10・3三里塚全国集会へ 労働者と農民の連帯で市東さんの農地守ろう
週刊『前進』04頁(3211号03面01)(2021/09/20)
10・3三里塚全国集会へ
労働者と農民の連帯で市東さんの農地守ろう
(写真 「勝つまで闘う」とデモの先頭に立つ市東さん【7月11日 成田市】)
三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける全国総決起集会が10月3日、成田市栗山公園で開催される。天神峰・市東孝雄さんの農地を守り、日本帝国主義・自民党政権の改憲・戦争攻撃を根底から粉砕するため全力で結集しよう。階級的労働運動の前進と一体で市東さん農地死守の大運動を作りだそう。
強制執行を実力阻止する
新型コロナ感染拡大という未曽有の社会的危機の中で、全学連をはじめ多くの若者が、三里塚現地に駆けつけて援農や闘争に参加し、反対同盟農民と共に汗を流してきた。そこで各々が得た経験と確信は、新自由主義がもたらす「闘っても勝てない」という無力感を吹き飛ばす原動力となり、職場・学園・街頭での闘いが前進している。7・23五輪開会式に対する実力粉砕闘争は、国家権力が五輪にかけた危機のりきりの思惑を完全に打ち砕いた。8月6日に広島で原稿を読み飛ばすなどボロボロとなった菅は、ついに自ら政権を投げ出した。青年・学生を先頭に実力闘争を復権して菅を打倒し、今秋決戦勝利への展望を切り開いたのだ。
市東さんの農地を守る闘いは、重大局面を迎えている。最高裁第三小法廷は6月8日、請求異議裁判の上告棄却決定を下し、NAA(成田空港会社)による卑劣な違法・脱法をすべて不問に付し、農地強奪へのお墨付きを与えた。現在、法的にはいつでも強制執行が可能となる状況だ。
だが棄却決定は、市東さんの闘志をわずかでも削ぐことはできなかった。
3代100年続く農地
7・4国鉄集会で市東さんは訴えた。「上告棄却は絶対に許すことはできない。しかし裁判闘争だけでなく、現地闘争をいかに強固に広げていくかが今一番大事な課題だ。反対同盟は55年間も権力の横暴なやり方に抗し、自分たちの闘いの正義を貫いてきた。私は一人ではない。みなさんの力で勝つまで闘います」。国家権力とNAAはこの市東さんの不動の決意に根底から打ちのめされている。反対同盟決戦本部と三里塚闘争支援連絡会議は4月1日以来、深夜早朝も含めた監視体制を強化し、強制執行実力阻止の態勢を取って闘いを継続している。
市東さんの農地は、祖父の市太郎さんが百年前に開墾し、父・東市さん、孝雄さんと3代にわたり耕してきた肥沃(ひよく)な農地だ。
明け渡しの対象とされている面積は、農地法裁判(農地収奪の反動判決確定)と耕作権裁判(千葉地裁で審理中)を併せて1万3006平方㍍、全耕作面積の約73%を占める。民事訴訟の形をとっているが、実質上は強制収用(国策)であり、その規模は71年の第1次、第2次強制代執行(8354平方㍍)を大幅に上回る。
市東さんに対し「農民としての死」を強制する攻撃だ。農業を育成し農民の権利を守るための農地法を悪用し、耕作者の同意なき農地取り上げを強行することなど絶対に許してはならない。三里塚現地闘争本部を先頭に実力阻止態勢を強化し農地死守決戦に立とう。
廃港の危機を深める成田
成田は文字通り廃港の危機に直面している。成田の運用状況を見ると、今年上期(1〜6月)の国際線旅客数は68万6237人で、開港以来最低となった(19年上期の約1797万人から4%に激減)。
そしてNAAは今年12月から来年10月にかけて、B滑走路の並行誘導路(「への字」の北側部分)を終日閉鎖して昼間に改修工事を行うと発表した。北側から着陸し南側から離陸するという一方向の運用に限ることで、B滑走路に並行する誘導路の使用を停止するのだ。この事態は、場当たり的な空港建設の破綻性を示すと同時に、NAAにとって市東さんの農地を奪う「緊急性」も「必要性」もまったくないことを自己暴露するものだ。
