台湾
　ストで闘い解雇を撤回
　労組つぶしはね返す

　台湾のミラマーゴルフカントリークラブ労働組合（美麗華労働組合）の闘争は、１０５日におよぶストライキを闘い抜いて、８月26日に解雇者20人全員の復職を勝ち取りました。労働者の不屈の闘いが、台湾労働運動の巨大な展望を切り開いています。
　今年４月、ミラマーゴルフカントリークラブという台湾最大のゴルフ場を経営する会社側は、新たに三つの会社を設立し、そこにゴルフ場の経営を委譲することを発表しました。そこで働いている労働者を三つの新会社に分散し、再雇用するというのです。
　また、この過程で黄文正・労働組合委員長をはじめとする組合役員を解雇し、さらに新会社に再雇用されない事実上の解雇者、スト参加で解雇された者も合わせて全員で20人を解雇しました。
　これらの攻撃は明らかに労働組合を解体し、つぶすことを狙ったものです。それは、ミラマーゴルフカントリークラブの取締役会会長である黃世杰が、同時に三つの新会社の取締役会会長であることからも明らかです。どこが「別会社」なのでしょうか？　またこの手法は、日本の国鉄分割・民営化の手法とも似ています。

台湾―全世界から支援と連帯集まる

　実は、ミラマーゴルフカントリークラブでは２０１８年１月にも大きな争議が起きていました。それ以前から残業代未払いなどをめぐって労働争議がありましたが、会社は外注化を推進して正社員に圧力をかけ、18年１月に18人の労働者を解雇したのです。しかし労働組合は直ちに12日間のストライキに立ち上がり、この解雇を完全に撤回させることができました。
　この敗北を受け、会社側は労組つぶしに全力をあげました。そして今回、三つの新会社設立と業務委譲、労働者の分散・再雇用、および労働組合指導部の解雇を通じた組合解体攻撃に全力で出てきたのです。
　この理不尽な資本の攻撃に対して、ミラマーゴルフカントリークラブ労働組合は５月11日からストライキに突入し、８月23日まで１０５日にわたる台湾史上最長のストライキで反撃しました。また、街頭宣伝、デモ、総統府前での座り込みなどの闘いを連日繰り広げました。桃園市産業総労働組合をはじめ、台湾全土から労働組合、労働者がこの闘いに駆けつけ支援しました。
　争議支援のＴシャツの販売も呼びかけられ、台湾の内外で販売されました。日本でも動労千葉がこのＴシャツを購入し、７月４日に開催された国鉄集会の参加者に配布してこの争議を支援しました。また全国の労働組合交流センター、合同労組も次々と各地でスタンディングなどの行動に立ち、連帯の思いを台湾に送りました。
　さらに韓国の民主労総、香港の職工会連盟などが次々とこの争議に声援を送りました。台湾での労働者の決起と共に、これらの闘う海外の労働組合の国際連帯も争議を力強く支えたのです。

職場に戻り新たな闘いの開始を宣言

　そしてついに、ミラマーゴルフカントリークラブ労働組合の闘いは全面勝利し、全員の解雇撤回と復職を勝ち取ったのです。
　８月23日の団交で、追いつめられた会社側は全解雇者20人の復職を認め、同時に労資双方が20以上におよぶ裁判や労働調停などを取り下げることで合意、労組側はストライキを終了させました。そして26日、復職する全組合員が多くの支援の激励を受けながら、全員一緒にゴルフ場の門をくぐり職場に戻りました。
　ミラマーゴルフカントリークラブ労働組合は８月24日に声明を発しました。
　「この闘いは、単なる自分たちの労働権の問題ではなく、台湾の全労働者に対する厳重なる権益侵害との闘いであり、身を挺（てい）する決意で徹底的に闘ってきた」「この苦難の日々の台湾各地の労働組合からの支援激励を私たちは忘れない。『おまえが分裂させても、我々は団結する』の理念を堅持して、ゴルフ場に戻ってからも労働三権と労働権を守りぬく決意をここに明らかにする」「復職は闘いの終わりではなく、次の闘いの始まりである。全組合員は労働者の人権を守るためにたゆまず努力し、良心に恥じることなく、勇敢に前に進む」
　労働組合は、今後の課題も含めて、この声明の中で新たな闘争宣言を発したのです。
　台湾労働者の闘いは、新たな激動の時代の到来の中で歴史的な前進を勝ち取っています。この台湾労働者の闘いこそ、台湾をめぐって始まろうとしている戦争を阻止する核心的な力です。そして何よりも国際連帯が求められています。台湾労働者との連帯を勝ち取ろう！　11月労働者集会の成功を！