焦点 ワクチン証明書 人民分断し医療破壊進める攻撃
週刊『前進』04頁(3212号03面04)(2021/09/27)
焦点
ワクチン証明書
人民分断し医療破壊進める攻撃
政府は「コロナ感染対策と社会経済活動の再開の両立」と称し、ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)や陰性証明書の提示で、たとえ緊急事態宣言下であっても旅行や飲食店での飲酒、営業時間の制限などを大幅に緩和しようとしている。
自宅死が強いられる医療崩壊の中で医療・保健所体制の拡充が何よりも必要だ。それをあくまで否定し資本の利潤のために「ワクチン万能」を強弁して規制撤廃に突進しようとしている。許しがたい医療破壊だ。年内にはマイナンバーカードを使ってスマートフォン上で証明書を表示し、飲食店やイベント会場などの入り口で提示して入場できるようにすることが検討されている。
国家による強制と支配
証明書の提示が行動制限解除の条件とされるなら、それは事実上のワクチン接種の強制と証明書提示の義務化を意味する。店舗や会場の入場時に証明書の提示を求め、できない人は排除する——「接種は任意」と言いつつ進められる、労働者人民への重大な分断・団結破壊の攻撃だ。すでに飲食店チェーン「ワタミ」では労働者がワクチン接種済みを示す名札着用を強いられるなど、企業での接種強制と証明書携行義務化が横行し、医療・福祉職場をはじめ労働組合の団結をかけた重大な闘争課題となっている。
まして〈社会保障、税、災害対策〉に限定されるマイナンバー・カードの利用範囲を接種証明を機に拡大すること、政府が接種のデジタルデータで全住民を二分して日常生活の規制を分けることは、改憲・戦争国家化、デジタル独裁への歴史的な踏み出しである。
GoTo再開と一体
9月3日の経済財政諮問会議で大資本を代表する民間議員は「年末年始には活発に消費活動ができる」ことを求め、接種証明などを活用した経済活動の制限緩和を提言した。政府は接種証明と一体で「GoToトラベル」の再開をめざす。すでに旅行会社は独自に格安の「ワクチン接種済みプラン」を売り出している。経団連も接種証明書の提示を条件に、入国時に「2回目のワクチン接種から2週間が経過している者は隔離期間を免除する(現在は14日間の隔離)」「ワクチンパスを有する外国人は入国を認める」「(渡航先が流行中でも)旅行会社や企業による行動管理等で隔離期間中も一定の行動を可能とする」ことを提言している。さらに西村康稔経済再生相は9日、陰性証明にPCR検査だけでなく抗原検査の簡易キットも活用する方針を示した。陰性証明自体が検査したその時点での陰性を証明するものでしかない。簡易キットはPCRより精度が低いため、現在は無症状者への使用が推奨されていないにもかかわらずだ。
こうした規制撤廃が新たな感染爆発をもたらすことは必至だ。