命の危機生む規制撤廃の暴挙 民営化・非正規職拡大許すな
命の危機生む規制撤廃の暴挙
民営化・非正規職拡大許すな
菅政権はコロナ下で命にかかわる公的業務の規制撤廃と民営化・非正規職化を一気に進めている。介護・福祉施設では日雇い派遣の看護師を、保育所ではパートの保育士を担任にすることを解禁した。すでに全国の市区町村では民間委託が拡大し、1年雇用の会計年度任用職員など非正規職公務員も半数に迫っている。民営化・非正規職化は職場の団結を破壊し業務破綻をもたらす。労働組合を再生し絶対反対で闘おう。
看護師日雇い派遣を解禁
厚生労働省は4月、介護・障害者施設での看護師の日雇い派遣を解禁した。
1999年に労働者派遣が原則自由化された当時、看護師など医療職の労働者派遣は禁止だった。だが2003年、社会福祉施設への看護師派遣が解禁された。介護を受ける利用者の生活を支える業務は「高度な連携が求められるチーム医療とは異なる」とされたからだ。ただし日雇い派遣は原則禁止されてきた。
この介護施設などの日雇い派遣に関する厚労省調査でも「利用者の情報収集をする時間が不十分」「同僚とのコミュニケーションが不足」「起こりやすい医療事故等について把握する機会がない」ことへの懸念が出ていた。労働組合からは「単価の安い働き方を導入することで、正規で働く看護師の働き方や処遇の悪化にもつながりかねない」と批判の声が上がっている。
さらに厚労省は4月13日、「注射を打つ看護師が不足する自治体の要望に応える」として、コロナワクチン接種に限る形ではあるが、派遣会社から医療現場への看護師派遣を解禁する方針を決めた。
コロナ危機に乗じて「火事場泥棒」のようになし崩し的に非正規職化をどんどん解禁し拡大しようとしているのだ。それは労働組合の団結破壊であり、現場の疲弊・混乱と重大な医療事故の危機をもたらす。
パートの保育士を担任に
昨年12月、菅政権は2021年度からの4年間で保育所の定員を14万人増やす「新子育て安心プラン」を発表。保育士資格を持たない「保育補助者の活躍促進」として就業時間の制限を撤廃、「短時間勤務の保育士の活躍促進」として各クラスに常勤保育士が1名必須という規制を崩し短時間保育士2名で可とした。担任をパートに替え常勤をなくすことを認めたのだ。さらにこの「プラン」を進める自治体への補助率を上げると明記した。露骨な誘導策だ。常勤から短時間保育士、保育補助者に置き換える総非正規職化に踏み込もうとしているのだ。
担任は重責を担う。保育の計画を立て、一人一人に目を配り、楽しく主体的に活動できるように保育のやり方を考えなくてはならない。それは生活面の援助から心身の発達を促す教育まで多岐にわたる。事故や発熱、子ども同士のトラブルへの対応。保護者に子どもの生活や発達について伝え助言する責任も負う。
さらに保育士同士の連携が不可欠だ。保育士が細切れで交替するような体制は絶対に避けなければならない。保育士の配置は現在も最低基準ギリギリで長時間労働が常態化している。歯止めのない規制緩和は保育士の負担増と雇用の不安定化を進め、保育士不足に拍車をかけることになる。
公立保育所は00年から19年に民営化と統合・廃止で4391カ所減らされた。放課後に子どもを預かる学童保育でも民間企業への委託が拡大している。民営化は公的事業を産業化し利潤獲得の手段とされた。そのもとで非正規職化と労働条件切り下げ、労組破壊が急速に進められてきた。
組合の力が攻撃押し返す
今や非正規職公務員は市区町村職員の半数に迫り、増え続けている。図書館職員、臨時教員、生活相談員、保健師、保育士など豊富な経験を要する専門職・資格職から率先して非正規職化されてきた。しかしその雇用・労働条件は劣悪だ。1年任期の会計年度任用職員は在職10年のベテランでさえ任期更新のたびに選考され1カ月の試用期間で解雇できるとされる。賃金も最低賃金水準だ。まぎれもない権利侵害・団結破壊と賃金切り下げだ。
これに対し、労働組合の力で全員パート化=賃下げ攻撃を押し返したり、継続雇用や手当支給を認めさせる闘いが各地で果敢に繰り広げられている。
民営化・外注化が非正規職化を加速し、公的業務の破綻と社会の崩壊をもたらしている。国鉄分割・民営化以来の新自由主義の階級戦争の結果だ。正規・非正規職の団結を拡大して闘う動労千葉に続こう。労働組合の団結を固めて民営化・外注化・非正規職化に絶対反対し、非正規職撤廃・全員の正規職化へ闘おう。
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ポイント
・介護施設への看護師の日雇い派遣を解禁
・常勤以外の短時間保育士をクラス担任に
・1年任期の会計年度職員が半数に迫る