五輪学校観戦中止、都内で続々 声上げるのは今
五輪学校観戦中止、都内で続々
声上げるのは今
東京都90万人を含む全国128万人の子どもたちを五輪・パラリンピックに動員する「学校連携観戦」の中止を求め、申し入れが各地で取り組まれている。埼玉では6月21日、埼玉労組交流センターと婦人民主クラブ全国協議会埼玉支部が県教育委員会に対して要請行動に立った。
埼玉・千葉・神奈川の3県では、48の自治体がキャンセルする意向を示している(18日、NHK報道)。だが東京都では、小池都知事と都教委が五輪組織委による学校連携観戦チケットのキャンセル受け付け文書を隠ぺいし、区市町村教委に連絡しなかったことが発覚。今なお動員を狙っていることが明らかとなった。
しかし、目黒区教委は22日、学校現場と地域の怒りに突き動かされ、中止を発表。都立学校でも取りやめが出始めている。今、声を上げれば中止させることができる! 事態を決するのは現場と教職員組合の決起だ。「教育過程の編成権は各学校にある」という原則、つまり「観戦中止の決定権は各学校にある」ということを武器に、教委への申し入れや現場の組織化が前進している。(編集局)
三多摩
市教委に申し入れ行動
現場の怒りと結びつく
三多摩労組交流センターは6月16日、八王子市教育委員会に対して東京五輪・パラリンピックの「学校連携観戦プログラム」の即時辞退・中止を求める申し入れを行いました。
市教委側は指導主事2人が対応し、「まだ具体的には決まっていない」とはぐらかしの回答。こちらから「運動会や遠足が中止・縮小になっているのになぜオリンピックだけやるのか、子どもを観戦させるのか?クラスターが発生したら誰が責任を取るのか?」と追及しても、「どのようにしたら安全にできるのか考える」と菅のような答弁に終始しました。最後は「ゼロリスクはあり得ない。学校生活でもリスクはある」と開き直りました。これにはカチンときて、「学校生活でのリスクと五輪動員でのリスクはまったく違う。2年前にも天皇奉迎が強制されたが、今回も学徒動員とどこが違うのか」と弾劾しました。
さらにこの日、私たちは申し入れ書をもって地域の学校を回りました。教育労働者からは、どこでも「本当にそうですよね」「五輪なんてあり得ない」「観戦なんて考えられない」という声が聞かれました。
ある高校では、「修学旅行は中止、部活の合宿も中止しているのになぜオリパラだけ。虫が良すぎる。うちは辞退になるのでは」と話してくれました。
またある小学校では、「申し入れ、ありがとうございます」「公共交通機関で行かなければならないが、乗り継ぎなど考えても考えられない」「(実質強制なのに)学校判断なんて卑怯(ひきょう)ですよね」「辞退したいが、まだ何も言ってこない。ギリギリに指示を出して、反対する時間を与えないようにしているのでは」などと憤っていました。
この問題は誰もが怒っています。現場の怒りと結びつくチャンスです。教育現場で闘う労働者と共に五輪=改憲の実力粉砕、労働組合再生へ闘います。
(三多摩労組交流センター・内田晶理)
杉並
「決定権は職場にある」
動員反対訴え学校回り
6月14日、東京西部の仲間と共に杉並区教委と区議会に「学校連携観戦プログラム」即時中止を求める陳情行動と、文教委員会の傍聴をやり切りました。
今、これほどわかりやすい情勢はありません。新自由主義によるこの30年間の社会破壊の結果、新型コロナ感染症による死者が全世界で388万人、日本でも1万4千人を超えています。この労働者の死に誰が責任を取るのか。医療も崩壊する中、菅政権や小池都政は子どもと労働者の命をどう考えているのか。社会の崩壊を、戦争のための悪法制定と五輪開催で取り戻そうとする菅政権と小池都政。その脆弱(ぜいじゃく)な思惑は完全に破綻しています。五輪開催の正義性など全くありません。
開催まで1カ月しかないというのに、都教委は「学校連携観戦」について現場に何の通知すら出せないでいます。それでいて「観戦は学校で判断」と語り、学校に全責任を転嫁しようとしています。また、子どもたちの間に参加・不参加で分断を持ち込むことも許されません。責任を取れないなら中止にすべきです。
学校職場を回っても、「オリンピックどころじゃない」と怒っています。コロナで中止していた水泳授業も「密にならないように」再開することが急に決定し、現場は混乱しています。遠足も部活も禁止というのに、炎天下で大会会場の有明アリーナにどうやって移動する? 国威発揚のため? 冗談じゃない! 「お国のため」の動員をさせてはならない!
「職場から声を上げて中止にしよう」と中止を決定した職場も出ています。都も区も校長も責任を取りません。学校職場から「自分たちのことは自分たちで決める!」と団結して声を上げれば、動員をはね返せます。これが職場闘争の原点です。学校職場から闘いを始めましょう。
(杉並 元教育労働者・伊藤登美子)