「戦争反対」投げ捨てる共産党 改憲投票法推進の立民と共闘 中国侵略戦争情勢で大裏切り

週刊『前進』04頁(3198号03面01)(2021/06/14)


「戦争反対」投げ捨てる共産党
 改憲投票法推進の立民と共闘
 中国侵略戦争情勢で大裏切り


 4月の日米首脳会談を契機に、米日帝国主義は対中国の対決政策=侵略戦争政策を決定的に強めている。これと全力で対決することは、日本労働者階級の未来と、国際連帯をかけた重要な階級的責務である。今こそ「米日帝の中国侵略戦争反対、戦争・改憲阻止、菅政権打倒」を掲げて全力で闘う時だ。この時、日本共産党は菅政権の戦争策動と真っ向から対決せず、国益主義、祖国防衛主義、排外主義の旗を振ろうとしている。日本共産党を徹底的に批判する。

改憲容認する「野党共闘」

 日本帝国主義は沖縄を再び「捨て石」にし、日本全土をミサイル基地、出撃基地と化し、戦場にするような対中国侵略戦争を本気で準備している。これは危機深める帝国主義の延命のために、中国スターリン主義体制の転覆、分割支配をも狙う侵略戦争策動である。
 この情勢下で日共スターリン主義の歴史的な裏切りが進行している。これまで曲がりなりにも掲げてきた「9条改憲と戦争に絶対反対」の旗すらも投げ捨て、改憲推進の立憲民主党との「野党共闘」を一切に優先させている。
 今国会では入管法改悪案(人民の闘いで阻止された!)、デジタル監視法や国民投票法案、土地調査規制法案などの反動法案が次々と提出された。ところが共産党は、こうした立法策動がすべて戦争に向かう体制づくりの攻撃であることを言わない。米日帝国主義の中国侵略戦争への動きが急切迫し、これとの闘いが重大テーマとなっている時に中国批判に没頭している。菅政権への怒りが街にあふれているのに、「菅政権打倒」すら言わない。すべて立民の顔色をうかがっているのだ。
 改憲国民投票法改悪案は立憲民主党の裏切りによって参院憲法審査会でも可決された(9日現在)。ところが、この大裏切りを日本共産党は容認している。志位和夫委員長は「立場が分かれたことは残念だが、今後も協力していける」と、あくまでも「野党共闘」にしがみついている。度し難い屈服ぶりだ。
 そもそも立憲民主党代表の枝野幸男は9条改憲賛成派である。「文芸春秋」2013年10月号で「憲法九条/私ならこう変える」と題して、軍隊の保有、集団的自衛権の行使、国連軍・多国籍軍への参加を可能とするための9条改定を主張した。その内容は自民党の9条改憲案とほとんど変わらない。枝野は現在もこの主張を撤回していない。共産党は13年当時、この枝野私案を「安倍首相の狙う9条改定を後押しするもの」と批判していた。ところが今では全然批判しない。志位委員長が「『安倍・菅改憲に反対』で立民と協力できる」というのは、共産党自身が「9条改憲絶対反対」を投げ捨てたということである。こんな改憲容認の「野党連合政権」は、労働者人民を欺くものだ。

中国への排外主義あおる

 昨年1月の共産党第28回大会で志位委員長は「尖閣諸島」を「日本が実効支配している地域」と言いなし、これに対する中国側の行動を「覇権主義的行動」と非難した。改定綱領では「いくつかの大国で強まっている大国主義・覇権主義は、世界の平和と進歩への逆流」と、帝国主義者と同じ口調で中国を非難した。さらに大会決議で「中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵入は、その後も激増し、常態化している。安倍政権は、こうした中国の横暴な振る舞いについて、正面から抗議し、是正を求めることをしていない」と非難した。現在、菅政権に対しても志位委員長は「日本政府は弱腰の態度を改めよ」と要求している。
 志位委員長は「文芸春秋」5月号に登場し、ブルジョアジーに対して「共産党は中国と戦っています」とアピールしている(「中国は『海警法』を撤回せよ!/日本共産党委員長、中国共産党を批判する」)。
 志位委員長は「中国が最も嫌がるのは『国際法違反』を理詰めで突きつけられることだ」などと言っているが、ここでの中国共産党「批判」は、もとよりスターリン主義に対する階級的批判ではなく、日本の国益の立場からの愛国主義的反発である。日米両政府に対し「軍事的対応には反対」であるかのポーズをとっているが、まったくインチキだ。この論文には、日米帝の対中国の軍事行動のエスカレートについて、一片の暴露も断罪もない。沖縄基地のおの字もない。自衛隊、海上保安庁、警察、外務省などが「離島奪還」の図上演習を行い、自衛隊が有事即応の輸送部隊の新設計画を打ち出し、日米共同訓練が日々激しさを増している現状に何一つ触れていない。中国を一方的に非難しているだけである。完全に米日の中国侵略戦争を翼賛していると言わざるを得ない。自国政府の戦争政策と闘わない中国批判は、必ず排外主義に行き着く。
 共産党は釣魚島(尖閣諸島)について、「日本の領有は歴史的にも正当/日本政府は堂々とその大義を主張すべき」と言うが、これは日帝の領土略奪を擁護するものである。領土問題こそ帝国主義権力がナショナリズム、愛国主義、排外主義を鼓吹し、国民を戦争に動員していく最も手近な手段である。これに共産党が「熱く」なるのは、戦争への積極的・能動的な加担・協力以外の何物でもない。

労働者の実力闘争を圧殺

 共産党はコロナ下で闘う医療労働者のスト決起に経営の立場から敵対した。ストライキ・ゼネスト、街頭実力闘争など、労働者人民の闘いが権力・資本と激突するところまで発展すると、権力以上の凶暴さで襲いかかるのがスターリン主義反革命だ。15年の安保・戦争法反対の国会闘争のさ中に、座り込みすら認めず、規制線を越えて進もうとする労働者人民を警察以上に「弾圧」し、全学連の隊列に襲いかかったことを忘れることはできない。
 さらに共産党はコロナ・失業・貧困・飢餓で労働者人民が日々殺されている時に、資本主義を全面賛美する宣伝を行っている。「自由と民主主義、豊かな個性」などというブルジョア・イデオロギー、価値観の虚偽、資本主義的生産力の反人民性・非人間性を暴くのでなく、全面賛美している。そして、あたかも資本主義の平和的発展が「共産主義」社会をもたらすかのごとき幻想を振りまいている。資本家階級の打倒=プロレタリア革命など、まるで必要でないかのようだ。
 労働者階級は資本・国家との闘いを通して団結し、人間的共同性を回復し、階級闘争と革命の勝利を通して共産主義社会建設の主体となる。共産党はこの労働者階級の主体性、自己解放性を否定している。
 今こそ、日共スターリン主義の敵対を打ち破り、階級的労働運動、反戦闘争を徹底的に闘おう。
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