沖縄 米海兵隊、汚染水放出を強行 命踏みにじる暴挙に怒り

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週刊『前進』04頁(3210号02面04)(2021/09/13)


沖縄
 米海兵隊、汚染水放出を強行
 命踏みにじる暴挙に怒り


 米海兵隊は8月26日、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に貯蔵していた有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む汚染水を公共下水道に放出した。沖縄県や宜野湾市はPFASについては一貫して焼却処分を求めており、日本政府との間でも、米側は日米合同委員会での協議が終わるまで排水は行わないと説明していた。この日も、PFASの処理をめぐって日米の協議が行われる予定だったが、在沖海兵隊司令部は午前9時すぎに沖縄県にメールで通告し、9時30分頃には放出を強行した。
 県や宜野湾市によると、同日中に約6万4千㍑が放出されたことがわかっているが、基地内にどれだけの汚染水が貯蔵されているかは明らかにされていないという。この突然の暴挙に、基地周辺住民をはじめ沖縄全島で抗議の声が沸騰している。

自然界で分解困難発がん性の指摘も

 PFASの一種であるPFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)は、自然界ではほとんど分解されずに残るため「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」などと呼ばれ、いずれも化学物質審査法に基づき新たな製造や輸入、使用が禁止されている第1種特定化学物質だ。PFOSは発がん性が指摘され、環境省や消防庁は廃棄物処理法に基づきPFOSを含む泡消火剤などは焼却処理するよう事業者に求めている。米国内ではPFOSの使用は禁止されている。
 米軍は「排水は自前のシステムで処理し、環境省や厚生労働省の暫定指針値を下回っている」と「説明」するが、環境省などの指針値は今回のような産業廃棄物の「廃水」には適用できない基準だ。しかも実際に処理が行われたことを確認することもできない。こんな「説明」で誰が納得するというのか。

自衛隊基地からも有害物質が流出

 日本政府は米側に形ばかりの「抗議」をしているが、これまで米軍による環境汚染は事実上黙認してきた。2014年には嘉手納基地(沖縄県嘉手納町)内の井戸で基準値の16倍の汚染が見つかっているが、環境省や防衛省は立ち入り調査もせずに放置してきた。
 そればかりか、自衛隊の基地内でもPFASが使用されていることが判明し、今年2月には航空自衛隊那覇基地からPFASを含む消火剤が周辺の住宅などに大量に流出した。この事故を受けて自衛隊が行った調査で、今月3日、那覇基地内の消化用水槽から基準値の9200倍もの高濃度のPFASが検出された。
 軍隊の都合で住民の命と生活をないがしろにし、抗議の声すら踏みにじる姿勢は米軍も自衛隊も同じだ。中国侵略戦争の切迫下、沖縄のみならず日本中の基地周辺で訓練が増加し、落下物などの事故や騒音被害もますます深刻化している。戦争を阻止し、命を守り抜くために、沸き上がる怒りの声を結集して改憲・戦争阻止の闘いを広げよう。
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