労組再生へ課題を共有 JR、合同労組、医療、教育の現場から
週刊『前進』04頁(3202号02面02)(2021/07/12)
労組再生へ課題を共有
JR、合同労組、医療、教育の現場から
(写真 全国集会の前日、国鉄闘争全国運動が開いた討論集会。階級的労働運動の苦闘と豊かな教訓が次々に報告された【7月3日 千葉市】)
7月3日、国鉄闘争全国運動は千葉市商工会議所で「新自由主義を終わらせる労働運動の再生を」をテーマに討論集会を開いた。討論集会と全国集会をセットにして2日間の集会を行うのは、今回初めての試みだ。集会参加者が自身の職場で労働運動を実践し、あるいは既成の労働組合の変革に踏み出すことに向け、問題意識を共有するために討論集会は設定された。
集会は、国鉄闘争全国運動事務局の片峯潤一さん、同じく事務局の白井徹哉さん、船橋二和病院労組の飯田江美委員長、日教組奈良市の増田順計書記長の4人の報告を中心に持たれた。
片峯さんは、動労千葉の闘い、特に地域と結びついてのワンマン運転反対闘争から何を学ぶかをテーマに報告した。
白井さんは、ちば合同労組の経験から、関西生コン支部の闘いの何に着目すべきかを説き、組織化の構想を持つことの重要性を明確にした。
飯田さんは労組結成に至る経営・御用労組との攻防や、コロナ以前に崩壊していた医療現場の現実を明かし、昨年のストライキは、患者をもうけの対象としてしか見ない経営に対し、医療を社会保障として取り戻す闘いだったと報告した。
増田さんは、試験制度を使った非正規教員の解雇に対する闘いが労組の原点になったと述べ、解雇された仲間を救済の対象ではなく闘いの主体と位置づけたことで、当該も労組全体も階級性を取り戻したと教訓を明らかにした。また、市当局が強行するGIGAスクール構想は進展しているわけではなく、当局は教育労働者を支配できていないと報告した。
自分の労働の社会的意義つかみ直す
いずれの報告も、執行部が資本や当局との対抗性を自覚し、徹底して闘う立場に立った時、組合員の団結がつくられることを明らかにした。それが労組の中で緊張をはらむ討論を生んだとしても、その繰り返しが団結を固めていく。同時に労働運動は常に具体的であり、運動に実際の形を与えるための模索の重要性が、各報告で浮き彫りになった。それを徹底的にやり遂げる執行部の意識性が求められる。動労千葉のワンマン化反対闘争も、地域に打って出るという具体的な構想が、闘争に継続性を与え団結をつくった。
四つの報告はさらに、労働者が自らの労働の持つ本来の社会的意義を自覚することが、労働運動再生の重要なきっかけになることを明らかにした。鉄道労働者なら、その労働には地域に必要な公共交通を担う意義がある。しかし資本は、医療や教育など人間の根本にかかわる領域さえ金もうけの手段に変え、その事業が本来果たすべき社会的役割を押しつぶしている。それは、コロナ下で一層極端化しつつある。
しかし、これは必ず破綻する。各報告は、労働者の怒りが行動に転じる時代が確実に始まったことを明らかにした。日教組奈良市の増田さんは、「現場は直ちに行動方針を求める。かつてない活性化」と述べた。白井さんは、労働相談に来た一人の労働者が自ら職場で十数人を組織する情勢が生まれていると報告した。
動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の3労組共闘を軸に階級的労働運動をよみがえらせようとする奮闘は、長年の苦節を経て、実を結ぶ時を迎えようとしている。
武委員長への有罪判決絶対に阻止を
4本の報告を受け、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の木下武男さん、伊藤晃さん、金元重さんがさらに問題意識を深める提起をした。これをもとに参加者の活発な討論が行われた。関西生コン支部の武谷新吾書記次長が、武建一委員長への有罪判決粉砕へ、大阪地裁で行われる7月13日の判決公判への大結集を訴えた。
港合同の木下浩平執行委員が集会をまとめ、あらためて「国鉄闘争と関生弾圧粉砕の闘いはコロナ下で労働運動をよみがえらせる決定的な位置にある」と強調し、改憲・戦争に向けて労組つぶしの攻撃を強める菅政権打倒へ立ち上がることを訴えた。