ウィシュマさんの死の真相究明を ビデオ開示求め一斉行動

発行日:

週刊『前進』04頁(3213号04面01)(2021/10/04)


ウィシュマさんの死の真相究明を
 ビデオ開示求め一斉行動

(写真 ㊤サイレントデモで法務省を周回㊦デモ後、指宿弁護士の発言を聞く参加者【9月25日 東京・日比谷】)

(写真 ㊤サイレントデモで法務省を周回㊦デモ後、指宿弁護士の発言を聞く参加者【9月25日 東京・日比谷】)


 9月25日、「ウィシュマさん事件の真相究明を求める学生・市民の会」が呼びかけた「ビデオの全面開示」を求める全国一斉行動が、全国8カ所で取り組まれた。学生・市民の会が呼びかけたビデオ開示・再発防止徹底を求める署名は8万1015筆を超えるなど、青年・学生が軸となった運動が広がっている。

法務省にサイレントデモ

 東京では午後3時、日比谷公園から「真相究明と再発防止/ビデオの全面開示を求めます」という要求を掲げたサイレントデモが、法務省に向けて出発した。
 名古屋入管で収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが3月6日に亡くなってから半年以上、いまだに死の真相は闇の中だ。いや、そうではない! ウィシュマさんは入管の医療放棄と虐待によって飢餓状態となり、殺されたのだ。にもかかわらず法務省・出入国在留管理庁は、その決定的証拠であるビデオ(2月22日から3月6日までウィシュマさんを撮影)の全面開示を拒否し続けているのだ。
 法務省は8月10日付「最終報告書」で死因も特定せずに、改善策の第一に「全職員の意識改革」を挙げた。
 12日、法務省は遺族のみ(代理人弁護士の同席を拒否!)に2時間に編集したビデオを開示した。過酷な映像に遺族が耐えられず1時間10分で中断したが、妹のワヨミさんは、声を限りに「姉は動物のように扱われ殺されました。このビデオを全ての外国人は見るべきだ。明日はあなたかも知れない」と訴えた。
 デモ後、代理人の指宿昭一弁護士は、「今までの延長線上に職員の意識改革? それで何が変わりますか。死亡がなくなりますか? そんなことはありえない! 一度解体して出直すぐらいの改革をしなければ、入管も入管行政も変わらない」と断言した。200人を超えた参加者全員が「そうだ!」と応じた。
 この日、名古屋駅前に立った妹のポールニマさんは「入管の人たちは人間の命の大切さを全くわかっていないと思います」「真相がわかるまで日本に滞在し頑張る覚悟です」と語った。

入管収容所を解体しよう

 「全職員の意識改革」が叫ばれる中、東日本入管センター(牛久入管)では8月27日、業務委託先の民間会社の警備員が運動場で被収容者の首を絞め上げ、全治2週間のけがを負わせる事件が起きた。東京入管でも深夜に過呼吸の発作を起こしてドアをたたいて助けを呼んだ被収容者に対し、「迷惑行為だ」と7、8人の職員が居室に突入し押さえつけ、けがを負わせている。
 日本での在留資格がないことを理由に司法の介在もなく外国人を意のままに拘束し、無期限に監禁し続け、「動物のように扱っている」のが入管だ。
 戦前、入国管理は内務省所管の警察行政の一環だった。戦後、内務省解体後、特高関係者が入管業務に流れ込んだ。侵略戦争と植民地支配の中で培った朝鮮人・中国人への差別意識が戦後も継承されたのだ。
 今、日本軍慰安婦制度や徴用工の強制連行・強制労働を歴史から抹殺しようという日本政府のもとでは、外国人を虐待し命までも奪い続ける入管体制の改革・改良などありえない。
 コロナ下でもたらされた医療崩壊が労働者人民の命を奪っている。ウィシュマさんの命を奪った入管に対する怒りは、新自由主義がもたらす全ての怒りとつながっている。入管から全ての被収容者を解放し、入管解体へ! 難民・仮放免者、外国人労働者と共に11・7日比谷に集まろう!

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