国鉄解雇撤回裁判 JR東日本は法廷に出よ 東京地裁が重大な決定
週刊『前進』04頁(3211号02面01)(2021/09/20)
国鉄解雇撤回裁判
JR東日本は法廷に出よ
東京地裁が重大な決定
国鉄1047名解雇撤回をめぐり、大きな勝利が切り開かれた。解雇撤回を否定した中央労働委員会の反動命令の取り消しを求める裁判で、東京地裁は9月2日、JR東日本を裁判に参加させると決定した。「JR東日本を法廷に出せ」と求める動労総連合の申し立てを認めたのだ。
JRが法廷に出てくれば、解雇の真相究明が裁判の焦点になる。解雇撤回の前に立ちはだかっていた壁の一つが、ついに崩れた。
解雇の真相究明へ
動労総連合は、国鉄分割・民営化以来三十数年にわたる闘いで、組合員解雇の真相をようやくつかんだ。JR設立委員長の斎藤英四郎こそ組合員を解雇するための「不採用基準」の策定を指示した張本人であり、その基準はJR設立委員会の会合で正式に承認された。「不採用基準」の策定が不当労働行為になることは、2015年の最高裁決定も認定している。その基準がJR設立委員によって作られたのなら、不当労働行為の責任はJRにあり、JRには解雇を撤回する法的な義務がある。これは、国鉄分割・民営化による解雇について「国鉄に責任があったとしてもJRには責任がない」としてきたこれまでの最高裁判決を根本から覆す事実だ。
動労総連合はこの事実をもとに、解雇撤回とそのための団体交渉の開催をJR東日本に求めて、労働委員会に申し立てた。だが千葉県労働委員会は審理を拒否して却下決定を出し、中労委は調査もせずに労働組合の申し立てを切り捨てた。
この中労委反動命令の取り消しを求める裁判では、JR東日本を出廷させるかどうかが大きな争点になってきた。労働委員会命令をめぐる裁判では、使用者が訴訟に加わるのは通常のことだ。だが中労委は、JR東日本の訴訟参加をかたくなに否定した。JRと一体となって、解雇の真相究明を妨げようとしたのだ。
中労委は裁判所に出した意見書で、「裁判で労組の主張が認められる可能性はないから、JRを訴訟に参加させる必要はない」という趣旨の主張さえした。だが、それはあまりにも無理があった。今回の東京地裁の決定は、組合勝訴の可能性も抽象的には否定できないという理由で、中労委の言い分を退けた。裁判所の思惑がどこにあるにせよ、この決定が事実審理の実現に向けて事態を動かすものになることは間違いない。
葛西と深沢を出せ
動労総連合の申し立てに対し労働委員会は、①国鉄分割・民営化は三十年以上も前のことで、解雇撤回の要求は「申し立て期間」を過ぎているから労働委員会の審査の対象にならない、②「JRに解雇の責任はない」という2003年の最高裁判決で問題はすでに決着している——という態度を一貫してとってきた。だが、不採用基準がJR設立委員長によって作られたという事実は、03年の最高裁判決の時には、まだ明らかになっていなかった。事実の解明に三十数年を要したのは、JR資本や国家権力が事実を徹底的に隠してきたからだ。これ自体が不当労働行為の上に不当労働行為を重ねる犯罪だ。しかも、03年の最高裁判決でさえ「設立委員自身が不当労働行為を行った場合は別として(JRに責任はない)」という留保をつけている。新たな事実が出された以上、労働委員会も裁判所も、改めて事実を調べて判断をやり直すべきだ。
国鉄解雇撤回闘争は、過去の問題を追及するだけのものでは決してない。解雇を指示したのはJR東海名誉会長の葛西敬之であり、実務を担ったのはJR東日本社長の深沢祐二だ。彼らの証人喚問を勝ち取ろう。
彼らJR経営陣は、コロナが加速した分割・民営化の破産を暴力的に突破するために「業務融合化」などの大合理化を強行し、ローカル線の切り捨てを進めている。これは民営化の破産を一層促進する。北海道や四国だけでなく本州でも、鉄道を民営化したら公共交通が成り立たなくなることは明白になったのだ。
解雇撤回判決を求める裁判所あて署名を広げよう。9月29日に予定されている裁判に集まり、事実審理の実現へ攻勢に出よう。11・7労働者集会へ、コロナ解雇と闘う陣形を1047名闘争を軸に打ち立てよう。