公務員法改悪を弾劾する 生涯賃金下げ65歳まで就労

週刊『前進』04頁(3199号02面02)(2021/06/21)


公務員法改悪を弾劾する
 生涯賃金下げ65歳まで就労


 国家公務員・地方公務員の定年を現行の60歳から65歳に、2023年度から段階的に上げる改悪公務員法が今国会で可決、成立した。それは「定年が延長されて良かった」どころではない。公務員の一律大幅賃下げを法律で初めて定めた歴史的な大改悪だ。その発動を許してはならない。

初めて正規職の賃下げを法定化

 改悪法は定年延長にかこつけて総額人件費の大幅削減を狙う、正規職の全世代に対する賃下げ法だ。定年が引き延ばされた分以上に賃金は削られ、65歳まで働いても生涯賃金は確実に減らされる。
 改悪法は人事院・人事委員会勧告(人勧)制度を使って40代〜50代を中心に全世代の定期昇給を減らすことを前提に、60歳からはさらに賃金の一律7割への減額を定めた。「7割」はあくまで「当分の間」とされる。今後はそれ以下にすることも意図されている。
 青年労働者は正規職採用ですら生活するのがぎりぎりの低賃金だ。人手不足の中で長時間・過重労働を強いられ、早期退職に追い込まれる青年も多い。管理職にならない限り昇給はわずかだ。今後は40代から一層抑え込まれ、60歳で大幅賃下げ、管理職も降格され管理職手当は消滅。退職金も削られた上に支給は5年遅れることになる。
 自治労、日教組など連合・公務労協本部は政府と手を組み、会計年度任用職員制度導入に続いて法改悪を進めた。彼らは繰り延べされた年金支給年齢との関係で「長年にわたる課題が実現」と自賛。現行の60歳定年後の再任用職員の賃金が定年前の2分の1から3分の1にされるのに対し「7割で済む」と公言する幹部もいる。しかし業務はそのままで再任用=非正規職になったことを理由に賃金が大幅減額されること自体がおかしい。真っ向から一律大幅賃上げを求めて闘うことが基本なのだ。

評価制度厳格化し労働者を分断

 改悪法の附則は「職員の能力及び実績を処遇に的確に反映する......人事評価の改善」を明記。人事院に、降給・降格、解雇などの分限処分を含む人事評価制度の厳格な適用、賃金・一時金額への一層の「反映」を求めている。
 評価制度は労働者を分断して団結を破壊し全体の賃下げを進めるツールだ。職場の連携で成り立つ業務をどう個別に「評価」するというのか。公的事業で「もうけ」「売り上げ」は基準にならない。まして福祉や税務で、利用者・相談者排除の「水際作戦」や「取り立て」を「成果」とすることなどあってはならない。それ自体が公的事業の社会的役割を否定するものだ。職場の連携は壊され業務は回らなくなる。労働者は「評価」で脅され、労働組合活動それ自体が攻撃される。パワハラと労働強化が横行することになる。

改悪法打ち砕く現場の総決起を

 政府は法改悪の意図を、「少子高齢化が進む中、知識や経験を持つシニア職員が活躍できる場をつくるとともに深刻化する人手不足に対応する」と説明する。しかしそれは闘いぬきには新規採用の縮小で高齢職員が長時間・過重労働を延々と強いられることになる。狙いは総額人件費の削減であり、民営化・外注化・非正規職拡大と一体だ。
 さらに改悪法は年金支給開始の繰り延べを前提に、民間を含む70歳(超)就労と賃金引き下げ、強搾取継続の地ならしとされる。
 「コロナ減収」「財政危機」を口実に、自治体と全産別で解雇と一時金を含む大幅賃下げの攻撃がかけられている。しかし富裕層はコロナ下で大もうけし、国や自治体は軍事費やオリンピック、デジタル化に巨額の税金を注ぎ込んでいる。医療・福祉と賃金に回す金はいくらでもある。
 公務員賃金をめぐる闘いは全労働者の命運を握る。攻撃を打ち砕くのは現場の闘いだ。怒りは必ず爆発する。18年の東京・特区連(特別区職員労働組合連合会)秋闘はストを復権し大幅賃下げを阻止した。評価制度を粉砕し一律大幅賃上げ、非正規職撤廃・正規職大幅増員を求め闘おう。
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ポイント
・40代で昇給額削り、60歳から賃金7割に
・新規採用は縮小され、過重労働が継続
・全労働者の70歳就労・強搾取の地ならし

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