3・5万人削減を許すな 郵政職場に階級的労働運動つくり出して絶対に阻もう 革共同郵政労働者委員会
週刊『前進』04頁(3200号02面02)(2021/06/28)
3・5万人削減を許すな
郵政職場に階級的労働運動つくり出して絶対に阻もう
革共同郵政労働者委員会
日本郵政グループは5月14日、「JP ビジョン2025」を発表した。そこで2021年度から25年度の5年間で、日本郵政全体で3万5千人、日本郵便だけで3万人の削減方針を打ち出した。しかも人数は「随時増減する」としており、これを上回る数の削減も視野に入れているということだ。絶対に許せない。職場生産点から反撃を開始し、
大合理化攻撃を打ち砕こう。
デジタル化の推進叫ぶ
日本郵政グループの「ビジョン」の核心は、「グループ全体として、業務効率化を徹底し、かつ重点分野に投資を行うことで生産性を向上し、グループ主要4社において約3・5万人相当分の減少を見込みます」と言い切っていることで明らかなように、郵政労働者3万5千人削減のかつてない大合理化だ。「ビジョン」は「お客様と地域を支える『共創プラットフォーム』を目指して」なるものを掲げ、大きな二つの取り組みとして、①データとデジタル技術の活用の推進、②ユニバーサルサービスを含むコアビジネス(郵便・物流事業、銀行業、生命保険業)の充実強化と、不動産事業の拡大、新規ビジネス等の推進を掲げている。
それらの事業の軸が「郵便・物流事業改革」だ。ここでは「デジタル化の徹底によるデータとモノのスピード差や、配達先情報等の当社が保有するデータを活(い)かし、荷物分野の競争激化に打ち勝つ配送サービスを提供」「デジタル化された差出情報と、当社ならではの配達先情報を活用し、データ駆動型のオペレーションサービスを実現」としている。そして「荷物の発送だけでなく、在庫管理や荷役等、EC(電子商取引)事業を展開しているお客様の物流業務をトータルに受託する」としてロジスティクスセンター22拠点(25年度までに+4拠点)の全国展開を宣言する(図参照)。楽天との業務提携もこうした狙いがある。
JR東と同じ大合理化
日本郵政の合理化攻撃はJR東日本の合理化攻撃に続いて、それと一体で進めようとするものだ。JR東日本は5月26日、「現業機関における柔軟な働き方の実現について」を提案した。その中身は、一日単位では今日は乗務業務・明日は駅業務、あるいは時間単位では朝は駅業務・昼間は除草・夕方から乗務業務という、「ひとりで何役もこなす」大合理化の推進だ。郵政産別においてもまったく同様のことが狙われている。資本の完全な手先に転落したJP労組中央本部は、5月18日に出した第14回定期全国大会議案(付属討議資料)の「JP労組が考える事業ビジョン(案)」で、「一人の社員が一つの事業・業務に特化するのではなく、複数の職場が勤務先となるような機動的な働き方」を提案している。郵政資本の狙いを「労働組合」の名前で先取り的に提唱しているのだ。JR東と同じように、朝は配達業務・午後は窓口業務・夕方は倉庫業務と、一人で何役もこなせというのだ。さらには他の業種でも働けということだ。
郵政資本とJP労組中央は、企業防衛のためには、民営化の破綻のつけを現場に押しつけることで一致している。「生産性向上」という共同綱領を旗印に、土曜休配を皮切りとした郵便事業切り捨て、DX(デジタルトランスフォーメーション=データとデジタル技術の活用)推進―さらなる非正規職化、大合理化推進へかじを切っているのだ。
だが、これは安全の破壊をもたらす。日本郵政がJR東日本と進める「郵便局窓口と駅窓口の一体運営」という合理化の中で、4月20日に千葉県のJR江見駅において重大事態が発生した。江見駅は出札業務が郵便局に委託されている。この駅で高齢の女性がワンマン化された列車からホームに降りようとしたところ、ドアに首を挟まれそうになった。郵便局員が列車に駆け寄って閉まりかけたドアを手で押さえ、運転士も事態に気づいてすぐにドアを開けて無事だったという。ひとつ間違えれば命を失う大事故だった。郵便局業務を担う労働者に駅の安全まで責任をとれというのか。安全と合理化は絶対に相いれないのだ。
労働者の団結こそ力だ
土曜休配を皮切りとした郵便事業切り捨て、JPビジョン2025=3万5千人削減絶対反対で郵政職場で働くすべての労働者は団結しよう。今でさえ人員不足で、郵便内務では他部応援は当たり前、集配外務では書留と通常郵便の併配は当たり前、荷物も持って混合配達も当たり前という状態だ。しかし、一人の人間が担える仕事量には限界がある。そもそも、民営化前は一つの業務を貫徹することが当たり前だったのだ。民営化=合理化以降、郵便事故、交通事故は日常茶飯事にまでなっている。反合理化・安全保安確立の闘いを職場から組織していこう。
振り返れば、郵政資本はJPEX計画(小包部門の子会社化)の破綻、かんぽ不正問題、オーストラリアのトール社買収の失敗と、成功したことは何もない。郵政事業が成り立っているのは、現場の労働者の日々の労働によってだ。エッセンシャルワーカーと呼ばれコロナ下でも業務を回している現場の労働者にこそ発言権があるのだ。
日帝支配階級はコロナ感染拡大、医療崩壊、社会の崩壊的状況を止める意志も能力もない。オリンピック開催に突っ走り、新自由主義(民営化)の大破綻がもたらしている危機を、階級闘争の解体と改憲―中国侵略戦争に突入することで乗り切ろうとしている。
日帝・菅政権はデジタル独裁法を可決成立させ、膨大な個人情報を首相の巨大な権限のもとに集中しようとしている。郵政が掲げる「DX推進」は、それと一体のものだ。国家戦略と称するデジタル化は、改憲・戦争攻撃と一体で、新自由主義の破綻の上で、さらなる民営化・規制緩和を推し進め、一層の非正規職化を狙った国家ぐるみの大合理化攻撃だ。
その中身は、階級分断と階級性を奪う労働組合の絶滅攻撃である。これと対決する階級的労働運動を職場生産点からつくり出し、郵政の3万5千人削減を阻もう。