SI―Cobas以外に公共サービス部門を組織するCUB(職場組織総連合=50万人)、USB(職場労組同盟=25万人)などがある。
ゼネストはSI―Cobasの拠点、北イタリアの工業地帯の物流産業労働者のストを軸に闘われた。ジェノバ・ナポリ・トリエステの港湾閉鎖、公共交通・公共サービス・教育・民間企業などの労働者による全国数十都市でのスト・工場前集会・デモ、各地における数千人規模の労働者・学生・失業者・社会運動諸組織などの参加によって、巨大な規模に達した。
この間の独立労組の闘争の決戦場、物流産業では全国十数企業の数千人の倉庫・運送労働者がスト・倉庫閉鎖に決起。米欧にまたがる巨大多国籍企業FedEx―TNT、AMAZONは過酷な労働条件の強制と労働組合の解体工作、暴力団によるスト破りという破壊的な攻撃を加えている。これへの歴史的な反撃が北イタリアのピアチェンツァやミラノでの移民労働者の組織化を軸に闘われた。物流労働者は各所で、今年6月に暴力的なスト破りのトラックにより虐殺されたチュニジア人労働者アリさんの遺影を掲げ、復讐(ふくしゅう)を誓った。
このほかアリタリア航空の7800人解雇通告への抗議ストによる欠航、ジェノバでの高架鉄道の遮断、ナポリ港湾に通じる高速道路の封鎖など、さまざまな闘いが全日展開された。
ゼネストには、動労千葉、米国でFedEx―TNT、AMAZONと闘う労働者、ドイツの金属労組IG―Metalなどが国際連帯アピールを寄せた。
独立労組の全組合が統一要求で一致
イタリア経済はコロナ禍で昨年、国内総生産(GDP)成長率がマイナス8・9%に落ち込む大打撃を受けたが、今年は5・8%への回復が見込まれている。しかし、失業率が10・3%、国家財政赤字の対GDP対比が10・2%、対外債務の対GDP比が154・8%と、いずれも高止まりすると予測されている。危機突破をかけ今年2月に登場したドラギ政権は反労働者的反動政治を展開してきた。このドラギに対する労働者の回答がゼネストだ。今回のゼネストは、体制内既成労組指導部の破壊工作を打ち破り、今年1月29日のゼネストの地平を超えて、戦闘的労働運動の戦線に結集する独立労組のすべての組合が以下の統一要求で一致して闘われた。すなわち▼解雇反対・非正規職化反対▼コロナ危機下での医療労働者をはじめ労働者の健康と生命の防衛▼組合弾圧反対▼移民労働者・女性への平等な賃金・権利の保障▼軍事支出反対▼海外派兵反対などである。
SI―Cobasの報告は次のように結んでいる。
「今回の成果は、職場、街頭、集会などあらゆる場で労働組合の組織内外の討論、意見と経験の交換を数多く積み重ねてきた組織的努力の結果である。SI―Cobasは、闘う労働者の連帯の輪をイタリアと全世界で拡大するために闘い続ける。そして、現在、非正規職化攻撃と搾取に苦しめられながら未組織の状態にとどまっている数百万人の労働者を獲得する真剣な努力を継続する。全世界の労働者、団結せよ!」
イタリア労働者階級をはじめ、10月20日ゼネストの階級決戦を闘った韓国民主労総の労働者、ミャンマー・アメリカ・ドイツなど全世界で新自由主義の攻撃と闘う労働者階級人民と連帯し、11・7労働者集会に全力で結集しよう。