改憲国民投票法案を阻め 立憲民主党の裏切り許すな

週刊『前進』04頁(3195号04面02)(2021/05/24)


改憲国民投票法案を阻め
 立憲民主党の裏切り許すな


 国民投票法改悪案が5月11日、衆議院を通過した。6月9日までに審議を終え、会期末の16日までに可決・成立させることを狙っている。改憲・戦争を阻む重大な攻防に入った。絶対に改悪を阻止し、投票法そのものを葬り去ろう。
 改憲には、国会で3分の2以上の賛成と国民投票で過半数の賛成が必要と憲法第96条で定められている。その「ルール」を規定したのが国民投票法だ。2007年、第1次安倍政権下で人民の反対を押し切って制定された。今回、16年の公職選挙法改定に沿って、商業施設に共同投票所を設けることなどを盛り込む。だがそれは、単に「改憲の手続き変更」といった話ではない。
 菅が5・3ビデオメッセージで「憲法改正論議を進める最初の一歩」と述べたように、3年間8度の国会で継続審議となってきた改悪案の審議に立憲民主党が応じたことで、改憲勢力は9条改悪と緊急事態条項新設を柱とする改憲を一気に進めようとしているのだ。
 安倍は打倒された。だがコロナ危機に追い詰められている菅政権もまた、唯一の延命策として4・16日米共同声明で対中国侵略戦争を決断し改憲・戦争にかけている。その突破口を開くのが国民投票法の改悪だ。

労組の弾圧が狙い

 そもそも同法は、国会での改憲発議から60~180日間で国民投票を実施することを規定しているが、その過程で徹底的に改憲反対運動を弾圧することに最大の狙いがある。
 例えば、500万人はいると言われる「公務員等及び教育者」に対し、「地位利用による国民投票運動の禁止」を規定している(第103条)。違反したら懲戒などの行政処分が下される。改憲阻止の主力を担う日教組・自治労を狙い撃ちにした弾圧だ。
 さらに、「組織的多数人買収及び利害誘導罪」(109条)で労働組合や市民運動への弾圧が狙われる。集会で組合員に弁当や交通費を支給すれば「買収罪」や「利害誘導罪」に問われ、パンフレットを配布すれば「物品その他の財産上の利益の供与」とされて処罰の対象となる。

改憲派がTV制圧

 今一つの狙いは、メディアを改憲賛成派が制圧することだ。TV・ラジオや新聞などの有料広告が投票日の14日前まで無制限に容認される。14日前以降も賛否を勧誘しない意見表明だけなら可能とされる。資金力のあるブルジョアジーらが金にものを言わせて改憲の大宣伝を行えるのだ。
 このような国民投票法の発動自体が「労組なき社会化」攻撃そのものだ。だからこそ「公正中立なルール」を求めるのではなく、改悪案を阻止し、廃案に追い込むことが必要だ。
 立憲民主党が付則で3年をめどにCM規制などの必要な措置を講じるとした修正を提案し、それを自民党は丸のみした。だが自民はそれを実行する気もさらさらなく、「ようやく最初の扉が開かれた」(二階幹事長)とほくそ笑んでいる。
 改憲推進の立憲民主党の裏切りと、それを「野党の共闘はいささかも揺るがない」(穀田国対委員長)と支える日本共産党の屈服をのりこえ、労働組合を先頭に改憲阻止へ闘おう。
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