改憲のための「学徒動員」反対 五輪の学校観戦中止を

週刊『前進』04頁(3197号02面02)(2021/06/07)


改憲のための「学徒動員」反対
 五輪の学校観戦中止を

(写真 東京労組交流センター教育労働者部会が、子どもたちと教職員を五輪観戦に動員しないよう東京都教育委員会に申し入れを行った【5月28日 東京都庁】)


 「五輪の今夏開催に反対」が8割を超えた(5月17日付朝日新聞)。子どもたちを五輪観戦に動員する「学校連携観戦」にも教職員、保護者・子どもたちの中から怒りの声が巻き起こっている。学校・地域から学校観戦絶対反対の声を上げ、菅政権を倒し、五輪開催を中止に追い込もう。
■子どもと教職員の命守れ
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が「東京大会を実現するために、我々はいくつかの犠牲を払わなければならない」と言い放ったことに、労働者人民の怒りが爆発している。なかでも教職員や子どもたち、保護者は不安でいっぱいである。修学旅行や運動会、部活動などは中止・縮小を事実上強制されながら、五輪だけは予定通り開催し、子どもたちに観戦させる方針は今もって維持されているからだ。犠牲になるのは子どもたちであり、教職員なのだ。
 「学校連携観戦」は、オリンピック(7月23日~8月8日)、パラリンピック(8月24日~9月5日)の期間に、東京都を始め競技会場のある自治体や東日本大震災の被災3県で公立・私立の幼小中高、特別支援学校の子どもたち約128万人を観戦に動員するものだ。東京都は公的医療の拡充もせず、41億円もの都税を観戦予算に計上、90万人を動員対象にしている。
 何が「人流を抑制せよ」だ。国立競技場では1日平均2万人超の子どもたちが観戦することも想定されている。移動も貸し切りバスは禁止されているため、大人数で公共交通機関を使う。子どもたちの命は顧みられず、感染と熱中症の危険にさらされることになる。
 教職員も全く同じだ。しかも、コロナ以前からの過労死レベルの労働に加え、コロナ対策や一人一台の端末を配備するGIGAスクール構想の実施で限界を超えている上での引率だ。
■教え子を戦場に送るな!
 元文科相の下村博文・自民党政調会長は「今回のコロナを、ピンチをチャンスとして捉えるべきだ」と発言し、緊急事態条項新設=改憲に言及した。米日帝国主義が中国侵略戦争へ踏み込むなか、後のない菅政権は政権延命と改憲に向け、国威発揚のために五輪開催にしがみつき、「お国のために犠牲になれ」と学校を利用しているのだ。まさに「学徒動員」だ。実際、年35時間課されている五輪教育は、「日本人としての自覚と誇り」を「資質として身に付ける」ことを目的とし、「学校連携観戦」をその集大成として位置づけている。「教え子を再び戦場に送らない」ためにも五輪動員を中止させよう。
■学校・地域から行動を
 東京都教育委員会は「観戦は学校判断」としている。だが、都立学校では観戦拒否は欠席にするなど実態は強制だ。それでいて事故などの責任だけは現場に押し付けようとしているのだ。萩生田光一文科相も国会答弁で「やめろとは言えない」と言ってのけた。
 「誰が責任をとるんだ」「学校観戦なんかやってる場合か」----職員室では教職員が公然と怒りを表明し始めている。学校・地域から声を上げよう。医療労働者と連帯し、学校観戦を中止させ、五輪粉砕、改憲阻止・菅打倒へ攻め上ろう。教組はその先頭に立とう。

このエントリーをはてなブックマークに追加