パラへの学校動員やめろ 現場の闘いで中止にできる

週刊『前進』04頁(3206号02面02)(2021/08/16)


パラへの学校動員やめろ
 現場の闘いで中止にできる


 東京五輪観戦の学校動員を私たちは軒並み中止に追い込んだ。学校現場や保護者・地域の怒りと団結の力で実現した勝利だ。
 菅政権はボロボロだ。だからこそパラリンピック開催で必死に巻き返そうとしている。政府や大会関係者は「無観客」でも学校観戦動員を狙っている。東京都教育委員会もパラの学校動員計画は維持したままだ(8月11日現在)。杉並区では7月21日、田中良区長自ら「児童・生徒に観戦の機会を」と政府や大会組織委員会に要請した。感染爆発のさなかに子どもたちを連れていくことなど許せるか。広がる怒りを組織し学校現場から動員拒否の闘いを巻き起こそう。

怒りの先頭で

 学校連携観戦阻止のこの間の闘いは、怒りの先頭に立って行動することで学校現場や地域住民の怒りを結集することができた。
 もともと開催地東京では、コロナ感染拡大の中、真夏のスタジアムに子どもたちを動員することに不安と怒りが沸騰していた。安倍政権による昨年3月の全国一斉休校の暴挙で学校は大混乱にたたき込まれ、学校再開後は毎日感染対策、授業内容の工夫、学校行事の見直しなど、教職員は過重労働に明け暮れてきた。子どもたちも過密スケジュールや行事の中止など大変な思いをしてきた。
 東京では年間35時間のオリンピック・パラリンピック教育の総仕上げとして「学校連携観戦プログラム」が押しつけられ、学校ごとに観戦する競技種目、学年、参加人数が決められた。大会が1年延期となっても、昨年度決められた観戦計画はそのまま今年度の教育課程に持ち込まれた。
 東京五輪が利権と国威発揚の国策であることが誰の目にも明らかになる中、5月28日、東京労組交流センター教育労働者部会は「現代の学徒動員を許さない」と、都教委に対し「観戦中止」の要請行動に立った。各地でも「改憲・戦争阻止!大行進」をはじめ様々な団体が地元の教育委員会への要請行動に立ち、マスコミも取り上げて学校動員反対の世論がつくられた。

教組の再生へ

 そして教育労働者部会を先頭に学校訪問に取り組んだ。目的は、職場から「観戦辞退」の声を上げようと呼びかけることである。
 「自分が感染したら大変というプレッシャーの中で働いている。観戦どころではないでしょ、それが職場の空気だ」「事実上は強制なのに『学校が判断』というのも卑怯だ」「学校で中止を決定しているところがあるなんて知りませんでした!」。職場訪問は不安の中にあった労働者と怒りを共有する行動になった。
 現場からNO!の声が上がり始めたことが決定的だった。現場が「学校のことは自分たちで決める」という大原則を取り戻した。
 コロナと五輪強行の中で教育労働者の意識は一変している。しかし連合東京は「共生社会の実現を」とパラ推進だ。戦争と差別のパラ反対を鮮明にし、動員反対で闘い抜き、労働組合を再生しましょう。
(元教育労働者・米山良江)
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