五輪動員を拒否しよう 菅の狙いは戦争体制づくり 労働組合で闘えば阻止できる

週刊『前進』04頁(3198号04面01)(2021/06/14)


五輪動員を拒否しよう
 菅の狙いは戦争体制づくり
 労働組合で闘えば阻止できる

(写真 6月6日、新宿駅前でのリレーアピールで、元教育労働者が子どもたちをオリンピックに動員するなと訴えた)

 東京オリンピックの開会予定日まで残り6週間を切った。菅はこの期に及んでも「平和の祭典」と繰り返し、政権の延命をかけて五輪強行に突き進んでいる。
 一方で、労働者民衆は「平和」どころか戦争状態にたたき込まれている。緊急事態宣言が延長されるなか、コロナ解雇は厚労省の発表でも10万人を超えて増え続けている。何より、政府が自らつくりだした医療体制の崩壊状況はなんら解決していない。現場の医療労働者に矛盾が押し付けられ、介護・福祉現場でクラスターが続出している。労働者民衆の命が日々選別され、奪われている。こうした状況下で3兆円ともいわれる史上最大の予算を投入して五輪を強行することは文字通り殺人的な暴挙だ。
 これに対し、現時点で五輪・パラリンピックの「大会ボランティア」は約1万人、「都市ボランティア」は約3800人が辞退を表明。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長までもが「(この状況での五輪開催は)普通はない」と述べるに至った。6月3日には東京都小金井市議会が、東京五輪・パラ開催の中止を求める意見書を賛成多数で可決。中止を求めるオンライン署名は40万筆を超えた。五輪・パラ中止は労働者民衆の命と生活を守るための当然の要求だ。

政府と癒着したパソナが荒稼ぎ

 福島第一原発事故をめぐって前首相・安倍が「アンダーコントロール」の大うそで招致した東京五輪。原発事故を「終わったこと」にするために掲げた「復興五輪」も、パンデミック下で菅が強調してきた「人類がウイルスに打ち勝った証し」も完全に破産した。今や、カネと利権にまみれた五輪の本質がむき出しになっている。
 「ぼったくり男爵」は国際オリンピック委員会(IOC)会長バッハだけではない。政府と癒着した大資本が五輪に群がり、食い物にしている。菅のブレーンである竹中平蔵が会長を務めるパソナが典型的だ。
 大会スポンサーとして運営業務を受託したパソナは43ある競技会場への人材派遣を独占的に請け負い、高額の報酬や仲介料を手にしていることが内部告発などで明らかになった。パソナの五輪有償スタッフの日給は約1万2千円だが、組織委との契約書などには人件費の1日単価は35万円、管理費・経費を含めると日当45万円と記載されている。実に97%のピンハネ率だ。
 こうしてパソナの21年5月期の純利益は、前年の約10倍となる62億円に達した。その竹中は6日「(五輪中止を求める)世論が間違っている」などと発言し、怒りの的となった。
 政府と一体となって多くの労働者を非正規職に突き落としてきた竹中に代表される資本家が一層肥え太り、労働者民衆は命も生活も脅かされる。五輪はまさに資本のための祭典だ。

すべての予算を医療と補償に!

 こうした五輪の本質を押し隠して「挙国一致」を演出しようとする菅の狙いは政権の延命や利権だけでなく、戦争体制構築にある。
 この間政府が打ち出した「看護師500人」動員要請、さらには子どもたち128万人を動員する「学校連携観戦」はまさに、看護師や児童・生徒を「お国のために」と根こそぎ動員したかつての戦争と同じだ。コロナ下で労働者民衆に対してはひたすら「自粛」を求め、集会やデモの権利を大幅に制限。一方、コロナの感染爆発でどれだけの命が奪われようとも五輪開催に突き進むというのだ。
 また、福祉を切り捨てて差別をあおってきた政府が障害者を利用し分断を深めるパラリンピックも絶対に許してはならない。
 五輪中止を求める闘いは、改憲・戦争攻撃を労働者階級の力で打ち破る闘いそのものだ。看護師による五輪動員反対のツイッターデモには数十万人が参加し、教育労働者は「五輪への学徒動員を許すな」と抗議の声を上げている。何よりも職場・学園で噴き出している怒りの声を労働組合の闘いとして形にしよう。
 医療労働者、教育労働者、自治体労働者が動員を拒否した時に五輪は絶対に阻止できる。巨額の予算をすべて医療や補償に回すことができる。労働者の誇りにかけ、胸を張って五輪への動員を拒否しよう。この闘いを通じて階級的労働運動復権の道を切り開き、菅政権を打倒しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加