『私たちは正しい!』 トールゲート闘争に学ぼう 東京東部地域合同労働組合東部ユニオン委員長 小泉義秀
『私たちは正しい!』
トールゲート闘争に学ぼう
東京東部地域合同労働組合東部ユニオン委員長 小泉義秀
広沢こう志 訳 労働者学習センター発行 頒価:1000円)
9月1日、労働者学習センターより『私たちは正しい!』(動労千葉国際連帯委員会 広沢こう志訳)が刊行された。訳者の広沢さんが最初に「日本語版刊行にあたって」を書いていて、本書の概要とその意義について知ることができる。表紙の裏に小説家のアンジェソン、聖公大学労働アカデミー主任教授のハジョンガン、そして民主労総元委員長のハンサンギュンの推薦文がある。ハードカバーの単行本ならば帯に印刷されてしかるべき貴重な文章である。
自分ならどうする
原著者は労働解放闘争連帯準備会所属の活動家・イヨンドクさん。2020年4月23日発行である。
こういう本を読む時の姿勢は「この本で語られている一人一人の労働者の声に自らを重ね、自分がこの場にいたらどうするだろう、労働組合のリーダーだったらどうすべきだろう、ということを一緒に考えていければと思います」(日本語版刊行にあたって)ということに尽きると思う。闘いとしては不本意な形で幕を閉じているが、「闘いを通して得られた確信が一朝一夕に消え失せてしまうことは決してないということです」(同)ということだ。
女性労働者に力が
「第7章 共に闘った労働者の言葉」が、①「労働者がひとつになる感動を覚えました」(金属労組亀尾支部旭非正規職支会チャホノ支会長)、②「トールゲート労働者のおかげで幸せでした」(金属労組亀尾支部KEC支会イジョンヒ前支会長)である。共に闘った二つの労働組合の支会長・前支会長の言葉は、労働組合のリーダーとして闘いの本質と方向性をしっかりと見据えている。
チャホノ支会長は「最も忘れられないことの一つは、韓国労総のトールゲート労働者との出会いだった」「トールゲート労働者は、正規職労働者、女性労働者の中に潜んでいた驚くべき力を見せてくれた」(235〜236㌻)と書いている。
イジョンヒ前支会長は「トールゲート労働者のほとんどは女性であり障害者だ。この社会では社会的弱者に分類される。だが闘いを始めた時、彼らはもはや社会的弱者ではなかった。べストの色を異にする様々な労組の労働者が、組織の壁を突き崩し、共に闘った。韓国労総と民主労総は共に闘えない、という先入観を打ち砕き、闘う中で一つの砦をつくった。私はこのような闘いを初めて見た」(238㌻)と言う。
労働者が主人公に
著者は韓国労総の指導部を批判し、韓国労総を脱退して民主労総に加盟して闘う組合員のことも書いているが、民主労総の指導の問題についても言及している。闘いの中で起きた葛藤と苦闘を赤裸々に描いている点がすごい。
正規職だったトールゲート労働者は、外注会社への違法派遣に対し直接雇用の要求を掲げて闘い、集団解雇された。正規職も解雇から自由ではない。著者やチャホノ支会長、イジョンヒ前支会長らが述べていることは「非正規職のない世の中、労働者が主人公となる世の中をつくる」「労働者にとって残酷なこの世の中を変えよう」「労働者が人間らしく生きられる世の中を共につくっていきたい」ということである。