核ミサイル配備狙う米日 日本が核戦争の出撃拠点に

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週刊『前進』04頁(3203号02面02)(2021/07/19)


核ミサイル配備狙う米日
 日本が核戦争の出撃拠点に


 4月日米首脳会談と共同声明への「台湾有事」の記載をもって情勢は一変し、米日帝国主義は日米同盟の対中国侵略戦争同盟への転換に踏み込み、対中国の核ミサイル網を作り上げようとしている。
 この戦争はいったん開始されれば、沖縄を含む日本全土は核戦争の戦場となり焦土と化す。再びヒロシマ・ナガサキ・オキナワを繰り返すのか。その原点がまさに今、問われている。

「第1列島線」に大量配備を計画

 マスコミの報道で米インド太平洋軍が九州・沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿って対中ミサイル網を構築する計画を進めていることが明らかとなった。この攻撃は米帝が中国を打ち負かすためならば核による先制攻撃をも辞さないというものだ。そして日帝・菅政権はこの米帝の戦略と一体化し、宮古島、石垣島などの先島諸島に自衛隊のミサイル部隊を配備させている。
 米帝の中距離ミサイル配備計画は、2019年10月3日付琉球新報の1面トップと2、3面に、「沖縄に新中距離弾配備」「米新戦略で大転換」という見出しでスクープされ、沖縄では怒りを巻き起こした。
 米帝は22会計年度の国防総省予算案で、中国侵略戦争の基本戦略である「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」に51億㌦(約5600億円)計上した。この膨大な予算はミサイル配備や沖縄海兵隊の新戦略に使われる。
 米帝の新戦略の直接の背景にあるのは、米軍がA2/AD(接近阻止・領域拒否)と呼ぶ中国の国防戦略への対抗だ。第3次台湾海峡危機(1995年~96年)時には、米軍が2個空母戦闘群を派遣し中国を威圧した。中国はその敗北から「空母キラー」と呼ばれる地対艦ミサイルなど約2000発を配備して、「第1列島線」の内側に米空母機動部隊を進入させない戦略を採用した。
 それに対抗するために米帝が編み出したのが中距離ミサイル配備計画であり米海兵隊や米空軍のさまざまな新戦略なのだ。
 この中距離ミサイル配備の背景にはトランプ政権が17年12月に発表した「国家安全保障戦略(NSS)」と18年2月に発表した「核戦略見直し(NPR)」がある。これらは核による先制攻撃をも狙うものだ。
 さらに19年8月2日には中距離核戦力(INF)全廃条約が破棄されたことで、条約が製造を禁じていた中距離核ミサイルの新型を米軍が大量配備することが可能になった。

排外主義許さず国際連帯貫こう

 一切の事態の背後にあるのは、世界革命を裏切った中国スターリン主義の対抗的な軍事外交政策を餌食とした米帝の一連の核戦争を含む新戦略なのだ。
 中国のA2/AD戦略で米帝は対中国戦争が出来なくなったなどと考えるのはとんでもない間違いだ。戦争の原因である帝国主義とスターリン主義を打倒しない限り戦争は不可避だ。
 米軍は中距離ミサイルに「核を搭載しない」などと言っているが、それはまったくのうそだ。
 1960年代、米軍の占領下にあった沖縄には膨大な核兵器が存在した。沖縄の人びとの本土復帰・基地撤去の闘いに追い詰められた日米帝国主義は、沖縄返還を交渉せざるをえなくなり72年に沖縄返還がなされたが、沖縄の米軍基地にある核兵器の扱いが最大の問題になった。
 当時の佐藤栄作内閣は表向きは「非核三原則」(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を謳(うた)いながら、有事での核兵器再持ち込みの密約を交わしていた。このことは佐藤の密使を務めたとされる若泉敬が94年に出版した本で証言している。日帝は米帝と密約を結びながら国民には平気でうそをつき続けてきたのだ。
 このように中国侵略戦争・核戦争が切迫しているにもかかわらず、日本共産党や立憲民主党は中国脅威論をあおり立て、排外主義の先兵になり果てた。
 今こそプロレタリア国際主義をよみがえらせ、労働者階級の真の敵である自国帝国主義打倒の闘いに立とう。中国スターリン主義打倒へ闘う香港と中国本土の労働者人民との国際連帯を貫いて闘おう。
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