東峰の森を破壊して建設された東側誘導路(建設費120億円)も、市東さんの家と畑を囲い込んだ第3誘導路(同200億円)も無用の長物となる。
今後コロナ危機が収束したとしても、航空需要が「コロナ前」に回復することはありえない。インバウンドの決定打とされた東京五輪は空振りに終わり、「観光立国政策」自体が破産し、リモートワークの普及などでビジネスでの人の移動も激減した。航空資本は大再編と規模縮小に向かわざるをえない。
コロナパンデミックは資本主義・新自由主義がもたらした災害だ。自然を破壊する野放図な乱開発は生態系への破壊的な干渉となって未知のウイルス・病原体を呼び寄せ、都市への人口集中が大量感染を促進し、さらに国境を越えて、高速・頻繁・大量に人とモノを動かす資本の運動と一体で世界へと広がった。
他方で気候変動への危機感から、大量の化石燃料を浪費して二酸化炭素を排出する飛行機での移動を忌避する「飛び恥」運動が若者を中心に全世界に広がっている。
反対同盟は、昨年9月27日の全国集会で「資本主義にとどめを刺すのは今だ。『新しい生活様式』とは格差も貧困も差別もない社会をつくることである。コロナ危機を空港廃港へ! 三里塚から世の中を変えよう!」(集会宣言)と訴えている。
資本主義・新自由主義を終わらせる以外にコロナ危機も気候変動も真の解決はない。成田空港を廃港に!
新自由主義打ち砕く闘い
これまでの安倍―菅農政のもとで、日本農業は未曽有の危機に追いやられている。「イノベーション」「成長産業化」などのかけ声のもと、「もうかる農業だけが生き残ればよい」という露骨な農業切り捨て政策が進められてきた。人類にとって最古の営みであり、社会存続の絶対的基盤であるにもかかわらず、農業が今ほどないがしろにされている時はない。労働者階級は農民の苦境に無関心ではいられない。今こそ共に日本革命を担う主体として、農民の獲得、労農連帯の発展が求められている。三里塚闘争はその決定的水路である。
三里塚農民の必死の闘いに応えてジェット燃料貨車輸送阻止に立ち上がった動労千葉の決起は、40年を超えてその輝きは増すばかりだ。動労千葉は、ストへの弾圧・処分、本部からの査問・組合つぶしの攻撃を受けて立ち、自らの個別的利害を超えて立ち上がった。そしてそれを階級的共同闘争として発展させ、攻撃を組合の団結へと転化した。ここには今日の「目先の利益だけを求めて動け!」とする新自由主義的な価値観を打ち破る決定的なカギがある。
労働者・農民の共通の未来のために「空港はいらない、農業を奪うな」と訴え労農連帯を強化しよう。企業による農業支配の道を開く「国家戦略特区」を弾劾しよう。
改憲・戦争阻もう
日帝は過去最大の防衛予算を計上し、「敵基地攻撃」を想定したミサイル防衛構築、大規模軍事演習などを進め、中国侵略戦争への参戦を本気で準備している。4千㍍滑走路を持つ成田空港は戦争のための兵站(へいたん)拠点として位置づけられている。空港機能強化策による3500㍍の滑走路2本の建設もその一環としてある。改憲・戦争阻止、成田軍事空港粉砕の闘いを強化しよう。芝山町の農地・山林・水系・居住環境を破壊し尽くす第3滑走路を、住民の怒りと結合して粉砕しよう。
市東さんが耕す天神峰農地の一角には1971年渋谷闘争に決起した星野文昭さんの遺骨が分骨されている。沖縄・三里塚の勝利を目指した星野さんのように闘おう。大坂正明さんを三里塚の大地に奪還しよう。
新自由主義の中で、もがき苦しむ青年・学生の中に今こそ勝利の息吹とともに三里塚闘争を持ち込もう。そのための最良の武器が反対同盟の新DVDだ。上映運動を組織し、援農・現地調査に仲間と共にかけつけよう。10・3全国集会に集まろう!