五輪強行に全人民の怒り 絶望的破局と戦争に突き進む菅打倒の8月決戦へ総決起を 8・6広島-8・9長崎闘争へ

週刊『前進』04頁(3204号01面01)(2021/07/26)


五輪強行に全人民の怒り
 絶望的破局と戦争に突き進む菅打倒の8月決戦へ総決起を
 8・6広島-8・9長崎闘争へ

(写真 7・17渋谷 青年・学生先頭に反五輪デモ 五輪強行への怒り渦巻く中、沿道から多くの人々がデモコールに唱和してこぶしを上げた)


 7月23日、東京五輪とその開会式に対する労働者民衆の怒りが渋谷を埋め尽くした。国威発揚と国策のもとへの国民総動員という、菅政権が五輪強行に込めた狙いは、青年・学生を先頭とする五輪粉砕デモの高揚と労働現場からの動員拒否の広がりによって根本的に粉砕されている。さらに五輪粉砕・菅政権打倒へ闘いを推し進め、新自由主義の社会を今こそ終わらせよう! その力は一人一人の決起と仲間との団結の中にある。米日による中国侵略戦争・核戦争が急切迫する中、今夏8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争は歴史的な決戦となった。闘う労働組合を先頭に広島・長崎に結集し、菅打倒の大デモをかちとろう。

五輪警備に自衛隊を動員

 かつてない勢いで拡大するコロナ感染「第5波」と労働者民衆の激しく広範な憤激の真っただ中で、菅政権は五輪開会を強行した。五輪に伴う感染爆発が、医療をはじめとする労働現場の崩壊をもたらし、多くの人々の命を奪おうとしている。そして、これに対する労働者民衆の怒りと危機感と行動への欲求は、五輪開催期間中を通じてますます高まり、菅政権の危機を一層深めることになる。すでに内閣支持率は政権発足以来最低を更新し、直近の世論調査(7月17〜18日、ANN)で29・6%と初の3割切れとなった。
 過去に障害者への差別・暴行を雑誌で「自慢」していた五輪開会式の楽曲担当者が抗議殺到で辞任に追い込まれ、東京五輪・パラリンピックの最高位スポンサー(ワールドワイド・パートナー)のトヨタ自動車が五輪関係CMの国内放送を中止するなど、もはや東京五輪は燃え広がる怒りに包囲されて破綻しきっている。選手・関係者と外部との交通を遮断する「バブル方式」はすでに崩壊し、コロナ感染が拡大する中で、切迫する医療崩壊を前に医療労働者や自治体労働者の怒りの声も噴出している。
 五輪強行によって「支配の裂け目」が拡大し、破滅に向かうことがわかっていても、あくまで五輪強行に突き進む以外にないところに日本帝国主義・菅政権の絶望的な破綻がある。だからこそ、菅政権はむき出しの国家暴力で人々を威圧し、怒りと行動の高まりを力ずくで抑え込もうと必死になっているのだ。警察権力6万人に加え、自衛隊8500人の配備に踏み込んだのはそのためだ。自衛隊法100条の3「運動競技会に対する協力」に基づくものとされているが、同条項が規定する自衛隊の活動の中に「警備」という項目はない。それにもかかわらず、沿道・会場の警備や手荷物検査といった治安対策活動を法的根拠もあいまいなまま行わせているのだ。
 階級対立の非和解的激化を国家暴力で抑え込むことと、その危機を外への侵略戦争と排外主義で乗り切ろうとすることは、支配階級の常套(じょうとう)手段だ。菅政権は五輪強行と並行して改憲と中国侵略戦争・核戦争の本格的準備を推し進めようとしている。五輪粉砕闘争は改憲・戦争阻止の闘いそのものだ。さらに徹底的に闘おう!

核ミサイル配備を許すな

 米バイデン政権は5月に公表した2022会計年度(21年10月〜22年9月)の予算教書で、「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」と称する対中国軍事予算51億㌦(約5600億円)を計上。また米インド太平洋軍は、今後5年間で29億㌦を投入し、九州・沖縄からフィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿って射程500㌔以上の地上発射型中距離ミサイル網を配備する計画を予算要望書に盛り込んだ。エリック・セイヤーズ元米太平洋軍司令官特別補佐官は、19年に中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄したことで「米国はミサイル能力を制限する必要はなくなった」と述べ、また別の国防総省関係者は「軍事作戦上の観点から言えば、北海道から東北、九州、南西諸島まで日本全土のあらゆる地域に配備したいのが本音だ。中距離ミサイルを日本全土に分散配置できれば、中国は狙い撃ちしにくくなる」とまであけすけに語ったという(7月8日付朝日新聞)。
 この米軍の戦略と一体で、菅政権は日米安保の再編・強化と自衛隊の増強、宮古島、石垣島などへの自衛隊ミサイル部隊の配備を進めている。元陸上自衛隊西部方面総監・番匠幸一郎は、6月11日付朝日新聞のインタビューで、現在の東アジア情勢について「日清戦争前夜に似た状況にある」と答え、「台頭著しい中国が海洋進出するにあたって、死活的に重要な位置にあるのが出口を塞ぐ日本列島」「(中国が日本最大の貿易相手国という)経済があるからといって妥協することがあってはなりません」と強調した。1894〜95年の日清戦争は、朝鮮半島の支配権をめぐって日本が宣戦布告もせずに一方的に仕掛けた朝鮮・中国への侵略戦争だった。それを番匠は、「強大な清帝国、東方進出をもくろむ帝政ロシア、不安定な朝鮮半島」と、あたかも日本の「自衛戦争」であったかのように当時の状況を描きながら、今日新たに中国との戦争を構えることを主張しているのだ。
 こうした米日の侵略戦争策動に対し、中国スターリン主義は世界の労働者人民に反戦闘争を呼びかけるのではなく、中国共産党の政治支配を維持するためだけの対抗的な核軍事政策にのめり込み、核戦争の危機を高めている。全世界の労働者民衆の国際連帯で帝国主義侵略戦争・核戦争を絶対に止めよう。

日本共産党が安保を容認

 この情勢下で、日本共産党は「今度の衆院選は政権交代を目指したい。立憲民主党などとの政策の一致点を公約に掲げる」(田村智子政策委員長)として、次期衆議院選挙の政権公約から「日米安保の廃棄」を除外すると発表した。今まさに日米安保の再編・強化と米軍・自衛隊の一体化が進み、かつてない大規模な訓練や演習が頻発し、日本中の基地周辺住民が「もう我慢できない」と悲痛な声を上げ、沖縄・辺野古では不屈に新基地建設阻止の闘いが続いている。この中で、日本共産党は沖縄に基地を強制する側に立ち、日米安保発動をも容認するということを支配階級に誓約したのである。核戦争情勢を前にした屈服・転向であり、労働者階級への裏切りだ。
 こんな「野党共闘」に改憲・戦争を止める力がないことはもはや明白だ。今、求められているのは闘う労働組合の登場だ。五輪動員も戦争動員も、労働者が労働組合に団結して拒否すれば一つも成り立たない。労働組合の闘いをつぶせていないことに菅政権は焦りに焦っている。国家権力・資本と非和解で闘う階級的労働運動の大発展こそ改憲・戦争阻止の最深の力だ。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の武建一委員長は7・4国鉄集会で、「幅広く大衆的な組織であり、同時に組合員と家族の生活を守り、全世界の労働者階級の利益を体現するような組織」が関生支部の特徴だと誇り高く語った。こうした労働運動にこそ、社会を根本から変える力がある。そして労働者の力と決起を腹の底から信頼し、労働組合に責任をとる政治的結集体としての党をつくろう。五輪粉砕を闘うすべての青年、学生のみなさん、今こそ革共同に結集し、共に革命を切り開こう。

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